マクラーレン・ホンダ F1
マクラーレン・ホンダは、F1カナダGPの決勝で、ストフェル・バンドーンが14位、フェルナンド・アロンソは残り2周までポイント圏内の10位を走行していたが、ホンダのF1エンジンが故障し、リタイアとなった。

F1カナダGPは、マクラーレン・ホンダにとって難しい一日となった。フェルナンド・アロンソもストフェル・バンドーンも1周目の混乱をうまく避け、幸いにも、アロンソはマシン3台によるアクシデントに巻き込まれずに済んだ。

バンドーンは力強いスタートを切り、アクシデントの混乱の間に順位を上げ、1周目の最後には11番手に浮上した。

両ドライバーは最初のスティントを長めにとった1ストップ戦略を選択し、すぐに集団の中の各ポジションに落ち着いた。マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がリタイアしたあとにバーチャルセーフティカー(VSC)が出され、バンドーンはVSCが終了する前にケビン・マグヌッセン(ハース)にオーバーテイクされた。これによりマグヌッセンには後にペナルティーが科せられたものの、ジル・ヴィルヌーヴ・サーキットのパワーを必要とすることで有名なストレートで、バンドーンは後続集団に対して苦しい戦いを強いられた。バンドーンは3周走行するうちに4つのポジションを失い、反撃するパワーがないまま、ピットストップを実施。その後は、残りのレースの大半を15番手で走行した。そして、70周のレースの67周目で、14番手のポジションとなった。

そのポジションアップはアロンソのリタイアによるものだった。アロンソは今季初めてポイント圏内(10位)を走行していたが、レース終了まで残り3周の時点でリタイアと言う残念な結果となった。アロンソは67周目でパワーユニットの不具合により油圧を失い、レースをリタイアせざるを得なかった。

フェルナンド・アロンソ (リタイア)

「残り数周の時点でポイント圏内を走行していたものの、エンジンに不具合が発生した。当然のことながら、フラストレーションが溜まるが、それは今日ポイントを逃したことだけが理由ではない。ドライバーとして、僕たちはここに来て、できるだけ速くドライブするように努力していた。ポイントを逃したことは残念だし、加えて日夜懸命に仕事をし、マシンと戦略を準備し、一つ一つの細かい部分をみてくれているチームのメンバーのことを考えるとなおさらだ。僕たちのシャシーはコーナーではかなり力強い感触があるが、ストレートの真ん中でみんなにオーバーテイクされてしまう。難しい状況に置かれていると思う。カナダのファンの皆さんからの応援は、すばらしかった。なので、自分のマシンが止まったとき、なにか恩返しをすべきだと思い、応援してくれていた方々に自分のグローブを渡そうとグランドスタンドに向かった」

ストフェル・バンドーン (14位)

「難しいレースだった。スタートする前から、多かれ少なかれそれはわかっていたと思う。ストレートでは厳しい戦いを強いられたし、今日のレースで必要とされていた燃料セーブの量も僕たちにとっては痛手だった。他のマシンのストレートスピードは本当に目を見張るものがあり、僕たちは簡単に抜き去られてしまった。最終的に完走したものの、期待した結果ではなかった。前方の集団についていくのが非常に難しく、ついていけたとしても、僕たちは弱く、ポジションを守るパワーがない。従って、ライバルチームのマシンに追い抜かれないように工夫する必要があるけど、そうすると、すべてがとても難しくなってしまう。不満を言っていても仕方がないので、自分の仕事を全うするのみだ。ただ、実際にライバルチームとレースできるようになるために、早急に改善できることを願っている」

エリック・ブーリエ (マクラーレン・ホンダ レーシングディレクター)

「チェッカーフラッグまであと少しの時点で10番手を走行したので、今季初めて入賞を願った。もちろん、我々が願っていたのは、素晴らしい結果とはとても言い難いものだ。過去2年半のレースで毎回見事な走りを披露してきたように、今日も午後のレース全体にわたって素晴らしい走りをしたフェルナンドにとっての、ワールドチャンピオンシップポイント1点に過ぎない。それでも、これまでに多大な苦労があっただけに、その1ポイントですら勝利であるかのように感じたことだろう。それなのに、また大事なところで不具合が発生した。自分たちの残念な気持ち、フラストレーション、そして悲しみを表現するために正しい言葉をみつけるのは、容易ではない。だから、これだけ言っておこう。単純に、そして確実に、今の状態では不十分だ」

長谷川祐介 (ホンダ F1プロジェクト総責任者)

「あとわずかなところでポイントを逃してしまったことを本当に悔しく思っています。もちろん、ポイント獲得が最終目標ではありませんが、もしも入賞できていたら、苦しかったここ数レースを考慮すると、小さな前進になっていたのではないかと思っています。フェルナンドはスタート直後のクラッシュをうまく回避し、その後もいいペースを維持しながら粘り強い走りを続けてくれました。いいタイミングでのピットストップ戦略など、チーム一丸となりポイント獲得のために全力を尽くしてくれましたが、残念ながら残り3周でエンジンの問題によりレースを終えることになってしまいました。問題の詳細についてはHRDさくらでの解析を待つことになります。ストフェルについてはいいスタートを決めましたが、バーチャルセーフティカー明けでタイヤマネジメントの差により抜かれてしまったことは残念でした。ただ、レースを完走できたことは前向きに捉えています。まだまだライバルとの差は大きいですし、信頼性ももっと向上させなければなりません。もちろんこのままでいいとは全く思っていませんし、少しでも差を詰めるために、今後も懸命に開発を続けていきます」

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カテゴリー: F1 / マクラーレンF1チーム / ホンダF1 / F1カナダGP