F1イタリアGP 決勝:タイヤ戦略予想&持ちタイヤ数
2025年F1 イタリアGP 決勝で各ドライバーが使用可能な持ちタイヤ数と予想されるタイヤ戦略を公式タイヤサプライヤーのピレリが発表した。

マックス・フェルスタッペンは記憶に残るポールポジションを獲得したが、それにはF1史75年の中で最速ラップを叩き出す必要があった。

その後方にはマクラーレン勢が並び、5連勝中の勢いを考えるとポールを逃したのはやや物足りない結果だ。しかしMCL39は中速コーナーが続くセクションでこそ真価を発揮するマシンであり、モンツァにはそのような区間が存在しなかった。

マクラーレン勢の後方では、フェラーリがホームグランプリで軽快な走りを見せ、シャルル・ルクレールはトップを狙える位置にいた。一方でルイス・ハミルトンはザントフォールトでのペナルティにより10番手から追い上げを強いられる。セッション後、フェルスタッペンはライバルたちの金曜ロングランでのレースペースを考慮し、自身のリード維持に大きな自信を示さなかった。ただし、彼には戦略的な選択肢が残されており、他の全ドライバーとは異なるタイヤ配分を持つことが混乱した展開では決定打になる可能性がある。「スピードの神殿」で何が起きてもおかしくない状況だ。

昨年は何があったのか?
昨年のイタリアGPは、戦略バトルの末にフェラーリが大歓声のホーム勝利を収めた。1ストップ戦略を採用したルクレールが、2ストップのオスカー・ピアストリとランド・ノリス(マクラーレン)を抑えきってチェッカーを受けた。

当時は新舗装が敷かれた直後で、プラクティスでは激しいグレイニングに悩まされたが、摩耗自体は少なかった。そのため通常のサーキットのようにグレイニングが収まることはなく、グリップ低下が長く続く結果となった。大半のドライバーがC4ミディアムでスタート。マクラーレンはロングランペースで優位に立ちながらも慎重なミディアム→ハード→ハードの2ストップを選択。ピアストリは16周目と38周目、ノリスは14周目と32周目にピットインした。

ルクレールとカルロス・サインツはともにミディアム→ハードの1ストップ。ルクレールは15周目、サインツは19周目にピットへ。終盤にマクラーレン勢がサインツをかわしたものの、ルクレールは2秒差で逃げ切った。最終的に戦略は1ストップと2ストップに分かれ、レッドブル勢はハード→ハード→ミディアムの2ストップを採用。フェルスタッペンは22周目と41周目、セルジオ・ペレスは23周目と35周目にピットインし、それぞれ6位と8位でゴールした。ソフトを使ったのは50周目に最速ラップを狙ったランス・ストロールだけだった。

イタリアGP F1

今年の最速戦略は?
昨年多くの問題を引き起こしたグレイニングは今年ほとんど見られない。路面が1年で落ち着いたことに加え、ピレリが2025年仕様のタイヤをより頑丈に設計したためだ。そのため、ミディアム→ハードの1ストップ戦略がさらに強力な選択肢になっている。

最適なピットウィンドウは22〜28周目。モンツァはオーバーテイクが難しく、リアウイングが小さいためDRSの効果も薄い。通常ならアンダーカットが有効となるが、今回はデグラデーションが非常に低いため新品タイヤの優位性が薄れている。

イタリアグランプリ

トップ10に別の選択肢は?
フェルスタッペンはハードタイヤを1セット多く温存。一方、メルセデス勢とアイザック・ハジャーはミディアムを多く残している。しかし、セーフティカーや赤旗が介入しない限り、2ストップ戦略は有効とは言えない。むしろ、デグラデーションの低さからはミディアム→ソフトの戦略が浮上してくる。

ピレリ・モータースポーツディレクターのマリオ・イゾラは「もし誰かがミディアムで30周以上引っ張れれば、ソフトは選択肢になり得る。ミディアムとソフトの性能差は大きくない」と語る。実際、ミディアム→ソフトを狙うなら最適なピットウィンドウは32〜38周目となる。

後方スタート勢は?
標準的な救済策はハード→ミディアムの逆順戦略で、最適なピットウィンドウは28〜34周目。もしミディアム→ソフトが可能なら、ハード→ソフトも同様に成り立つ。ピットインのタイミングは同じ32〜38周目で、ハードで長く引っ張れば引っ張るほど、終盤のソフトで強くプッシュできる。

ただし、ハードスタートにはリスクもある。ターン1までの距離が長いため、ソフトやミディアムのグリップを持つライバルに対して不利。また、柔軟性に欠け、序盤に赤旗やセーフティカーが出ると戦略が崩れてしまう。

イタリアGP F1 タイヤ

天候はどうなる?
レースデー最大のリスクはジェラートが溶けること。天候は快晴で気温は27℃前後。路面も熱を大きく保持しないため、タイヤがオーバーヒートする心配はない。フェラーリの赤い軍団にとっては理想的なコンディションだ──もっとも、観客席にはフェラーリの鮮やかな青いアウェイキットを着たファンも目立っている。

2025年のF1世界選手権

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カテゴリー: F1 / F1イタリアGP / ピレリ