F1ラスベガスGP 予選 ピレリ総括:異例の“砂漠のウェット”が戦略を直撃

予選は全編を通してウェットコンディションで行われ、スリリングな展開となったが、マクラーレンのドライバーはQ3で1分47秒934のベストタイムを記録した。これは今季6回目のポールであり、キャリア通算16回目となる。
チャンピオンシップリーダーであるノリスは、タイトルを争うライバル2人のうちの1人、レッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンを隣に従え、フェルスタッペンは2番手につけた。3番手はウィリアムズのカルロス・サインツで、スペイン人ドライバーは昨年このレースでフェラーリから2番手に入っている。現在ドライバーズランキング2位につけるマクラーレンのオスカー・ピアストリは、イエローフラッグに引っかかり5番手にとどまった。
ピレリ・ポールポジション・アワードは、かつて有名な英国ボーイバンド「ワン・ダイレクション」のメンバーで、現在はソロアーティストとして成功を収めるルイ・トムリンソンからノリスに授与された。土曜日、グランプリ開始前にはスターティンググリッドで観客を前に歌唱パフォーマンスを披露する予定で、彼の最新シングルは「Lemonade」である。

トラック上の一日
夜間の雨に加えて朝の降雨もあり、最終フリー走行の開始時はスリックタイヤでは走れないほど濡れていたため、20人全員がインターミディエイトで走行を開始した。寒いコンディションにより、まだグリーンな路面は乾くまでに長い時間を要した。ノリスは開始から約30分後にソフトタイヤでの走行を試みた最初のドライバーだったが、ドライラインが現れ始めてC5がようやく使えるようになったのは残り20分になってからだった。最速タイムを記録したのはメルセデスのジョージ・ラッセルで、1分34秒054。昨日のFP2でノリスが記録した1分33秒602という最速タイムからはまだ遠いものだった。
予選開始前に雨は強まり、アストンマーティン勢がピットレーン出口でフルウェットを履いて最初にコースへ出た。ザウバーのニコ・ヒュルケンベルグもフルウェットを選択し、その他の大多数はインターミディエイトを選んだものの、間もなくフルウェットが望ましいと判断された。
Q1残り約4分で雨は弱まったが、インターミディエイトが使えるほどではなく、しかし路面状況は改善しつつあったため、誰のタイムも安全ではなかった。最も驚くべきノックアウトは、フェラーリの7度のワールドチャンピオン、ルイス・ハミルトンで、最下位となった。一方、メルセデスのラッセルが最速だった。Q2開始時には雨は止んでいたが、残ったドライバーたちは依然として全員フルウェットを履いていた。残り約5分で、ランス・ストロールが最初にインターミディエイトへとスイッチしたが、乾いたラインが十分とは言えず、有効に機能する状態ではないことが明らかだった。ラッセルは再び最速タイムを記録した。Q3では、ようやく路面がインターミディエイトで走行できるほど乾いた。

マリオ・イゾラ(ピレリ モータースポーツ・ディレクター)
「砂漠の真ん中でウェットの予選を見ることになるとは誰も思わなかっただろうが、ラスベガスはわれわれを驚かせ続けている。本日のフリー走行では、周回の30%以上がレインタイヤで走られており、チームにとって有益な情報となったが、予選開始時にどのコンパウンドが最適かを即座に理解するには十分ではなかった。最初にインターミディエイトで走ったものの、すぐにフルウェットが必要な状況であることが明らかになった。エクストリームレインタイヤにより、ドライバーたちは最初の飛ばし始めの周で十分なグリップを得ることができ、その後路面が乾き始めてインターミディエイトへスイッチできるようになった。本日のフリー走行で確立されたインターミディエイトとフルウェットのクロスオーバータイムは、同じコンディションがグランプリのスタート時に再現された場合に重要な情報となる。ストラテジーを考えるにあたり、明日はドライレースになると仮定し、大幅に限られたデータに基づく判断となる。
ソフトタイヤで確認されたグレイニングのレベルを踏まえると、このコンパウンドは明日の効果的なレース戦略にはほとんど適さないと思われる。理論上、最も速い組み合わせは1ストップで、ミディアムでスタートし、20〜26周目の間にハードへ交換して長い最終スティントを走るものだ。グリッドでイエローのミディアムを装着すれば、他の競争力ある選択肢も生まれる。ハードを2セット温存しているチームは、ミディアム−ハード−ハードの2ストップを試すことができ、12〜18周目と27〜33周目で交換する形になる。イエローのミディアムを2セット残している少数のチームでは、最初の2スティントをミディアムで走り、その後ハード、そして32〜38周目で再びミディアムに戻るという類似の代替案もある。ソフトを使う場合は必然的に2ストップになる。予選で使ったコンパウンドを最大限に活かす方法としては、スタート時に使い、8〜14周目の間でミディアムへ交換してミドルスティントを走り、34〜40周目で再び最も柔らかいコンパウンドに戻す、という形になるだろう。」
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