ハンガロリンクを解説
ホンダのテストドライバーであるアレキサンダー・ブルツが、ハンガリーGPが開催されるハンガロリンクのサーキットを解説。

アレキサンダー・ブルツ
ハンガリーGPは、すごく楽しい。ブダペストの町並みは美しいし、ハンガロリンクも実に攻めがいのあるコースだ。まともなストレートはないに等しいが、各コーナーは密接に関連し合ってる。だからどれかひとつでミスしたら、3つあとのコーナーでもタイムロスの影響を被るような、そんな感じなんだ。

コースは路面にラバーが載るにつれ、グリップがどんどん付いてくる。初日のフリー走行と比較したら、レース中のラップタイムは5秒は速くなってる。そこへあの暑さが加わるんだから、ドライバーには本当に過酷だ。それから周回ごとにグリップが変わるために、マシンセットアップは本当に難しい。

時速290kmでターン1に到達し、進入で2速に落とす。立ち上がりで加速するが、すぐにターン2が迫ってくる。この長い左コーナーはギアレシオによって、2速か3速で抜けていく。進入の路面がちょっとバンピーだから、ロックさせないよう気をつけないといけない。そして立ち上がりは、最大限のトラクションを発揮するように。次のターン3は全開でクリアして、できるだけスピードを乗せて短い直線を駆け抜けていく。

左のターン4は、5速の高速コーナーだ。なのに進入はブラインドで、立ち上がりはすごく狭くなっている。すごくミスを犯しやすいポイントだ。でもリズミカルな走りができてれば、ここでスピードを乗せて、タイムを稼げる。普通高速コーナーでは、大幅なタイムアップは期待できないものだけど、ここではそれが可能だ。マシンとドライバーが、一体になっていればね。

ターン5は、個人的には大好きなコーナーだ。ここではまるで、ゴーカートのような攻め方ができるから。ブレーキを踏み、クルマを放り投げる感じでコーナーに飛び込んでいく。四輪をドリフトさせながら、バンピーな路面に必死で逆らいながら、駆け抜けていくんだ。次はターン6と7のシケイン。右手の縁石には、ぶつかるように乗る。でも左側は、触れちゃダメだ。立ち上がりの時に、後輪が不安定になるから。

短い直線のあとに、ターン8と9が控えてる。もしマシン前部が安定していれば、4速左コーナーのターン8でかなりタイムを稼ぐことができる。立ち上がりでは、左側のラインを外れないようにする。そうすればそのまま理想的な形で、ターン9に突っ込める。ここはすごく滑りやすい右コーナーだ。もし進入でスロットルを戻すのが早すぎると、突然のオーバーステア状態に陥る。逆に戻し方が優し過ぎると、ひどいアンダーになる。罠にはまりやすいコーナーだ。

ターン10は全開の左コーナーで、すぐにターン11に突っ込んでいく。6速でこの高速右コーナーに達したら、5速にシフトダウン。フロントタイヤがしっかり路面を掴んでくれることを祈りながら、思い切って右にステアリングを切る。ここから丘を駆け降り、フルブレーキングで2速にシフトダウン。右のターン12に達する。立ち上がりの縁石に乗ると、タイムロスしてしまう。

最終コーナーひとつ前のターン13は、進入がすごくバンピーだ。同時にブレーキングは、遅れ気味になることもある。3速で進入し、クリップから全開。マシンのリアは、スロットル操作でコントロールする。短い加速のあと、最終コーナーに突入する。ここもやはり進入がバンピー、そしてすごく滑る。ところがコーナーの真ん中でアスファルト舗装が突然変わって、グリップが増す。その瞬間に、スロットル全開だ。この時点では立ち上がりは完全にブラインドだけど、すぐに見えてくる。そしてスタート・フィニッシュラインを、通過して行くんだ。

このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリー: F1 / F1関連