ローラン・メキース レッドブルF1復活の立役者説を否定「私の功績はゼロ」

マックス・フェルスタッペンやヘルムート・マルコから称賛を受ける一方で、本人は「成果は全員の努力の積み重ね」と語り、チームの再浮上を“個人の功績”として語ることを拒んでいる。
エンジニア出身のメキースは、ホーナー前代表の下で培われた強い組織を尊重しながら、より現場主導・ドライバー主導の文化へと舵を切っている。チーム内では、技術部門とドライバーの対話が増え、フェルスタッペンの開発的貢献も再評価されている。2026年の新レギュレーションを見据えた変化の中心に、静かにメキースの存在がある。
レッドブルF1復活の立役者説を否定「私の貢献はゼロ」
レッドブルF1のチーム代表ローラン・メキースは、クリスチャン・ホーナーの後任としてチームを再建したとの見方を否定した。
マックス・フェルスタッペンやヘルムート・マルコからも称賛を受けているが、本人はこう語る。
「私の貢献は“ゼロ”だよ」とメキースは冗談めかして言う。「でも真面目な話、モンツァでの前進は、毎戦マシンの限界を分析し続けた全員の努力の結果なんだ」
「どうすれば速くできるか、どこを改善すべきかを探り続けてきた。そして何より、マックスからの非常に明確で的確なフィードバックが功を奏している。これはチームとして最高の状態だと言える」
技術主導への転換と“共感型リーダー”の誕生
メキース体制の特徴は、ホーナー時代の“経営主導”から“技術主導+共感型マネジメント”への転換にあるとされる。
マルコ顧問は「ドライバーの意見をより直接的に反映させる文化が生まれた」と語り、この変化が復調の要因になっていると指摘する。
F1解説者のラルフ・シューマッハもドイツ『Sky Deutschland』でこう分析した。
「フットボールと同じで、どんなに優秀な監督でもチームと通じ合えなければ結果は出ない。メキースはエンジニアとして卓越しており、社員が何を求めているかを感じ取る力がある。全員を一つにまとめるタイプの指導者だ」

角田裕毅への評価と今後の課題
メキースは現在、2026年に向けたドライバー体制の助言を担当しており、イサック・ハジャーの昇格や角田裕毅の去就が注目されている。
「角田は土曜日が良くなかった」とメキースは率直に述べた。「金曜は非常に良い走りをしていたが、結果には現れにくかった。だが内容を見れば正しい方向にあった。問題は予選日で、そこを一緒に分析して改善しなければならない。レース序盤の1周目は完全に失敗だった」
角田に対しては、週末を通じて安定したパフォーマンスを発揮する“再現性”と、より明確な技術的フィードバックが求められている。
この課題は、メキースが進める組織改革とも密接に結びついている。
“共感と技術”が交わる新たなレッドブル像
ホーナー時代の終焉から数ヶ月、レッドブルは混乱を最小限に抑え、むしろ一体感を取り戻しつつある。その背景には、メキースが推進する「共感と技術の融合」がある。エンジニア出身の指導者が現場と経営の橋渡し役を果たし、ドライバーと開発部門の信頼関係を再構築しているのだ。
フェルスタッペン主導の開発体制は健在で、チームの士気も明らかに上向いている。2026年の新レギュレーションを見据え、レッドブルは“強い現場が意思決定を支えるチーム”へと進化を遂げつつあり、その中心にいるのがローラン・メキースである。
カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング