MotoGP ホンダ
2019年シーズンのMotoGPの開幕戦となるカタールGPが、現地時間3月8日(金)から10日(日)までの3日間、ドーハ郊外にあるロサイル・インターナショナル・サーキット(5.380km)で開催される。カタールGPは、今年で16回目を迎える。

カタールGPは、04年に第1回大会が行われ、08年には史上初のナイトレースとして開催され、大きな話題となった。

11年からは、夜間の作業を軽減するため、通常3日間の開催を4日間に分散する変則スケジュールとなったが、昨年からはナイトセッションの走行時間を減らし、セッション開始時間を早める措置が取られ、再び、3日間開催となった。

スケジュールの変更で、Moto3クラスの決勝はデイタイム、Moto2クラスは日没前後、MotoGPクラスは、午後8時からのスタートとなる。

すでに、新しいスケジュールにあわせ、2月23日から25日までの3日間、午後4時にスタートして午後9時までの5時間で公式テストが行われ、Honda勢は、本番に向けて準備を整えた。

49年にスタートしたロードレース世界選手権(WGP)は、シーズン6戦でスタートした。70周年の節目を迎えた昨年に続き、今年も15カ国で19戦という史上最多開催数となる。

昨年、3年連続5回目(3クラス通算7回)のタイトルを獲得したマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、マレーシア、そしてカタールテストと着実にテストメニューを消化した。昨年12月に脱臼癖のついた左肩の手術を行ったマルケスは、マレーシアテストは周回数をセーブしたが、肩の回復に合わせ周回数を増やし、カタールテストでは、ほぼ、通常の周回数を消化できるまでに回復した。これまでは、左肩に不安を抱えてのシーズンだったが、今年は不安を解消してのシーズンとなる。

今年は、年明けのウインターテストがマレーシアとカタールの2回・計6日間と短いものだったが、長いシーズンに向けてマルケスは、どんな状況にも対処しようと多くのメニューを消化、開幕戦に向けて最終確認を終えた。

マルケスは、125ccとMoto2クラスで26勝、MotoGPクラスでは6シーズンを戦い44勝を挙げ、グランプリ歴代5位の3クラス通算70勝を獲得。3クラス通算で80回というポールポジション記録は、史上最多記録を更新中。今年の2月に26歳になったマルケスは、これまで数々の史上最年少記録とグランプリ記録を塗り替えてきた。今年はいくつの記録を更新するか注目される。過去、カタールGPでは、14年に優勝経験はありますが、シーズンを通して苦戦するサーキットの一つ。しかし、昨年はし烈な優勝争いを繰り広げての2位。今年は、よりパフォーマンスを向上させた2019年型RC213Vで5年ぶりの開幕Vと2年連続の開幕戦表彰台獲得が期待される。

今年から新たにRepsol Honda Teamに加わったホルヘ・ロレンソは、心機一転のシーズンを迎える。昨年のシーズン中に発表された移籍のニュースは、世界中に大きな話題を提供した。昨年の最終戦バレンシアGP後に行われた注目の公式テストは、シーズン中のケガが完全に回復していない状態だったが、MotoGPクラスで過去3度のタイトルを獲得した実力をしっかりと証明した。

年明けのテストも、トレーニング中のケガのためにカタールテストのみの参加となったが、ケガは順調に回復し、本番に向けたセットアップを進めた。このテストでは完全なアタックはしなかったが、それでも上位とほとんどそん色ない走りを披露。世界中が注目する中で開幕戦を迎えることになる。ロレンソは、これまで通算68勝を挙げている。この記録はチームメートのマルケスに続き歴代6位の優勝数を誇る。Repsol Honda Teamとしては、25年の歴史の中で初めて、チャンピオン2人が肩を並べるシーズンとなる。これまでマルケスにとって最大のライバルの一人だったロレンソが加入し、チームの総合力はアップ。4年連続のライダーズタイトルとコンストラクターズタイトル、そして3年連続のチームタイトルと3冠獲得を目指す。

昨年のオーストラリアGPで右足を負傷し、オーストラリアGP、マレーシアGP、バレンシアGPの3戦と11月の公式テストを欠場したカル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)は、ケガをした右足も順調に回復し、ほぼ万全の状態で開幕戦を迎える。クラッチローは、15年シーズンに現チームに移籍して今年で5年目のシーズンとなる。昨年は、シーズン終盤のケガの影響でランキング7位だったが、今年はその悔しさをぶつけるシーズンになる。クラッチローは、17年シーズンからHRCライダーの仲間入りを果たした。これまでRepsol Honda Teamとともにニューマシンの開発に携わってきた。高いモチベーションで挑む19年シーズン。これまで通算3勝を挙げているが、16年のシーズン2勝を超える活躍が注目される。

MotoGPで2年目のシーズンを迎える中上貴晶(LCR Honda Idemitsu)は、今季、最高のモチベーションで開幕戦を迎える。昨年11月のバレンシアとヘレスのスペインテスト、そして年明けのマレーシア、カタールとすべてのテストをトップ10内で終えた。デビューした昨年よりはるかに高いステージで戦えることをしっかり証明し、今年の飛躍が期待される。マシンは2018年型チャンピオンマシンのRC213V。ウインターテストで、エンジン、車体ともに高いパフォーマンスを感じ取っているだけに、開幕戦カタールGPでは、昨年のベストリザルトとなった最終戦バレンシアGPの6位以上が期待される。

マルク・マルケス(MotoGP 18年チャンピオン)
「やっと新しいシーズンが開幕します。この冬は左肩の手術をしたので、いつも違うオフシーズンとなりました。開幕戦をベストコンディションで迎えるために、毎日5時間、理学療法を行ってきました。そのため、カタールテストでは、マレーシアテストのときよりもかなり状態はよく、今はほぼ100%の状態になりました。マシンを改善するためにHondaは一生懸命がんばってくれました。カタールは、いつもあまり相性がよくないサーキットですが、テストでは強さを感じることができました。でも引き続き前進しなければなりません。カタールはいつも特別なラウンドです。開幕戦だから、というだけではなく、路面コンディションも特別だからです。気温には特に注意を払い、決勝に向けて集中しなければなりません」

ホルヘ・ロレンソ(MotoGP 18年総合9位)
「カタールGPのグリッドに並ぶ自分の姿を、オフシーズン中、ずっとイメージしてきました。僕とチームの新しい時代の始まりであり、Repsol Honda Teamのライダーとして走る特別な瞬間の到来です。Hondaですばらしい結果を達成するために全力を尽くす準備はできています。残念ながら、まだこのマシンでは、限界の力を出せていませんが、いい結果を達成できると信じています。MotoGPクラスはこれまで同様、厳しい戦いになることは間違いありません。しかし、すばらしいバトルができるパッケージがあります。大きな成果を上げられると確信しています」

カル・クラッチロー(MotoGP 18年総合7位)
「こうしてまた、レースができることをとてもうれしく思います。フィリップアイランドでケガをしてから、マレーシアで再びマシンに乗るまで、とても長く感じました。セパンではいいテストを行えましたが、カタールテストは完ぺきとは言えませんでした。Hondaもチームもいい仕事をしています。これまでのテストで得たデータを懸命にチェックしています。マシンのフィーリングをさらに改善するためになにが必要なのかということは分かっているので、いい状態になるはずです。ここはあまり相性がいいサーキットではありませんが、とにかく、またレースができることがうれしいです。昨年はここで4位とすばらしい走りができたので、そこからさらに前進できることを願っています。一番の目標は、レースウイークをしっかり走り切って、今後のレースへ向けて、右足首の力をつけていくことです」

中上貴晶(MotoGP 18年総合20位)
「今年のマシンのフィーリングはとてもいいので、レースがとても楽しみです。また、オフシーズン中の努力が、決勝に向けてどのように役立つのか楽しみです。2週間前にカタールでテストをしたとき、チームととてもいい仕事ができました。ペースはとてもよくて、開幕戦がとても楽しみになりました。開幕戦は期待も大きく、ナイトレースは特別な雰囲気があります。Hondaとチーム、そしてすべてのスポンサーとファンのためにベストを尽くします」

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カテゴリー: F1 / MotoGP