F1イタリアGP 2025年:モンツァ・サーキット&タイヤ解説
2025年F1 イタリアGPが、9月5日(金)~9月7日(日)の3日間にわたってモンツァ・サーキットで開催される。公式タイヤサプライヤーのピレリが2025年のF1世界選手権 第16戦 イタリアグランプリのタイヤについて解説した。

モンツァのグランプリは常に特別な意味を持つが、今年はさらに重要だ。世界選手権としてオートドローモがレースを開催するのは通算75回目であり、これはモーターレーシング最高峰の歴史において、単一サーキットとして最多記録となる。

またピレリにとっても、先週のザントフォールトで迎えた「F1参戦500戦」という節目を締めくくる週末となる。イタリアGP同様、モンツァでも出走する20台のマシンとすべてのスリックタイヤに、2月18日にロンドンで発表された「F1 75周年記念ロゴ」が施される。さらに決勝前には、ドライバーやチーム関係者がF1、FIA、ピレリの幹部陣とともに記念撮影を行う。

イタリアGP F1

公式名称と表彰台演出
イタリアGPの正式名称は「FORMULA 1 PIRELLI GRAN PREMIO D’ITALIA 2025」で、ピレリ本社から約20kmの距離にあるモンツァで行われる。日曜の表彰台では特別な演出が施され、表彰台の上位3名は、デザイナーのデニス・デコヴィッチが手掛けた2025年ピレリ・デザイン製の「モンツァ・ポディウムキャップ」を着用する。このキャップは「青空」を象徴するアッズーロブルーと「500戦ロゴ」があしらわれ、すでに専用ECサイトで販売されている。

イタリアGP F1 500戦キャップ

タイヤと戦略
タイヤ構成は前年と同じくC3(ハード)、C4(ミディアム)、C5(ソフト)。再舗装から1年経過し路面が落ち着いたことで、昨年よりグレイニングは少なくなると予想される。ピットロスが大きいため、基本的には1ストップ戦略が有利だが、気温が高ければ2ストップも有効となる。昨年は大半がハードとミディアムを選択し、優勝したシャルル・ルクレールはミディアムからハードに交換して1ストップで走り切った。オスカー・ピアストリとランド・ノリスは2ストップを選択。序盤はグレイニングが大きな要因となり、後半にかけて収束する展開だった。

イタリアGP F1 タイヤ圧

モンツァ・トラック特性
モンツァは「スピードの殿堂」と呼ばれる通り、平均速度の世界記録を保持している。2003年の決勝ではミハエル・シューマッハが平均247.586km/h、2020年予選ではルイス・ハミルトンが264.362km/hを記録。昨年のポールはノリスで平均263km/hだった。全長5.793kmのコースは11のコーナーを持ち、1周の80%を全開で走行する。最小限のダウンフォースで挑むため、減速時の安定性やシケインでのトラクションが重要となる。ビアッソーノやパラボリカ(現アルボレートカーブ)など高速コーナーでは横Gも発生する。今年は観客席やホスピタリティ設備が拡張され、報道陣用メディアセンターは仮設棟へ移設された。

イタリアGP F1 モンツァ

ブレーキングの厳しさ
最初のシケインでのブレーキングはF1カレンダーでも最も苛烈な部類だ。時速337km/hから89km/hへ、約5Gの減速が発生する。前輪には大きな負荷が集中し、カンバー角による接地面変化でフラットスポットが生じやすい。これがロックアップやアンダーステアを引き起こす要因となる。

イタリアGP F1 データ

モンツァ統計
・モンツァはイタリアGPを通算75回開催(1980年のみイモラ)
・最多勝:ミハエル・シューマッハ、ルイス・ハミルトン(各5勝)
・最多ポール:ハミルトン(7回)
・フェラーリはイタリアGPで最多の20勝、23ポール、72表彰台
・マクラーレンは2位(11勝、12ポール、31表彰台)
・2008年、トロ・ロッソのセバスチャン・ベッテルがフェラーリエンジン搭載車で唯一、マラネロ製以外で勝利
・2020年にはアルファタウリがピエール・ガスリーの手で再び勝利
・イタリアGPがドライバーズタイトルを決めたのは計11回(1950、1956、1961、1963、1966、1969、1972、1973、1975、1978、1979年)

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カテゴリー: F1 / F1イタリアGP / ピレリ