レッドブルF1代表 「予算上限は技術パートナーの参入を妨げている」
2022年に幕をあけたF1新時代。RacingNews365.comのインタビューで、レッドブルF1のチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、導入に数年を要した新しいマシンとコストキャップの影響について、F1の現状に光を当てた。
FIA（国際自動車連盟）が、モハメド・ビン・スライエム会長の下で今後数年でF1を次のレベルに引き上げることができるかと質問されたクリスチャン・ホーナーは外交的だった。
「FIAは、新しいスチュワードシップやリーダーシップ、そして、我々が学んでいるビジネスのあらゆる側面など明らかに大きな変化を経験している」とクリスチャン・ホーナーは語った。
「誰もそれをすべて知っているわけではないし、チームであろうと、FIAであろうと、プロモーターであろうと、常に改善できることがある。『完璧だ』と言うようなエリアは一つもないと思う。それはチームと同じだと思う。常に絶え間ない進化がある。そして、その意欲がそこにある限り、状況は良くなるだけだ」
2017年にリバティメディアがバーニー・エクレストンから引き継いだとき、F1は70年の歴史の中で最悪のガバナンスプロセスを主宰していた。6チームに不均衡な議決権が与えられ、技術および競技規則のマイナーな変更には全会一致が必要だった。
2021年から2025年には、このプロセスが改良され、競技と技術に関するより平等な議決権が可能になった。F1コミッションで投票がある場合、30票が配分されます。チームごとに1票、F1ボスに10票、FIAに10票だ。
これは、小規模なチームが大規模なチームに影響を与える可能性のあるルール変更を導入できるようになったことを意味し、クリスチャン・ホーナーは非常に不満を感じている。
「小規模チームは、トップチームに影響を与える可能性のある重要なルールを実装することについて、あまりにも大きな発言権を持っていると主張することができる」とクリスチャン・ホーナーは語った。
「特に予算上限については、FIAとプロモーターが本当に目を向ける必要があるところだと思う」
クリスチャン・ホーナーは、テクノロジーパートナーがF1に参入し、製品を展示したいと考えているが、予算上限に達したために断らなければならない例を挙げた。
「単純化した議論として、技術パートナーシップとF1は常に非常に重要だった」とクリスチャン・ホーナーは語る。
「だが、特定のテクノロジーが予算上限に達したとき、たとえば、新しいラップトップを提供したいコンピュータのスポンサーがおり、新しいラップトップは必要ないかもしれないが、スポンサーは製品を紹介するためにそれを望んでいる」
「しかし、その製品が予算上限に達し、それを断らなければならないときは、それはテクノロジー企業がF1に参入するのを思いとどまらせないように改善できるエリアがあるときだと思う」
2022年の重要な話の1つは、新しい予算上限規制のセットがチームにとって理解するのがいかに複雑であったかということだ。
すでに3つのチームが管理と事務処理に関連する手続き違反を犯しており、レッドブルは1億4500万ドルの予算上限下に分類されている項目によって制限を超えた。
これは、ルールが初期段階にあり、FIAがチームとともにプロセスを改善している間も続くと予想されている。予選上限を超えた後、チームは厳しい監視下に置かれているにもかかわらず、クリスチャン・ホーナーは、F1が長期的に安価なものになるためには予算上限は重要であると語る。
「非常に複雑なレギュレーションだと思う。そして、もちろん、レギュレーションは進化するだろう。私が見たいのは、キャップを超えるプレッシャーが少なくなることだ」とクリスチャン・ホーナーは語る。
「チームとしてコストの最大の要因は、テクニカルレギュレーションとスポーツレギュレーションだ。それらのレギュレーションによって、それらのコストが何であり、それらのコストがどのように主導されているかをより強調すれば、キャップへのストレスは少なくなる」
「必然的に取り締まりが困難になったり、取り締まりが合法かどうかさえ疑問視されたりすることは確かにあると思う。サラリーキャップなどに疑問を呈するときだ」
「つまり、それはプロセスであり、学習曲線だ。予算上限には、これに対してポジティブなことがたくさんあると思うが、改善および開発できるエリアはある」
標準化された、または「既製」のパーツは、F1でコストを削減する方法であると指摘されることがよくある。
クリスチャン・ホーナーは、このソリューションは今後、車のパフォーマンスに関連しない側面に使用できると考えている。
「私としては、パフォーマンスに関係のない特定のコンポーネントの標準化を検討する必要があると思う。ドライブラインなど、検討できることはたくさんありる。この分野ではもっと多くのことができるはずだ」
「エンジンに関しては、より多くの標準コンポーネントを導入できると思う。2026年に向けて作成されたレギュレーションではまだ非常に高価なエンジンだからね」
「予算上限にはコストが含まれていると思うが、それは製品のコストを削減するという基本的な側面を扱っていない。技術および競技のレギュレーションがそれに重大な影響を与えるところだと思う」
クリスチャン・ホーナーは、グランプリ週末に車をオペレースするために必要な膨大な人数を指摘する。
「考えてみれば、2台の車を作るのに800人が必要だ。『なぜだ？なぜそんなに多くの人員が必要なのか？』という疑問が生じる。そして、これが私をレギュレーションに戻す」
「技術規則と競技規則に焦点を当てれば、自然にコストと諸経費が削減される。予算上限は事実上、それを防ぐためのダムなので、上流に行ってコストドライバーがどこにあるのかを調べる必要がある」
「しかし、根本的な原因を本当に解決するには、上流に行って、コストがかかる技術および競技規則を調べる必要があると思う」
当初、F1の予算上限の計画は1億7500万ドルだったが、コロナウイルスの発生により、多くのチームの財政状況が不確実になった。その結果、2021年に1億4,500万ドルに設定され、2022年には1億4,000万ドルに減額。2023年には1億3,500万ドルに減額される予定だったが、インフレ調整が追加された。
しかし、クリスチャン・ホーナーは、インフレ率が世界的に、特に電力網の半分が拠点を置く英国で発生しているため、これを引き上げるべきだと考えている。インフレ率は2022年9月に史上最高の14%に達した。2022年12月には10%に減少した。
「確かにこの国（英国）では10％などのインフレを見ると、それは直接的な影響を及ぼし、従業員に不当に影響を与え、長く勤務している従業員を長引かせる」とクリスチャン・ホーナーは続けた。
「生活費の増加を説明するために、システムに責任を持ちながら、もう少し余裕が必要だと思う」
また、クリスチャン・ホーナーは、F1が史上最長の23レースで争うことになるように見えるため、スプリントレースの追加とカレンダーの拡大のために増加を主張している。
「我々が開催しているレースとそれらのレースの近接性、それらを整備するために必要なスペアを考えると、スプリントレースを導入するとき、レースをしないわけにはいかないので、より多くのスペアを運ぶ必要がある」とクリスチャン・ホーナーは語る。
「それらはすべて、収益に影響を与える意図しない結果をもたらす。したがって、2024年以降はそれを考慮する必要があると思う」
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