キャデラックF1 初テストの舞台裏 “架空のFIAメール”“ERS緊急手順”も検証

チームはまだ自前のマシンでの正式走行には至っておらず、それは2026年1月に予定されるフィルミングデーまで待つことになる。その後、2月末のバルセロナ合同テストへ向け準備が進められる。
“架空のFIAメールアドレス”、ERS緊急手順、スタート手順まで──新チームが直面した実践的課題
キャデラックF1チームを率いるグレアム・ロードンは、今回のTPCテストがエンジニアリングや現場の動きを“リアルに再現する”ための重要な機会だったと語ったとされている。
ロードンはメディアに次のように語ったとされている。
「とても有益な演習だった。われわれは“レース・レディ”のプログラムを持っているが、新チームとして扱うべき経験値は膨大だ。シニアポジションには合計で2,500年以上の経験が集まっているが、全員が一緒に働き始めてからはまだ1年にも満たない」
ロードンは、エンジニアリング部門では“レース週末の丸ごとリハーサル”を行っていたと説明した。
「ヘッドセットを装着して、実際のレース週末と同じように週末全体を回す。提出書類も、われわれが作った“架空のFIAメールアドレス”宛にすべて送る仕組みで、部品供給の問題やレース中のトラブルなど、起こり得るシナリオはすべてシミュレーションされる」

しかし、“実車を触る練習”だけはシミュレーションではどうしても再現できない。そのギャップを埋めるのが今回のTPCテストだったとロードンは強調した。
「メカニックにはシミュレーションでは練習できない領域がある。だから今回のTPCの焦点は“クルマをテストすること”ではなかった。これはわれわれのマシンではなく、貸してくれたフェラーリには本当に感謝している。可能な限りリアルに近づけたかったし、タイヤブランケットの手順、スタート手順、Q1からQ2への迅速なターンアラウンドなど、F1マシンでしか学べないプロセスがある」
さらにロードンは、ERS関連の緊急対応手順がチームにとって重要な実地学習になったと明かした。
「やるべきことは山ほどあった。コースインして戻ってくる動作、戻ってきたクルマをどう扱うか、ERSシステムにアラームが出た場合の対処、ピットレーンにマシンが戻ってくる時の動き、そして異なるチーム出身のメカニックに“パワーユニットが違えばERS緊急時の手順も異なる”ということを思い出させる作業もあった」
ロードンは最後に、「本当に有益だった。他の新規参入チームにも、同じプロセスを強く勧めたい」と締めくくった。
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