レッドブル・ホンダ vs メルセデス分析:予選での1秒差とレースペース / F1 70周年記念GP
『レースペースでは競争力を発揮できている』

F1 70周年記念GPの予選でポールポジションのバルテリ・ボッタスから1.022秒差をつけられた後にレッドブル・ホンダF1のマックス・フェルスタッペンが発したコメントだ。予選ペースで1秒の差があっても、レースでは戦って、実際に勝ってしまった理由はどこにあるのだろうか?

予選ペースは、マシンの純粋な速さだ。予選では燃料を1周アタックして帰ってこれるだけの最小限にとどめ、タイヤは一発のアタックで駄目になってもいいので最大限に使う。そして、エンジンも1周のアタックだけのために特別なハイパワーモードを使用する。

特にこの予選モードの先駆けであるメルセデスは予選Q3で大きなタイムアップを図っており、Q2からQ3で0.5秒はゲインしている。シルバーストンに当てはめれば、10km(13.6馬力)=0.25秒で計算すれば、約25馬力はアップしていることが考えられる。

マックス・フェルスタッペンも「予選では彼らに近づくのはとても難しいと思う。Q2、Q3に進むと、彼らはエンジンのパワーを上げるし、ストレートで0.4~0.5秒くらいゲインする。それと戦うのはとても難しい」とメルセデスの予選モードについて語っている。

では、レースペースと予選ペースの違いは何か。予選ペースの逆で長距離を走る場合の速さだ。燃料をレースディスタンスを走り切れるだけ積み、タイヤもスティントを走り切れるように労わり、エンジンも余分な負担をかけないようにここぞというときにしかハイパワーモードは使用しない。

興味深いことに、メルセデスのF1エンジンを搭載するウィリアムズは予選ペースは速くても、レースペースは良好ではないというレースが続いている。それは同じメルセデスのカスタマーであるレーシング・ポイントも同じだ。

レース前、レッドブル・ホンダ陣営は予選では1秒あった差もレースペースでは0.3~0.5秒に縮まるはずだと予想していた。ちなみにホンダのF1エンジンはメルセデスと比較して28馬力劣っていると報じられており、エンジン馬力の差だけでもそれくらいの差はつく。

では、マックス・フェルスタッペンはなぜ勝てたのだろうか?

実際、スタート直後の数周でメルセデスの2台とマックス・フェルスタッペンのラップタイムには0.5秒の差があった。だが、興味深いことに6周目にはその差は逆転。特に2番手のルイス・ハミルトンに対し、3番手のマックス・フェルスタッペンは約0.3秒上回っていた。

メルセデスの両ドライバーはどのタイヤでも5~6周でブリスターができていた。ブリスターとはオーバーヒートによりタイヤ表面に気泡ができる現象。

70周年記念GPでは前戦イギリスGP終盤のタイヤバースト問題を受けて、1段階柔らかくなったコンパンドに対し、フロント/リアともにタイヤの内圧が上げられていた(フロント25psi:リア21psiからフロント27psi:リア22psi)。さらに気温も若干ではあるが上昇していた。

メルセデスの2台はF1イギリスGPでタイヤがバーストした3台のうちの2台だった。その対策としてメルセデスは足回りを柔らかくセッティングしているようだった。これにより、メルセデスのタイヤにできた気泡はマシンにバイブレーションを発生させていた。そして、ハードタイヤでのロングランのペースがよくなかった。

逆にレッドブル・ホンダは、予選ペースの優先度を下げ、レースペースに照準を合わせていたようだ。それは決勝でのストレートスピードがメルセデスと同等で、タイヤの痛みが少なかったことからも想像できる。ハードタイヤではメルセデスよりもペースは良く、一貫性もあった。

そして、耐久性の高いハードタイヤでスタートしたことも奏功。バルテリ・ボッタスは13周目にミディアムからハードに交換した後、最初の5周はラップタイムでマックス・フェルスタッペを上回っていたものの、それ以降はフェルスタッペンの方がいいラップタイムで走っている。

レッドブル・ホンダは、メルセデスよりもハードタイヤでのレースペースが良く、一貫性もあった。それは32周目にマックス・フェルスタッペンとバルテリ・ボッタスが同時にハードタイヤに交換した後にフェルスタッペンの方がラップタイムが良かったことからも見て取れる。

このレースペースの差が、予選で1秒差をつけられていたマックス・フェルスタッペンがメルセデスの2台を倒すことができた要因だ。

だが、裏を返せば、メルセデスがレーストリムに失敗しただけだという見方もできる。その答えは、例年よりも気温が高い中で、70周年記念GPほどタイヤの硬さに無理がなく、オールマイティなカタロニア・サーキットで開催される今週末のF1スペインGPで出ることになるだろう。

レッドブル・ホンダ vs メルセデス:ラップタイム比較

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カテゴリー: F1 / レッドブル / ホンダF1 / メルセデス / F1イギリスGP