F1ラスベガスGP 予選 展開:雨の乱戦でノリスが圧巻PP 角田裕毅Q1敗退

刻一刻と変化していく路面に合わせ、各チームはタイヤの温度管理、走行タイミング、視界確保など複数の要素を同時に判断しつつ対処しなければならず、セッション全体が“読みと適応力”の勝負となった。雨が弱まり始めた終盤には路面が急速に改善し、最終的にランド・ノリス(マクラーレン)が完璧なタイミングでベストラップを叩き出し、タイトル争いの行方を左右する大きなポールポジションを手にした。
Q1:豪雨のサバイバル。ハミルトンと角田裕毅がまさかの脱落
Q1は予選開始直後から激しい雨に襲われ、コースのあちこちに深い水たまりが残る状況だった。多くのドライバーはインターミディエイトでコースに出たものの、アストンマーティン勢やザウバー勢は一段階グリップの高いフルウェットを選択し、すでにタイヤ選択から対応の幅が分かれる難しい局面となった。こうした中で、オリバー・ベアマン(ハースF1チーム)はスナップから壁に軽く接触し、アレックス・アルボン(ウィリアムズ)もターン出口でオーバーステアを喫して壁へヒットしてしまう。雨脚が重いままセッションが進む一方で、コース上の水がわずかに掃けるにつれて路面が急速に改善し、タイムは周回ごとに秒単位で縮んでいった。
混乱の最中でもフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)やピエール・ガスリー(アルピーヌ)が比較的安定した走りを見せる一方、シャルル・ルクレール(フェラーリF1)は極端に薄いリアウイングによる軽い空力バランスに苦しみ、マシンを抑え込むのに精一杯だった。改善と混乱が入り乱れる状況のままチェッカーへ向かったが、ここで最大の波乱が起きる。ルイス・ハミルトン(フェラーリF1)が最後までタイヤ温度を上げられず、グリップを失ったまま改善できずに20番手で敗退した。続いて角田裕毅(レッドブル・レーシング)も十分なラップをまとめられず19番手に沈み、上位進出の道を閉ざされてしまった。
Q2:冷たい判断が勝敗を分ける。ストロールの賭けは失敗に終わる
Q2はバリア修復のため数分遅れてスタートした。雨自体はわずかに弱まったものの、路面は依然として深い水が残っており、全車がフルウェットでコースに出ていった。カルロス・サインツ(ウィリアムズ)が序盤に力強い走りでトップに立つものの、路面の改善速度が速く、各車のタイムは「一周ごとに別の競技のように」変動する荒れた展開が続く。コースオフやスライドは当たり前のように発生し、少しでもラインを外せば大きく遅れる状況が続いた。
そんな中、ランス・ストロール(アストンマーティン)はインターミディエイトへの交換という唯一の賭けに出る。しかし路面はまだインターを生かせるほど乾いておらず、この判断は完全に裏目となり挽回することができなかった。一方で、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)はセッション終盤に路面のピークを見極め、見事なラップをまとめてQ3への最後の1枠を掴んだ。オスカー・ピアストリ(マクラーレン)は走りが安定しない場面もあったものの、10番手でなんとか突破する粘りを見せた。
Q3:ノリス覚醒。雨上がりの最終ラップで“紫・紫”を並べる衝撃の一撃
Q3へ進んだ10台のうち、マクラーレンとレーシングブルズが唯一2台揃って生き残り、8チームが入り乱れる最終決戦となった。雨はほぼ上がり、インターミディエイトが最適になるタイミングで全車がコースイン。序盤はオスカー・ピアストリ(マクラーレン)が勢いを示してトップに立ったが、路面が急速に整うにつれて順位は何度も入れ替わる。
カルロス・サインツ(ウィリアムズ)が立て続けに好ラップを刻み、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)も確実に上位へ顔を出すなど、3強が自然と前方へ集まっていく展開になった。その中でレーシングブルズのリアム・ローソンとアイザック・ハジャーも上位圏内のタイムを記録し、湿った路面での強さを印象づけた。
そして勝負は最終ラップで決まる。ランド・ノリス(マクラーレン)は路面の状態が最も良くなった瞬間を逃さず、セクター1・2をともに紫で通過。マシンの挙動を乱すことなく最後まで攻め切り、1分47秒934という圧倒的なタイムでトップに躍り出た。フェルスタッペンは0.323秒届かず2番手、サインツが3番手と健闘し、ウィリアムズにとって大きな成果となった。
決勝への展望:乾き始める路面、混戦グリッド、タイトル争いの大きな転換点に
明日の決勝はドライコンディションが予想されるが、路面は完全な“グリーントラック”となる見込みで、タイヤの立ち上がりやグリップの変化がレース序盤の大きな焦点となる。ポールポジションのノリスにとっては理想的な展開だが、その直後にはフェルスタッペン、そして勢いのあるサインツとラッセルが控えており、油断すればすぐに順位が入れ替わる構図だ。
ピアストリは5番手からの巻き返しが必須で、レーシングブルズ勢はローソンとハジャーが揃って上位に入り混戦に拍車をかける。2025年ラスベガスGP決勝は、チャンピオンシップの流れを大きく変える可能性を秘めた、見逃せない一戦となりそうだ。
F1 ラスベガスGP 予選 結果 Q3ラップタイム
1.ランド・ノリス(マクラーレン) - 1分47秒9342.マックス・フェルスタッペン(レッドブル) - 1分48秒257
3.カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ) - 1分48秒296
4.ジョージ・ラッセル(メルセデス) - 1分48秒803
5.オスカー・ピアストリ(マクラーレン) - 1分48秒961
6.リアム・ローソン(レーシングブルズ) - 1分49秒062
7.フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン) - 1分48秒466
8.アイザック・ハジャー(レーシングブルズ) - 1分48秒554
9.シャルル・ルクレール(フェラーリ) - 1分48秒872
10.ピエール・ガスリー(アルピーヌ) - 1分51秒540
11.ニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)
12.ランス・ストロール(アストンマーティン)
13.エステバン・オコン(ハース)
14.オリバー・ベアマン(ハース)
15.フランコ・コラピント(アルピーヌ)
16.アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)
17.アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)
18.ガブリエル・ボルトレト(ザウバー)
19.角田裕毅(レッドブル)
20.ルイス・ハミルトン(フェラーリ)
カテゴリー: F1 / F1ラスベガスGP
