元レッドブルF1技術者が実情暴露 「週70時間労働で平均給与1200万円」
元レッドブルF1のテクニシャンであるカラム・ニコラスが、ソーシャルメディアでF1ピットクルーの実情を明かした。イタリアGPでのランド・ノリスのスローピットストップをきっかけにメカニックを批判する声が上がったが、ニコラスはそれに反論した。

ランド・ノリスはイタリアGPで2番手を走行していたが、スローピットストップによってオスカー・ピアストリの後ろに下がり、マクラーレンはチームオーダーで両者の順位を入れ替えることになった。

あるSNSユーザーが「3秒の作業時間」と批判する投稿(のちに削除された)を行ったことに対し、ニコラスは次のように応じた。

「だからこそ、このパドックでほとんどの人がここで交流しないんだ。こんなくだらない意見が出るからだ。恥ずかしいことだよ。F1テクニシャンの平均給与は6万ポンド(約1200万円)程度だ。平均労働時間は週70時間。ほとんどがエコノミーで移動していて、ピットクルーに入ったからといって追加で給料をもらえるわけでもない」

ニコラスは2011年から2014年までマルシャF1チームで勤務し、2015年にレッドブルにシニアエンジンテクニシャンとして加入。約10年間在籍した後、2024年末にチームを去り現役を退いた。

自身の初任給について、こうも明かしている。

「22歳でF1を舞台に世界中を飛び回りながらもらった最初の給与は4万2000ポンド(約840万円)だった。家庭の責任がなかったから宝くじに当たったように感じたね。でも当時はシーズン17戦しかなく、トリプルヘッダーもなかった。V8時代の仕事量なんて、今と比べたら大したことなかったよ」

コストキャップがメカニックの給与に与える影響
F1は2021年シーズンからコストキャップを導入し、チームは支出を制限されるようになった。これは裕福なチームであっても遵守しなければならず、メカニックの給与にも影響を及ぼした。

ニコラスは次のように語っている。

「僕の答えは“イエス”だ。実際、『コストキャップの代償』という章を自分の本の中で最も重要なもののひとつとして書いた。でもはっきり言っておくと、仮にコストキャップがなくても、ピットクルーが年間35万ポンド(約7000万円)を稼ぐことはない。もしそうなったら僕も復帰を考えるかもしれないね」

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング