2020年 F1バーレーンGP 決勝:ピレリ タイヤ戦略解説
ピレリが、2020年のF1世界選手権 第15戦 F1バーレーンGP 決勝でのタイヤ戦略を振り返った。

ポールポジションからスタートしたルイス・ハミルトンが2ストップ戦略で優勝した。P Zeroイエロー・ミディアムタイヤでスタートしたハミルトンは、19周目に中古のミディアムへ、35周目にP Zeroホワイト・ハードタイヤへ交換し、22周のファイナルスティントを走行した。

ハースのロマン・グロージャンの重大な事故後のバリア補修のために、レースは1時間以上遅延した。幸い、グロージャンは軽症だった。

リスタートルールの下、各チームはタイヤ交換と修理を行うことができた。メルセデスのルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタス、ルノーのダニエル・リカルド、マクラーレンのランド・ノリスの4名はタイヤ交換を行わなかった。

3周目からのリスタート時、上位9名はミディアムタイヤを装着していた。ハードを装着したドライバー中最上位グリッドのドライバーは、10番グリッドに位置したアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーだった。

リスタート後、セーフティカーが導入されたことと、サーマル・デグラデーションと摩耗を抑制する比較的冷涼な気温25℃・路面温度26℃というコンディションが、スティントを伸ばす効果をもたらした。

2位を獲得したレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは、ハミルトンと異なる戦略を採った。スタート時と再スタート時にミディアムを使用したフェルスタッペンは、第3・第4スティントを新品のハードタイヤで、ファイナルスティントで中古のミディアムで走行した。フェルスタッペンとハースのケビン・マグヌッセンのみが、4回タイヤ交換を行った。

今年のバーレーングランプリのタイヤ選択が昨年より一段階軟らかいものだったこともあり、ピットストップ数は例年よりも多くなった。

■各コンパウンドのパフォーマンス
【ハードC2】
6名を除く他の完走者がファイナルスティントで使用したハードタイヤは、路面が粗いバーレーンの路面でスピードと強さを示した。ガスリーは、1周目を除く全ラップを2セットのハードで走行し、6位を獲得した。

【ミディアムC3】
本日の代表的なコンパウンドとなった。予選Q2をミディアムで通過したトップ10グリッドを含む大半のドライバーがスタート時に装着したミディアムは、性能と耐久性の良好なバランスを示した。ハミルトンは、レースの半分以上をミディアムで走行した。フェルスタッペンは、11周のファイナルスティントをミディアムで走行し、ファステストラップポイントを獲得した。

【ソフトC4】
マクラーレンのカルロス・サインツJr.のみがレッド・ソフトでスタートした。リスタート時、サインツとアルファタウリのダニール・クビアトの2名のみがソフトを装着した。冷涼なコンディション下でソフトが機能したこともあり、15番グリッドからスタートしたサインツは、一時3位を走行し、最終的には5位でフィニッシュした。

マリオ・イゾラ(ピレリ カーレーシング責任者)
「まず何よりも、オープニングラップでの重大事故においてロマン・グロージャンが軽症で済んだことが救いでした。このことに比べれば、他の出来事は大きな意味を持ちません。そして、現代の安全基準が、この事故から命を救ったと思います。レースに関して、長い中断が戦略に影響を及ぼしました。すなわち、カルロス・サインツJr.がリスタート後のスティントで示した通り、ソフトタイヤが予想以上の性能を発揮しました。また、ミディアムタイヤのスティントがより長くなったと思います。この点は、ハミルトンの走行に代表されます。ハミルトンは、ふたつのロングスティントをミディアムで走行後、ハードタイヤへ交換してフィニッシュしました。ガスリーが2セットのハードを使用した2ストップ戦略で6位を獲得するなど、レース全体を通して、広範囲に渡る戦略が展開されました。F2でもタイヤマネジメントが極めて重要となり、ミディアムタイヤが数名のドライバーにとって重要な役割を演じました。デレトラズのみがミディアムでスタートし、その後ハードへ交換する戦略を完璧に活かし、F2の特徴とも言える後方からの激しい追い上げを見せました」

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カテゴリー: F1 / ピレリ / F1バーレーンGP