MotoGP:ホンダ、撤退したスズキから技術マネージャーの河内健を獲得
ホンダは、MotoGPから撤退したスズキでテクニカルマネージャーを務めていた河内健を獲得。HRCのMotoGPプロジェクトを担当するテクニカルディレクターを務める。

河内健は、過去10年間スズキのMotoGPプロジェクトに参加し、テクニカルマネージャーとして、プロジェクトリーダーの佐原真一、チーム代表のダビデ・ブリビオという体制で、2020年のMotoGP世界選手権でジョアン・ミルがGSX-RRでタイトルを獲得した。

スズキは、2015年にMotoGPが復活して以来、2016年のシルバーストーンでのマーベリック・ビニャーレスによる初勝利以来、新しい直列4気筒モーターサイクルで合計7回の勝利を祝ってきた。そして、2022年シーズンの終わりに撤退を決定したが、同シーズンでスズキのアレックス・リンスは、フィリップアイランドとバレンシアで2勝を挙げた。

河内健は、2016年からHRCでMotoGPプロフェクトのテクニカルマネージャーを担当していたが、過去3年間のパフォーマンスの低さで解任された横山健男のポジション位を引き継ぐ。前任の横山健男はHRCに残り、今後は日本の若手エンジニアを育成していく。

新しいHRCのテクニカルディレクターとなる河内健は、ホンダの4人の現在のMotoGPライダーのうち2人をよく知っている。レプソル・ホンダでは、ジョアン・ミルがポル・エスパルガロ、LCRホンダではアレックス・リンスがアレックス・マルケスに代わって加入する。

河内健は、スズキの豊富な経験と多くのデータを備えての加入となり、ホンダ RC213Vの2023年バージョンを育て上げていく。彼の知識とスキルは、業界でも競合他社でも誰もが認めるもの。ホンダは、特に空力の分野で競合他社のバイクに大きく遅れをとっている。

中上貴晶のクルーチーフであるジャコモ・グイドッティは、レプソル・ホンダで再び働き、そこでジョアン・ミールの面倒を見る。また、ポル・エスパルガロ・ホンダのクルーチーフだったラモン・アウリンは、ステファン・ブラドルをテクニカルディレクターとしたHRCテストチームの監督を務めることになった。

レプソル・ホンダのチームマネージャーのアルベルト・プイグは「HRC はテクニカルマネージャーとして河内健と契約した」とで報告した。

つまり、ホンダはスズキのMotoGP撤退を利用し、強力なライバルから新鮮なアイデアを得ることになる。

MotoGPで6度の世界チャンピオンに輝いたマルク・マルケスは、HRCに勝利するバイクを求め、ヨーロッパのメーカーを革新と開発スピードの模範となる存在として讃えた。

それ以来、HRCは大きく変わった。9月から誇り高き「社内」の伝統を打ち破ってカレックスのアルミニウム製スイングアームが採用され、数日前にはアクラポビッチとの長期提携が発表された。

そして、マルケスも2022年のファクトリーホンダのエンジンパワー不足を常日頃から訴えていた。スズキも2015年以降、馬力の不足を痛感し、オーストリアのパンクル・レーシングでGSX-RRの直列エンジンをチューニングしてもらったことが知られている。

河内健がHRCでこの選択肢を選ぶかどうかは、まだわからない。なぜなら、シーズン中はエンジン開発が凍結されたままだからだ。2023年のエンジン仕様は3月23日にホモロゲーションを取得する必要があるため、時間がない。

ヤマハでは、元F1エンジンマンのイング・マルモリーニが、1年前からすでにM1エンジンのチューニングを始めている。

ちなみに、パンクル・レーシングのオーナーは、KTMのボスであるステファン・ピエラーだ。

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カテゴリー: F1 / MotoGP