F1ハンガリーGP FP3展開:ランド・ノリス最速 ハミルトンとアントネッリが僅差

メルセデスのキミ・アントネッリも首位から0.129秒差の3番手につけ、シャルル・ルクレール、オスカー・ピアストリ、ジョージ・ラッセルが続いた。
一方、金曜日に上位争いへ加わっていたレッドブル・レーシングは7、8番手に後退。上位3チームにレッドブルを加えた4チームによる予選争いは、依然として僅差になる可能性を残している。
路面温度52度の厳しいコンディション
現地時間12時30分に始まったFP3は、金曜日よりもさらに暑いコンディションとなった。路面温度は52度に達し、FP1の44度、FP2の34度を大きく上回った。
金曜日は突風と低いグリップにより、ロックアップやコースオフが相次いだ。FP3でも風は残っていたものの、前日ほど不安定ではなく、各ドライバーは徐々に路面状況への理解を深めていった。
最初にコースへ出たのはアルピーヌのフランコ・コラピントだった。コラピントは金曜日のFP2で最終コーナーからコースを外れ、リアからバリアに衝突していたため、失った走行時間を取り戻す必要があった。
FP1で左リアサスペンションに問題が発生し、FP2を欠場したランス・ストロールも早い段階でコースイン。大幅なアップグレードが施されたアストンマーティンの挙動を確認しながら周回を重ねた。
一方、レーシングブルズのアービッド・リンドブラッドは、パワーユニット関連の作業によりガレージ待機を余儀なくされた。チームは前夜、リアム・ローソン車に発生した同様の問題を修復するため夜間作業禁止時間を破っており、リンドブラッド車にも予防的なエンジン交換を実施した。
序盤はノリスとマクラーレンがリード
序盤はニコ・ヒュルケンベルグが1分20秒643でトップに立ったが、ソフトタイヤを履いたオスカー・ピアストリが1分19秒918へ更新した。
その後、ランド・ノリス、シャルル・ルクレール、ルイス・ハミルトン、アイザック・ハジャーら上位勢がコースイン。ノリスは最初のアタックで1分19秒062を記録し、チームメイトのピアストリに約0.9秒差をつけて首位に立った。
マクラーレンは金曜日、アップグレードパーツをノリス車だけに装着していたが、ピアストリ車にも土曜日から最新仕様を投入。両車が同一パッケージで走行するなか、それでも序盤はノリスが明確に先行した。
フェラーリ勢はまだ本来の速さを完全には見せていなかったものの、ルクレールが上位に入り、ハミルトンも徐々にペースを上げた。金曜日にFP1とFP2を制したフェラーリと、改良型MCL40を投入したマクラーレンが中心となってセッションが進んだ。
セルジオ・ペレスのトラブルで赤旗
セッション開始から約20分後、キャデラックのセルジオ・ペレスが初めてピットを離れた直後にトラブルに見舞われた。
ペレスはピット出口からターン2へ向かう途中でマシン後部を大きく振られ、そのまま減速してコース脇に停止。リア周辺から煙が上がり、赤旗が提示された。
「エンジンを失った。それに強烈なブレーキがかかった。リアのブレーキが燃えているように見える」
ペレスは無線でそう報告した。F1 TVの解説を務める元F1ドライバーのジョリオン・パーマーは、リアブレーキが固着し、リアアクスルがロックした可能性を指摘した。
「リアアクスルのブレーキから煙が出ている。ピットを出てすぐに止まった。リアブレーキが固着したように見える。回転数が落ち、リアアクスルがロックしたため、クラッチを切ったのだと思う」
ペレスのマシンが回収された後、セッションは残り約34分で再開された。ペレスはタイムを記録できず、そのままFP3を終えた。

アストンマーティン同士があわや接触
赤旗中には、アストンマーティンの2台が接触寸前となった場面もリプレイで映し出された。
前を走っていたストロールが、イン側にいたフェルナンド・アロンソに気づかないままコーナーへ進入。アロンソは激しくブレーキをロックさせて接触を回避したが、その際にマシンからボディワークの一部が飛散した。
AMR26Bとも呼べる大幅改良型マシンでデータ収集を進めたいアストンマーティンにとって、同士討ち寸前の場面は避けたい出来事だった。
ただし、金曜日に比べればマシンの挙動には改善が見られ、アロンソは一時11番手まで順位を上げた。最終的には他車のタイム更新によって17番手まで後退したが、改良型マシンがキャデラックやウィリアムズより一歩前に出た可能性を示した。
メルセデスが復調 アントネッリが首位争いへ
赤旗解除後、金曜日に苦戦していたメルセデス勢がようやく本格的な走行を開始した。
ジョージ・ラッセルは最初の計測ラップでノリスに次ぐ2番手へ浮上。キミ・アントネッリはアウトラップで交通に引っかかり、タイヤを適正な作動温度に入れるため追加のウォームアップラップを選択した。
アントネッリはその後、いったん6番手相当のタイムを記録したが、トラックリミット違反により抹消された。それでも再びアタックすると、ルクレールに次ぐ2番手へ上昇。ターン4の縁石にマシン底部を強く当てたため、チームにフロアの確認を求めた。
終盤に入るとアントネッリは1分18秒254を記録して首位へ。金曜日はFP1をフレデリック・ベスティに譲った影響もあり、マシンへの適応に時間を要していたが、FP3終盤には一気に上位争いへ加わった。
ただし、ラッセルはターン1で大きなロックアップを喫するなど、アントネッリほどスムーズにはまとめられなかった。最終的にラッセルは首位から0.602秒差の6番手となり、チームメイトには約0.47秒遅れた。
フェラーリとノリスが終盤にタイムを更新
残り15分を切ると、各車が2セット目のソフトタイヤを装着し、燃料を減らした本格的な予選シミュレーションに入った。
アントネッリが1分18秒254で首位に立った直後、ノリスが1分18秒206をマークして0.048秒差でトップを奪回した。
マックス・フェルスタッペンはノリスから0.450秒差の4番手にとどまり、ラッセルは6番手。レッドブルとメルセデスの一部には、まだ上位2チームとの差が残っていた。
フェラーリ勢も新品ソフトタイヤでアタックを開始。ルクレールは首位に届かなかったものの、ハミルトンはセクター1でチームメイトを上回り、最終セクターもきれいにまとめて1分18秒056を記録した。
ハミルトンはノリスを0.150秒上回ってトップに立ち、フェラーリによる全フリー走行制覇が現実味を帯びた。ハンガロリンクで通算9回のポールポジションを獲得しているハミルトンは、10回目のポールに向けて高い競争力を示した。
しかし、ノリスは2周目のアタックでさらにタイムを短縮。最終コーナーでのスライドも抑え、1分17秒939を叩き出した。ハミルトンを0.117秒上回り、FP3のトップタイムを確定させた。
フェラーリは低速区間で依然として強力
ノリスは最終的に最速となったものの、セクターごとの比較ではフェラーリの強さも明確だった。
F1 TVの実況を担当するアレックス・ジャックは、低速コーナーが連続する最終セクターについて「フェラーリはマシンのバランスとグリップを生かし、最終セクターで非常に大きな差を縮められる」と分析した。
実際、ノリスのMCL40は最終セクターだけでハミルトンに約0.3秒を失っていた。それでも前半から中盤の高速区間で十分なアドバンテージを築き、総合タイムでは首位を守った。
マクラーレンは過去2年間のハンガリーGPで勝利しており、ノリスは2025年大会の優勝者でもある。低速主体のハンガロリンクでもMCL40の総合力は高く、ノリス自身も自信を持ってマシンを走らせている様子だった。
ピアストリとルクレールは4、5番手
ルクレールは最初のソフトタイヤで一時トップに立ったものの、最終的にはノリスから0.352秒差の4番手となった。
ピアストリは新品ソフトタイヤでタイムを縮めたが、ノリスには0.499秒届かず5番手。金曜日より差を縮めたものの、予選に向けてチームメイトのデータを確認する必要がありそうだ。
ルクレールとピアストリ、ラッセルはそれぞれ上位3台のチームメイトに遅れ、4番手から6番手を占めた。特にラッセルはアントネッリから約0.5秒遅れており、ポール争いへ加わるにはセットアップやドライビングの改善が求められる。
レッドブルは7、8番手に後退
金曜日に比較的安定した走りを見せていたレッドブル・レーシングは、FP3では上位3チームから遅れを取った。
フェルスタッペンは首位から0.717秒差の7番手。アタックラップで交通の影響も受け、完全にクリーンなラップをまとめることができなかった。
ハジャーは1.004秒差の8番手。2セット目のソフトタイヤによるアタックではターン12でミスを犯し、最終セクターをまとめられずにラップを中断した。
セッション終盤にはマシンについて「運転できない」と無線で訴える場面もあった。レッドブルは金曜日の時点ではフェラーリとマクラーレンに続く位置にいたが、FP3ではメルセデスにも先行を許した。
ただし、両ドライバーとも完全なラップを記録できたわけではない。予選までに数十分のセットアップ調整を施し、数十分の1秒から数十分の数秒を取り戻せれば、ポール争いへ復帰する余地は残されている。
ローソンが中団トップ アウディ勢もQ3候補
中団グループでは、レーシングブルズのリアム・ローソンが首位から1.149秒差の9番手に入り、トップ4チームに続くベスト・オブ・ザ・レストを獲得した。
レーシングブルズがハンガリーへ持ち込んだアップグレードは、金曜日に続いて機能している様子だった。ローソンはミディアムタイヤでの走行でも中団上位を維持し、ソフトタイヤでもQ3進出候補としての速さを示した。
アウディのニコ・ヒュルケンベルグが1.221秒差の10番手、ガブリエル・ボルトレトが11番手。アウディはFP1で2台がトップ10入りし、FP2でもヒュルケンベルグが10番手に入っており、レーシングブルズとともに中団のQ3枠を争う構図が鮮明になった。
リンドブラッドは残り約5分でようやくコースイン。限られた時間で2周のフライングラップを走り、13番手まで順位を上げた。ローソンからは約0.8秒遅れたが、パワーユニット交換の影響で大半を欠場したことを考えれば、貴重なタイムを記録した。
アルピーヌは改善もQ3には不足
アルピーヌはピエール・ガスリーが12番手、コラピントが14番手となった。
ガスリーは赤旗直前にコースへ出たばかりで、再開後に本格的な走行を開始。最終的には首位から1.784秒差まで縮めた。
コラピントはFP2でクラッシュし、さらにFP1もポール・アロンにマシンを譲っていたため、週末を通じて走行時間が不足している。その状況を考えれば14番手は一定の前進だったものの、Q3進出を争うレーシングブルズやアウディとはまだ大きな差がある。

アストンマーティンはキャデラックとウィリアムズを上回る
ハース勢はエステバン・オコンが15番手、オリバー・ベアマンが16番手。続いてアロンソが17番手、ストロールが18番手となった。
アロンソはノリスから2.454秒差、ストロールは2.994秒差だった。順位だけを見れば上位争いには届いていないものの、大幅アップグレードを投入したアストンマーティンは、少なくともキャデラックとウィリアムズより前に位置した。
ストロールはFP2を完全に欠場しており、改良型マシンでの走行経験が不足している。予選までにデータを精査し、アロンソのセットアップを参考にすることになりそうだ。
バルテリ・ボッタスは19番手。ウィリアムズはカルロス・サインツJr.が20番手、アレクサンダー・アルボンが21番手となり、タイムを記録したドライバーのなかでは最後尾に沈んだ。
4チームによるポール争いの可能性
FP3の結果では、ノリス、ハミルトン、アントネッリの上位3台が0.129秒以内に収まった。ルクレールも0.352秒差につけており、フェラーリ、マクラーレン、メルセデスの3チームは明確にポール争いの射程圏内にいる。
レッドブルは7、8番手に終わったものの、フェルスタッペンとハジャーはいずれも完全なラップをまとめられていない。予選でコンディションやトラックエボリューションが変化すれば、4チームが最前列を争う展開も十分に考えられる。
ハンガロリンクは「壁のないモナコ」と表現されるほど予選順位が重要なサーキットであり、追い抜きも容易ではない。トップ3台の差がわずか0.129秒だったFP3を踏まえれば、ポールポジション争いは週末最大の見どころとなる。
2026年F1ハンガリーGP フリー走行3回目結果
1番手 ランド・ノリス(マクラーレン)1分17秒939
2番手 ルイス・ハミルトン(フェラーリ)+0.117秒
3番手 キミ・アントネッリ(メルセデス)+0.129秒
4番手 シャルル・ルクレール(フェラーリ)+0.352秒
5番手 オスカー・ピアストリ(マクラーレン)+0.499秒
6番手 ジョージ・ラッセル(メルセデス)+0.602秒
7番手 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)+0.717秒
8番手 アイザック・ハジャー(レッドブル・レーシング)+1.004秒
9番手 リアム・ローソン(レーシングブルズ)+1.149秒
10番手 ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)+1.221秒
11番手 ガブリエル・ボルトレト(アウディ)+1.399秒
12番手 ピエール・ガスリー(アルピーヌ)+1.784秒
13番手 アービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ)+1.956秒
14番手 フランコ・コラピント(アルピーヌ)+2.116秒
15番手 エステバン・オコン(ハース)+2.356秒
16番手 オリバー・ベアマン(ハース)+2.373秒
17番手 フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)+2.454秒
18番手 ランス・ストロール(アストンマーティン)+2.994秒
19番手 バルテリ・ボッタス(キャデラック)+3.360秒
20番手 カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ)+3.467秒
21番手 アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)+3.574秒
22番手 セルジオ・ペレス(キャデラック)タイムなし
ノリスがフェラーリのフリー走行全セッション制覇を阻止した一方、ハミルトンとアントネッリも0.1秒台の差に迫った。予選ではノリス、ハミルトン、アントネッリ、ルクレールを中心に、復調を狙うレッドブル勢も加えた僅差のポール争いが予想される。
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