ローラン・メキース レッドブル新チーム代表に就任 F1キャリア最大の挑戦へ
クリスチャン・ホーナーの電撃解任によりレッドブルのチーム代表に抜擢されたローラン・メキースが、F1キャリア最大の難関に直面している。

1977年4月28日、フランスのトゥール生まれのメキースは、レッドブルF1チーム史上わずか2人目のチーム代表となった。2005年のF1参戦以来、20年にわたりチームを率いてきたホーナーの突然の退任を受け、シーズン半ばでの交代劇が実現した。

空力を専門とするエンジニアであるメキースは、モータースポーツ界で25年以上にわたるキャリアを積んできた。キャリア初期はF3のアジアテックで経験を積み、2000年代初頭にはアロウズを経てミナルディに移籍。マーク・ウェバーやジャスティン・ウィルソンらのレースエンジニアを務めた。

2006年にレッドブルがミナルディを買収しトロ・ロッソと改称した際にはチーフエンジニアに昇格し、約10年にわたりチームに貢献。その後、FIAに転身し、セーフティディレクターおよび副レースディレクターとしてF1レギュレーションの策定に関与。現在では欠かせない安全装備となったヘイローの導入にも中心的役割を果たした。

FIAでの3年間を経て、2018年にフェラーリに移籍。現場責任者、スポーティングディレクター、副チーム代表へと昇進し、5年間にわたってスクーデリアを支えた。FIAからフェラーリへの移籍は「十分なガーデニング休暇が設けられていない」と他チームからの批判を招いたが、メキースはその後の仕事ぶりでマネジメント能力を証明していく。

そして2024年、レッドブルがセカンドチームの刷新に着手すると、メキースはフランツ・トストの後任としてレーシングブルズのチーム代表に就任。ついにF1チームを率いる立場となった。

当時フェラーリの代表を務めていたフレデリック・バスールは「彼はエンジニアとしての出自に加え、FIAでも経験を積んだことでビジネス全体を非常によく理解している。今のF1ではそういう人物が必要だ」と語っていた。

イタリア拠点のチームで見せた手腕がレッドブルの評価につながり、ついに本体の指揮官へとステップアップしたメキース。だが新たな職責は、これまでとは桁違いのスケールを伴う。

レッドブルは現在、新風洞の建設、自社開発のパワーユニット(フォードとの共同プロジェクト)、そしてマックス・フェルスタッペンの将来を揺るがす内部対立など、多くの課題を抱えている。

ホーナー時代の遺産が「金」に変わるのか、それとも「砂」に変わるのか――その答えは、ローラン・メキースの手腕にかかっている。

ローラン・メキース F1 レッドブル

ローラン・メキースのキャリア略歴

■ 2001~2003年:アロウズ
■ 2003~2005年:ミナルディ
■ 2006~2014年:トロ・ロッソ
■ 2014~2017年:FIA
■ 2018~2023年:フェラーリ
■ 2024~2025年:レーシングブルズ
■ 2025年~現在:レッドブル

このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング