レッドブルF1 新フロア投入も課題残す バランス調整に追加作業が必要か

レッドブルはイギリスGP週末を通じて、マックス・フェルスタッペンのマシンに新しいフロアを搭載した。フェルスタッペンは予選でポールポジションを獲得したが、決勝ではローダウンフォース仕様のリアウイングに苦しみ、5位でフィニッシュした。
だが、新フロアによる挙動の変化は、今回のアップデートに秘められた可能性を示唆しており、それを最大限に引き出すにはさらなる調整が必要であることも示している。
変更点とは?
新フロアは、トンネルのインレット部分に設置されるフェンスの横方向の配置変更と、それに伴うフロア本体の改修が行われた。
これらのフェンスの位置と形状は、空気の流れをトンネルの全長にわたってディフューザーへと導くか、あるいはフロア外側のエッジを経由させるかの分流を決定する。これら2つの気流は、ディフューザー後方で再び合流する。空力エンジニアたちは、この合流時のエネルギーを最大化しようとしている。

フェンスの位置変更に伴い、それを覆うボディワークの形状も変更された。このボディワーク自体も空力的に重要な役割を果たしており、局所的なダウンフォースを直接生み出すだけでなく、下流への気流を整える働きもしている(青い矢印)。赤いラインは、今回のジオメトリがどれほど複雑化したかを示している。
フェンスの位置とジオメトリは、それを囲むボディワーク外装の形状にも影響を及ぼす。そしてこの形状は、マシン側方を流れる外気の挙動に影響する。
フェンス前端の位置変更によって、サイドポッド前方のアンダーカットへ空気を導くフード状の下向き外部ランプ部分のジオメトリが、より複雑になった。また、このコーナー部分にダウンフォースを発生させる役割も担っている。
この部分のボディワークに見られるよりリブ状の輪郭は、そのエリアから追加の「局所的」なダウンフォースを得ようとする意図を示している。一方で、フェンスの狙いは車体全長にわたる空力負荷の増加にある。
その効果は?
フェルスタッペンは金曜に「ひどいアンダーステア」を訴えた。だが圧力計測値によれば、シミュレーションで期待されたダウンフォース増加は実際に達成されていた。ただし空力バランスが理想よりもリア寄りになっていた。
「金曜はとにかくアンダーステアがひどかったけど、場所によってはオーバーステアも出ていた」とフェルスタッペン。「すごくバランスを取るのが難しかった。完全に想定外のアンダーステアが出ていたから、持っているツールで何とか調整するしかなかった」
クリスチャン・ホーナーも「フロアは期待していたダウンフォースをもたらしてくれたが、それがバランスよく発揮されていなかった」と説明する。
新フロアに加えて選択したウイングレベルでは、バランスがどうしても合わなかったため、フェルスタッペンは土曜以降、元々スパ用に設計された非常にローダウンフォース仕様のリアウイングに切り替えた。
これによりバランスは大きく改善され、予選ではポールを獲得することができた。しかし決勝のウェットコンディションでは、このローダウンフォース仕様がタイヤに十分な荷重を与えられず、苦戦することとなった。

意味するものは?
新しいフロアによってダウンフォースは増加したが、それが主にリアアクスル側に偏っており、フロントには十分でなかった。
全体のダウンフォースが増えたという事実は、アップデートにはポテンシャルがあることを示している。ただしその性能を活かすには再バランスが必要だ。これがフロントウイングやボディワークのさらなる変更によって達成されるのか、それともセットアップの変更で対処可能なのかは、今後の課題となる。特に2026年に向けた開発に風洞時間を割いている今、ボディワークの変更は難しいかもしれない。
カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング