MotoGP ロードレース世界選手権 チェコグランプリ
MotoGP 後半戦のスタートとなった第10戦チェコGPは、ウエットで始まり、次第に路面が乾いていくという難しいコンディションとなった。レース序盤にほとんどの選手がスリックタイヤを装着したマシンに乗り換えるフラッグ・トゥ・フラッグとなったが、こうしたコンディションで圧倒的な強さを発揮するマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、ライバルの追随を許さない走りで、今季3勝目を挙げた。

チェコGPで会心の勝利を挙げたマルク・マルケスは、グリッドについた時点で、ハードコンパウンドの感触があまりよくなかったことと、路面がすぐに乾いていくだろうという予想を理由に、レインのリアタイヤをソフトへと変更。序盤にリードを広げてから、マシンをチェンジしようという作戦だったが、ソフトタイヤのスピニングが激しかったことから、スタートして2周目にピットに入ることを決断。結果的にこの判断が、マルケスを有利な戦いへと導くことになった。

ポールポジションからスタートし、オープニングラップでトップに立ったマルク・マルケスは、2周目のマシンチェンジにより、19番手までポジションを落とした。しかし、4周目に12番手、5周目に2番手、そして6周目についにトップに浮上すると、そのまま後続を大きく引き離し、一時は2位以下に20秒以上のリードを築く好走をみせ、22周のレースで真っ先にチェッカーを受けた。

これで前戦ドイツGPからの2連勝、そして今季3勝目を挙げたマルク・マルケスは、ポイントランキングでも2位以下へのリードを広げ、2年連続4回目のタイトル獲得に向けて、また一歩前進した。

3番グリッドからスタートしたダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、4周目を終えてマシンチェンジを行った。そのため、5周目には8番手までポジションを落とすが、9周目に2番手に浮上すると、後続を引き離し、そのまま2位でフィニッシュした。

今季6度目となる表彰台の獲得を果たしたダニ・ペドロサは、総合首位をキープしたチームメートのマルク・マルケスとは31点差とポイントは開いたが、総合2位のマーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)とは17点差、総合3位のアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)と10点差、そして総合4位のバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)とはあと9点差に迫っている。

Repsol Honda Teamの1-2フィニッシュは、第4戦スペインGP以来、今季2度目となった。

カル・クラッチロー(LCR Honda)は、2年連続の大会制覇と表彰台獲得は果たせなかったが、大荒れのレースをしっかり走りきって、5位でフィニッシュした。マシンの乗り換えはペドロサと同じタイミングだったが、乗り換えてからのペースの上げ方が課題になった。次戦オーストリアGPでは、今大会の雪辱に挑む。

予選15番手から決勝に挑んだジャック・ミラー(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は14位でフィニッシュ。予選21番手のティト・ラバト(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は17位につけた。

マルク・マルケス(MotoGP 優勝)

「みんながアンヘル・ニエトのためにレースをしていたので、とても特別な日曜日になりました。でも難しいレースでした。グリッドではソフトのリアタイヤを使うというリスクを負いました。マシンを乗り換える前の5周でペースを上げられると思ったからです。でも思ったようにはいきませんでした。すぐに苦戦し始め、ポジションをかなり落としました。それが分かったので、すぐにピットに入ってスリックのマシンに乗り換えることにしました。まだ路面はかなり濡れているところがあり、リスクを負うことは分かっていました。実際、1周目には危うく転倒するところでした。フラッグ・トゥ・フラッグでは乗り換えてからマシンの感触を得るのがとても難しいのですが、すぐにグリップを理解できるように努力しました。正直、少しリスクを負いましたが、今日はそういうリスクを負わなければいけない日でした。大きくギャップを広げたときは、とにかくうまく走り、レースを完走できるようにがんばりました。この結果はとてもうれしいです。このサーキットはいつもならとても苦戦するところで、毎年不安になるサーキットです。25ポイント獲得できたのは、とても大事なことでした。すばらしい仕事をしてくれたチームに感謝しています。夏休みの間にテストをするという正しい戦略を立てることができました。おかげでここへ来たときには準備は整っていました。一歩一歩、前進しています。チャンピオンシップはまだ接戦です。どのようなコンディションでも速く走れなければなりません」

ダニ・ペドロサ (MotoGP 2位)

「今大会は、昨日の予選も、表彰台に立った今日の決勝レースも、すべての状況において戦闘的でした。パフォーマンスにも、マシンの感触にもとても満足しています。細かい部分は改善していかなければなりませんが、全体的にシーズン前半より力強い感触があります。マシンを乗り換えるタイミングは改善しなければなりませんが、今日の経験から学んでいきたいです。通常は、まだ少し路面が濡れているときにスリックタイヤにスイッチするのは、非常に集中しなければなりません。ここはマルクの強みでもあります。彼はこのようなコンディションでいつもとてもうまいからです。今後も同じような集中力を維持できるようにならなければなりません。とにかく、チームとミシュランのおかげですばらしい感触があったので感謝したいです。トップのマルクに対して5ポイント失いましたが、ほかのライバルに対してはいくつかポイントを取り戻しました。夏休みの間にテストに来るという戦略は正しかったように思います。特にこのサーキットでは事前にマシンのセッティングが決められたことがよかったです。またマシンの細かい部分も改善できました。シーズン後半へ向けて、さらに快適に感じています。チャンピオンシップにあまり気をとらわれないようにして、すべてのレースに集中して、いいパフォーマンスをしていきたいと思います」

カル・クラッチロー (MotoGP 5位)

「ペドロサと表彰台争いができたらうれしかったと思います。彼がピットに戻ったときに僕も戻りました。彼は再スタートが僕よりもうまくて、(ダニロ)ペトルッチ(ドゥカティ)をすぐにパスしました。ドゥカティをパスするのはとても難しく、彼をパスするのにペドロサよりも10周以上多くかかりました。ペトルッチをパスしてからはプッシュすることができましたが、(マーベリック)ビニャーレス(ヤマハ)にパスされてしまいました。レースウイークに関しては全体的に満足しています。ブルノでトップ5でフィニッシュできてよかったです。目標は表彰台だったので、表彰台に上がりたかったです。チームは今週すばらしい仕事をしてくれました。HondaとLCRチームに感謝しています。次のオーストリアではいい仕事がしたいです」

ジャック・ミラー (MotoGP 14位)

「セカンドバイクの準備ができるのを待つために、何秒か貴重な時間を失いました。それでもトップ10フィニッシュができると思っていました。しかし、フリー走行で、ユーズドタイヤで簡単に走れた1分57秒台がなかなか出せませんでした。リアタイヤのグリップのフィーリングが違って、想定していたタイムをなかなか出すことができませんでした。フロントのフィーリングはとてもよかったのですが、それを結果につなげることはできませんでした。厳しいレースになりましたが、なんとかポイントを獲得できてうれしいです」

ティト・ラバト (MotoGP17位)

「レースはレインタイヤで始まりました。レインタイヤではいい感じに走ることができました。しかし、スリックタイヤを装着したマシンにチェンジしてからは、それまでのグループにとどまろうと一生懸命走りましたが、いくつかミスをして遅れてしまいました。このトラックは私にとっては簡単ではありません。一人で走っているときは特に厳しい状態です。今日の一番の問題はリアのグリップがあまりよくなかったことですが、ビニャーレスと(ホルヘ)ロレンソ(ドゥカティ)にはついていける自信はありました。でも、今日は一生懸命に働き、問題を見つけることができました。次のオーストリアGPを楽しみにしています」

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カテゴリー: F1 / MotoGP