2019年 F1 モナコGP 決勝 | ピレリ タイヤ戦略解説
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優勝したルイス・ハミルトンは、「これまでで最もハードなレースだった」とコメント。ソフトでスタートしたハミルトンは、セーフティーカー導入周回中の11周目にミディアムへ交換する1ストップ戦略をとった。その後、78周のフィニッシュまで、より耐久性の高いハードタイヤで走行するライバルに猛追されながら、終始ミディアムでのペースコントロールを余儀なくされた。
■キーポイント
・ フェラーリのシャルル・ルクレールは、後方のスタートからの追い上げを計り、ライバルのマシンに接触した。この影響によるデブリを取り除くために、11周目にセーフティカーが導入された。上位勢の多くが、このセーフティカー導入周回中にピットストップをおこなった。
・ トップ走行中のハミルトンは、ミディアムタイヤへ交換した。レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、同じタイミングでハードタイヤへ交換するピットストップで2位へ浮上したが、アンセーフリリースによる5秒加算ペナルティーを科された。
・ 3位を獲得したメルセデスのバルテリ・ボッタスは、1回目のピットストップ時のフェルスタッペンとの接触によるホイールダメージにより、セーフティカー導入周回中に2回目のピットストップを強いられた。
・ ハミルトンは、フェルスタッペンに猛追されながら、ミディアムタイヤのライフを最大限にすべく、ペースをマネージメントした。
・ レッドブルのピエール・ガスリーは、5位のままポジションをおとすことなく、終盤にソフトタイヤへ交換し、ファステストラップポイントを獲得した。
■各コンパウンドのパフォーマンス
・ ハードC3: ハードは、ハミルトンを除く表彰台ドライバーに使用され、性能と耐久性の良好なバランスを示し、長い第2スティントの最適な選択となった。
・ ミディアムC4: ハミルトンがレースの大半で使用したミディアムは、フロントにグレイニングが発生しつつも、ライバルの追い上げを抑えるリアの強力なトラクションを維持していた。
・ ソフトC5: 大半のドライバーがソフトタイヤでスタートした。なかでも、ハースのロマン・グロージャンは、ソフトでのオープニングスティントで50周を走行した。
マリオ・イゾラ (ピレリ カーレーシング責任者)
「不安定な天候状態の下、レースの大半でハミルトンとフェルスタッペンとの争いが展開されるなど、スリリングなグランプリがみられました。ハミルトンとフェルスタッペンは僅差であったため、終盤の残り数周の時点では接触も発生してしまいました。ハミルトンは、セーフティカー導入周回中にミディアムへ交換するピットストップをおこない、ライバルたちよりも柔らかいこのコンパウンドを非常に効果的にマネージメントし、レースの残り66周を走行してフィニッシュしました。この点が、レースの決定的なポイントとなりました。フェラーリは、ベッテルにハードタイヤを装着させる戦略で表彰台を獲得しました。優勝へ導いたハミルトンのタイヤ管理能力を、ニキ・ラウダも誇りに思っていることでしょう」
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カテゴリー: F1 / ピレリ / F1モナコGP