マクラーレン ホンダF1 アメリカグランプリ
マクラーレン・ホンダは、F1アメリカグランプリの決勝で、ストフェル・バンドーンが11位完走。フェルナンド・アロンソはMGU-Hの問題により、リタイアでレースを終えた。

マクラーレン・ホンダは信頼性の問題に悩まされ、F1アメリカポイントをポイント圏外で完走するという残念な結果となった。

今朝、ストフェル・バンドーンのMGU-Hに問題があることが発覚。ピットレーンが開く前にMGU-Hだけを交換する時間が十分になかったため、パワーユニット一式を交換することをチームとして決断した。このため、金曜日の朝に行ったICE(内燃機関)の交換に伴う元々の5グリッド降格ペナルティーに加えて、ストフェル・バンドーンのスタートポジションがさらに25グリッド下がる結果となった。

ストフェル・バンドーンは最後尾からすばらしいスタートを切り、1周目に前を走る3台のマシンをオーバーテイクすると、徐々にポジションを上げ始めた。今回初めてレースに臨むコースで見事なバトルを繰り広げ、マーカス・エリクソン(ザウバー)、ケビン・マグヌッセン(ハース)およびランス・ストロール(ウィリアムズ)をオーバーテイクした(※ストロールには、その後、最終ラップで抜き返される)。最終的にはストフェル・バンドーンは果敢な走りをみせながらも、入賞を僅差で逃す12位で完走。今日のレースで彼の努力が報われることは、ほとんどなかった。

一方、フェルナンド・アロンソは、レース開始前にペナルティーを受けることはなかったものの、彼も信頼性の問題に悩まされた。ストフェル・バンドーンと同様に力強いスタートを切ったフェルナンド・アロンソは、周辺のマシンとの差を維持し、1回目のピットストップを行うまでは堅実なペースをみせてした。ただ残念ながら、8番手(前方のフェリペ・マッサ(ウィリアムズ)がまだピットストップを行っていなかったため、実質7番手)で走行していた24周目にパワーを失い、マシンをリタイアせざるを得まなかった。この問題は、後にMGU-Hの不具合と診断された。

フェルナンド・アロンソ (リタイア)

「今日は、ポイントを獲得するに値する走りをしたと思う。予選をいいかたちで進めたし、決勝では好スタートを切って、いいレースをしたものの、その努力が報われることはなかった。ただ僕たちとしては、すばらしいパフォーマンスが披露できたと思っている。ストレートを走行中に、パワーを失った。パワーユニット内で振動を感じたが、非常に奇妙なことが起こっていたように思う。本当に残念だ。ここ数戦でずいぶんポイントを失った。おそらく15~20ポイントぐらいだと思うが、それを獲得できていれば、チャンピオンシップ争いにおける自分自身とチームの順位も少しは上がっていたかもしれない。今日は7番手を走行しており、自分たちの手で勝ち取ったポジションだっただけに、とりわけ痛みを伴う結果だ。今季も残り3戦となった。ガレージのメンバーはマシンをちゃんと準備するために日夜仕事に励んでいるので、ドライバーである僕はいい仕事をしたいと切に願っている。今朝も彼らはストフェルのパワーユニットを交換しなければならず、マクラーレンとホンダのメンバーが一緒にその作業をしていた。その後、彼らはレースに向けて準備をし、完ぺきなピットストップを実施してくれた。今日は本当に惜しいチャンスを逃した」

ストフェル・バンドー (12位)

「実際、今日は僕にとってはかなりエキサイティングなレースだった! ポイント獲得には至らなかったものの、難しい予選と最後尾からのスタートという逆境に遭遇しながらも、非常にいいパフォーマンスを披露できたと思う。コーナーで何度もオーバーテイクをしたが、ストレートでのスピードが不十分であることを考えると、予想外のパフォーマンスだったのかもしれない。戦略はよかったし、コース上でいいバトルを展開することができた。自分のペースには満足しているし、今日は自分たちのポテンシャルを最大限に引き出すことができたと思う。ポイントを僅差で逃したことは残念だ。ただ、今日はペナルティーにより最後尾からスタートしたので、苦しいレースになることは分かっていた。コース上でオーバーテイクをし、自分たちの競争力がそこそこあるときには励みになるし、常に満足感が得られる。残りの数戦がどういう展開になるのかはそれぞれの状況次第だと思う。一部のコースは、ほかのコースよりも僕たちのマシンに合っていることは分かっている。とにかく、今回はポイントを獲得すべきコースだったと思う。メキシコでさらにペナルティーを受けることはないとは言いきれないが、どうなるのかみてみよう。そして、どんなチャンスも最大限に活かせるようにしたいと思う」

エリック・ブーリエ (マクラーレン・ホンダ レーシングディレクター)

「今日は、両ドライバーの才能をこの目で確認しながらも、それが結果に結びつかない残念なレースだった。フェルナンドは見事なスタートを切り、1回目のピットストップを行うまでの第1スティントは集団の中でいいペースを維持していた。彼には7位もしくは6位で完走し、チームにとって価値あるポイントを獲得する能力があった。それが、今週末を通してストフェルのマシンで直面した数々の問題に加えて、今度はフェルナンドのマシンにMGU-Hの不具合が生じたことによって、そのチャンスが奪われた。今年のアメリカGPでは大いにポテンシャルがありながらも、フェルナンドが幸運に見舞われることはなかったように思う。それは、我々全員にとって胸が張り裂ける結果だ。一方のストフェルは、MGU-Hに不具合があることが今朝発覚し、レースに間に合うように彼をコース上に送り出すにはパワーユニット一式を交換する必要があったことから、元々の5グリッド降格ペナルティーに加えて、さらに25グリッド降格ペナルティーを受けた。その結果、ストフェルは最後尾からのスタートとなり、入賞はほぼ不可能な状況だった。それでもストフェルは今回初めてレースをするサーキットで、テレビ画面には映し出されなかったものの、果敢なオーバーテイクを4回以上行うという見事な走りをした。今季残り数戦の内の1つが開催されたこのサーキットでは、もっと前向きな結果を期待していただけに、こういった問題によって力強い結果を出すチャンスが奪われたことは非常に残念だ。今日フェルナンドのマシンに不具合が発生したことで、次のメキシコ戦も厳しいレースとなるが、我々は戦い続ける」

長谷川祐介 (ホンダ F1プロジェクト総責任者)

「ポイント獲得を期待して迎えた今回のアメリカグランプリですが、信頼性の問題によりノーポイントと、非常に残念なかたちで終えることとなりました。ストフェルについては今日の午前にMGU-Hの問題が見つかったため、エンジン交換を行いました。そのペナルティーにより最後尾からのスタートとなりましたが、いくつものオーバーテイクを決めて12番手まで追い上げをみせてくれました。いいペースで走っていただけに、最終的にもう少しでポイント獲得に至らなかったことは悔しく感じています。フェルナンドは今日も素晴らしいスタートを決め、その後もライバルからポジションを守り続けましたが、こちらも途中でMGU-Hのトラブルが発生してしまい、レースを終えることとなりました。ここ最近では比較的安定していたパワーユニットの信頼性の問題が、この週末に複数発生してしまったことを非常に残念に思っています。次のレースが来週末に迫っていることもあるので、HRDさくらと一緒になり、早急に原因の分析を進めます」

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カテゴリー: F1 / マクラーレンF1チーム / ホンダF1 / F1アメリカGP