ノリス 母国F1イギリスGPでの勝利を誓う「ここは僕の物語の始まりの場所」

マクラーレンのイベントの一環として広場を“ジャック”したこの日、街にはパパイヤカラーに身を包んだファンがあふれ、夏の陽光の下で英国チームへの熱烈な声援が送られた。
観衆に手を振り、拍手と歓声を笑顔で受け止めるノリス。その姿は、2017年にマクラーレンのジュニアドライバーとしてウォーキングの本社に足を踏み入れた“ベビーフェイスの少年”が、今やチームのエースとして真のタイトル争いに挑むまでに成長した証だ。
「こうして話すと不思議な感じだけど、実際長い旅だった」とノリスは語る。「常に目標はあったけど、それが遠く感じてた。マクラーレンで走って、勝って、タイトルを獲る。全部が“いつか”の話だったけど、努力し続けたら気づけばここにいた」
「こういうイベントで歓声を浴びたり、自分のTシャツを着た人を見たりすると、日常じゃ味わえない感覚になる。本当に特別な気持ちになるんだ」
ノリスにとってF1初観戦の地も、F1初レースの地もシルバーストン。だからこそ、イギリスGPは「一番意味があるレース」だという。
「最初のレースもシルバーストンだったし、最初にF1を見たのもここ。母国GPってだけじゃなくて、僕にとって一番思い入れのある場所なんだ」
オーストリアでの「完璧な週末」から勢いそのままに
第11戦オーストリアGPでは、予選で全体をコンマ5秒引き離す圧巻のポールポジションを獲得し、決勝でもチームメイトのオスカー・ピアストリからのプレッシャーを受け止めて今季3勝目。カナダGPでのクラッシュの悪夢を完全に払拭し、自他ともに認める「キャリア最高の週末」となった。
「簡単なレースじゃなかったけど、これまでで一番パフォーマンスが安定してた週末だった。ホームレース直前にああいう結果が出せたのは最高の流れだと思う」
「僕自身の努力も報われてるし、チームの仕事ぶりも素晴らしい。でも簡単にはいかない。時間も情熱も必要だし、それが形になるときに一番うれしい。これからもこの姿勢を続けていく」

シルバーストンでは過去に6位、5位、4位、3位、2位と着実に順位を上げてきたノリス。いよいよ“最後の1つ”を埋める準備は整っている。
「正直、どのくらいのチャンスがあるかはわからない。雨の可能性は高そうだけど、僕たちの今の調子と過去の実績を考えたら、ここは確実に得意な部類のサーキットだと思う」
「この週末が一番楽しみだし、一番結果を出したい週末でもある。どうなるか楽しみだ」
マクラーレンの二頭立て、加速するタイトル争い
現在、マックス・フェルスタッペンはランキング首位のピアストリから61ポイント差の3位。実質的にはピアストリとノリスによる“二頭立てのタイトル争い”という構図が固まりつつある。
カナダではピアストリが、オーストリアではノリスが勝利を収め、両者の直接対決はますます白熱しているが、マクラーレンは今のところチームオーダーを敷くつもりはなく、「お互いの成績を損なわない限り自由にレースをさせる」方針を維持している。
「僕らはF1ドライバーとしてこの状況を楽しんでる。でも、互いに勝ちたいという気持ちも強い。それがあるからこそ、いい関係が築けてるんだと思う」
「いろんなことを言う人がいるけど、『こういう関係じゃ勝てない』ってのは全部ナンセンスさ。僕らはそれぞれのやり方で、互いに勝ちたいと思ってるだけ」
「オーストリアみたいに、ギリギリまで攻め合って戦うのが楽しい。カナダのことはあったけど、またこれからも何度もバトルになるはず。それを楽しみにしてる」
優勝争い、タイトル争い、チームメイト対決、そして熱狂的なファン――すべての要素が揃った今週末。舞台は整った。ノリスは、ついに母国シルバーストンでの頂点を狙う。
カテゴリー: F1 / ランド・ノリス / マクラーレンF1チーム / F1イギリスGP