エイドリアン・ニューウェイ
レッドブルのチーフテクニカルオフィサーであるエイドリアン・ニューウェイは、現在提案されている2017年のレギュレーション変更案は“現状とそう変わらない”と考えている。

エイドリアン・ニューウェイは、空力を犠牲にしてエンジンが支配的な位置を占めているとして現在のV6ターボ規約を批判してきた。

2015年にルノー製パワーユニットのパフォーマンス不足に悩まされたレッドブルは、一貫してシャシーは強力だと強く主張している。

2014年からのメルセデスの圧勝や、F1マシンにはこれまでのような極限のスピードがないとする批判をきっかけに、2017年からはF1マシンを1周あたり5秒速くしようという提案がなされている。

これを実現するために、幅広のタイヤ、大型のディフューザーやフロントウイングなどが見込まれているが、そのような変更ではオーバーテイクが困難になる可能性があると指摘するF1エンジニアもいる。

F1で最も高名な空力技術者の一人であるエイドリアン・ニューウェイは、今の案ではF1の最大の問題を解決するには至らないと考えている。

「レギュレーション変更は新鮮なチャンスであり、私はいつもそれを楽しんできた」とエイドリアン・ニューウェイは The National にコメント。

「レギュレーションは次第に厳しくなっている。過去を振り返り、1970年代や1980年代を見てみれば、マシンの形状はいろいろと異なっていた。それはレギュレーションが比較的自由だったからだ」

「今、仮にピットレーンですべてのマシンを真っ白に塗れば、どのマシンがどのチームのものかを見極めるにはかなりの知識を必要とするだろう」

「レギュレーション変更は何か別のことをするチャンスを与えてくれる。しかし、2017年に向けて話し合われているレギュレーション変更については、実際のところ今あるものとそう変わらない。タイヤが少しだけ幅広くなり、空力レギュレーションがちょっと変わるだけだ。本質的には何も違わない」

空力についてはそう予想する一方で、エイドリアン・ニューウェイは小規模チームのためにコストを抑制した独立系エンジンを導入しようというFIAの動きに興味を示している。

この案はメルセデス、フェラーリ、ルノー、ホンダといったエンジンマニュファクチャラーが、1月15日(木)までにFIAへ代替案を示すのを待って保留にされている状態であるが、エイドリアン・ニューウェイは、この提案がF1にとって最良のアイデアだと考えている。

「エンジン供給とは、単に物質的なハードウェアにとどまらず、燃料やソフトウェアも関わってくる。したがって、最初にできることとしては、カスタマーチームが望めば、ワークスチームと同一のソフトウェアと燃料を使えるようにすることだ」

「それから、新たな人々をどう取り入れるかが第2の問題になる。アウディはおそらく他より難しいだろう。今、マニュファクチャラーにとってF1で戦うコストは莫大で、年間2億ユーロ(約256億5,000万円)をゆうに超える。おそらく3億ユーロ(約384億8,000万円)近いだろう。それだけ途方もない額だ」

「FIAが提案している案は別のエンジンであり、小規模チームが使用可能で競争力を有したFIAエンジンを取り入れようというものだ。これはとても良いソリューションになると思う。だが、マニュファクチャラーには歓迎されないだろう。これは戦いだ」

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング