レッドブルF1 ホーナー代表「アイザック・ハジャーの未来は明るい」

角田裕毅の昇格後、レーシングブルズの新たな基準点としてハジャーが存在感を示している。
バルセロナでのF1スペインGP決勝でアイザック・ハジャーは再び力強い走りを見せ、7位でフィニッシュ。これにより、すでに印象的だったポイント獲得数をさらに伸ばした。
開幕戦オーストラリアGPのフォーメーションラップでクラッシュを喫した若きフランス人ドライバーは、その後急速にF1に適応。元チームメイトの角田裕毅が不在となって以降、予選・決勝ともにレーシングブルズにおける明確な基準点となっている。
レッドブルF1のチーム代表クリスチャン・ホーナーは、この20歳のパフォーマンスに強く感銘を受けており、将来に向けて大きなチャンスを得られる可能性があると語った。
レーシングブルズで着実に結果を積み上げるハジャーにレッドブルも注目
過去数年にわたり、レーシングブルズ(旧アルファタウリ)には常に経験豊富なドライバーが在籍していた。
ピエール・ガスリーから角田裕毅に至るまで、ファエンツァのチームには常に信頼できるリファレンスとなる存在があった。
しかし日本GP以降、その構図は一変。角田裕毅がリアム・ローソンと入れ替わる形でレッドブルへ昇格したことにより、レーシングブルズにはルーキー2名が並ぶ布陣となった。
当然、この交代劇が発表された当初は角田裕毅とローソンの去就が話題の中心だった。
だが、結果的にこのシート交代で最も恩恵を受けたのは、アイザック・ハジャーだったと言える。
ローソンがレーシングブルズへの再適応に取り組む一方で、ハジャーは安定してポイントを積み重ねている。
予選ではQ3常連となり、決勝でもトップ10の常連に。フランス人ルーキーは、すでにグリッド上で注目すべき存在へと成長した。
こうした安定感あるパフォーマンスにレッドブルも注目しており、ホーナーはスペインGP後にフランス『Canal+』で次のように語った。
「彼は今年のルーキーの中でも群を抜いていると思う」
「正直、ここまでやってくれるとは思っていなかった」
「彼は我々の期待を完全に上回ってきた。速さもあるし、何よりも一貫して結果を出している」
「F1キャリアのスタートとしては申し分ない滑り出しだ。この流れを維持していってほしい」
将来について問われると、ホーナーはこう答えた。
「今のようなパフォーマンスを維持できれば、彼の未来は非常に明るいものになるはずだ」

なぜレッドブルの判断はまだ見えてこないのか
レッドブルおよびレーシングブルズにおける状況を考察する際には、感情的な反応に流されるのは避けるべきだ。
確かにハジャーのルーキーイヤーは素晴らしいものとなっており、特にシーズン前の評価が高くなかったことを考えれば、その躍進は特筆に値する。
だが、それだけをもって彼をレッドブル本隊のシートに“飛び級”させるのは早計だ。
実際、彼の元チームメイトである角田裕毅は(サンプルは少ないものの)シーズン序盤の2戦では明確に上回る速さを見せていた。
これはハジャーを非難するものではなく、彼がF1の環境にまだ適応中であった時期の比較にすぎない。
現在のハジャーのパフォーマンスは、競争力があり、かつドライバビリティに優れたマシン――比較的広い作動ウィンドウを持つレーシングブルズのマシンによって支えられている側面もある。
一方、レッドブルのRB21は極めて繊細なマシンで、ドライバーに許されるミスの余地は非常に小さい。
これが角田裕毅の近況の苦戦を招いている一因でもあり、加えて予選後にレッドブルのテクニカルディレクターが認めたように、セットアップミスやイモラでのクラッシュによるスペアパーツ不足もパフォーマンスに影響を及ぼしている。
仮に角田裕毅がジェッダやマイアミでのような速さを取り戻せば、再びチーム内でのポジションを強固にできるはずだ。
いずれにせよ、今の段階でハジャーをフェルスタッペンの横に置くのは、彼自身の成長にとっても得策とは言えない。
彼のF1での将来は間違いなく明るいが、今季をレーシングブルズで完走し、地盤を固めてから次のステップに進むのが、彼にとって最も健全なキャリアパスだろう。
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