メルセデス 2026年F1エンジンの優位性を否定「ゴシップには流されない」
メルセデスF1の代表を務めるトト・ヴォルフは、2026年F1パワーユニットを巡る“優位性”の噂について語り、いかなる楽観論も否定した。

近ごろ、メルセデスとレッドブルが、2026年F1レギュレーションのグレーゾーンを突くことでアドバンテージを得たのではないか、という報道が注目を集めている。報道によれば、ブラックリーとミルトンキーンズの両拠点で、内燃エンジンの圧縮比を“違法とは断定しにくい形”で引き上げる方法を見出した可能性があるという。

新レギュレーションでは圧縮比は16:1に制限されているが、メルセデスとレッドブルは、2025年に求められていた18:1に近い水準を、特定の作動条件と熱状態のもとで維持できる“トリック”を発見したのではないか、とも言われている。その余剰分を測定・制限することは可能なのか、それとも開幕戦メルボルンにおいて把握できないのか、という疑問も浮上している。

こうした“本命視”について、ヴォルフはF1公式サイトのポッドキャスト『Beyond The Grid』で問われ、次のように語った。

「決して油断してはいけない。我々は常にコップは半分空だと見る人間で、半分満ちているとは考えない」とこの時期に出回るのは、あくまで噂話に過ぎないとヴォルフは語った。

「すべては身内の敵から始まる。マクラーレンは今年、メルセデスのパワーユニットを使って最良のチームだった。もし仮に、我々が優れていると感じたことのないそのパワーユニットが本当に上回っているのだとしたら、まず倒さなければならないのはウィリアムズ、マクラーレン、アルピーヌだ」

フォーミュラ1エンジン F1 メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

彼は、メルセデスのユニットが何らかの優位性を持ってシーズンを迎える可能性自体は、否定しなかった。一方で、他チームの準備についても警戒を示す。

「実際、彼らの一部、ウィリアムズやアルピーヌは、コンストラクターズ選手権で上位にいなかったため、風洞開発により多くの時間を使えている。こちらが把握していない革新を持ち込んでくるチームもあるかもしれない」と各チームのマシン開発は一様ではない、と評価した。

そしてヴォルフは、噂話の危険性を皮肉交じりに指摘する。

「だから、たとえメルセデスのパワーユニットが最も強力だったとしても、何も確実なことは言えない。こうした噂は常に危険だ。なぜなら、どこかの別チーム、別のパワーユニットメーカーや燃料サプライヤーが、『好都合だ。彼らが本命扱いされるのは歓迎だが、最終的にやるのは我々だ』と考えるからだ」。

最後に、オーストリア人の代表は印象的な表現で締めくくった。

「だから我々は、理髪店で交わされるようなゴシップには流されない」

実際の力関係が明らかになるのは、1月26日から30日にかけてバルセロナで行われる非公開テストでマシンが走り出してからだ。それまで、この話題がクリスマスから年末年始にかけての“格好のネタ”であり続けることだけは確かだ。

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カテゴリー: F1 / メルセデスF1