アラン・プロスト、ルノーのF1復帰に懐疑的「戻るのは極めて難しい」

ルノーのF1における歴史は、グリッドの中でも最も豊かなもののひとつだ。1977年以降、主にエンジンメーカーとしてほぼ途切れることなくF1に関わり、時代ごとに異なる名称や体制を取りながら活動を続けてきた。
どのような形であれ、ルノーは常に最高峰の舞台へと戻ってきたが、近年はアルピーヌF1チーム(旧ルノーF1チーム)にパワーユニットを供給していた。
しかし、その長い物語は2025年で終わりを迎えた。パフォーマンス面での苦戦を背景に、ルノーはエンジンプログラムの終了を発表し、アルピーヌF1は翌年からメルセデスのカスタマーチームとなる。
この決断は、スポーツ面で厳しさを増していた状況の中で下された。エンストンを拠点とするチームは、グラウンドエフェクト時代の初年度にコンストラクターズランキング4位と好スタートを切ったものの、その後は失速。2023年と2024年は6位に後退し、2025年には最下位に沈むという、歴史ある存在にとって苦い結末を迎えた。
プロストはルノーと深い関係を持つ人物だ。1981年にルノーへ加入し3シーズンを過ごし、1983年には初タイトルにあと一歩まで迫った。ルノーでの戴冠こそ果たせなかったが、その後ウィリアムズ・ルノーで最後のタイトルを獲得している。近年では、ルノーF1およびアルピーヌのアドバイザーを務めていたが、2022年にローラン・ロッシの判断でチームを離れた。
「私はドライビングスクールやフォーミュラ・ルノーの時代から関わってきた。もう50年ほど前の話だ」と、プロストはMotorsport Magazineに語っている。
「だから今でも彼らを追っているし、実際のところ、今も仕事をしている。今日でも彼らと一緒に何かをやっているんだ」
経済的な理由については理解を示しつつも、プロストは率直な寂しさを隠さない。
「残念だ。フランスに拠点を置くエンジンチームを運営する場合、例えばイギリスよりもコストが高くなる。財務的な観点からの判断は理解できる」
さらに、こうした歴史の幕引きが、ほとんど話題にもならず静かに受け止められている点にも言及した。
「もちろん、とても悲しい。長い歴史があるのに、誰も何も言わないまま、消えていくように感じるからだ」
それでも、プロストは自身のキャリアにおけるルノーの重要性を改めて強調する。
「でも、今の自分があるのは彼らのおかげだ。モータースポーツ、そしてF1で彼らが成し遂げてきた歴史のおかげだ。我々はその歴史の一部なんだ」
将来については、やはり悲観的な見方を崩さない。
「彼らが戻ってくるのは非常に難しいだろう。もしかすると、ものすごく先の未来ならあり得るかもしれないが、あまりにも複雑だ。別の形でなら、あるいは、という程度だ」
カテゴリー: F1 / ルノーF1チーム
