アウディF1 2026年に現実路線「サプライズはない。必要なのは忍耐」
2026年のF1本格参戦を控えるアウディだが、プロジェクトを率いるマッティア・ビノットは、早期の成功を期待する声にあらためて釘を刺した。重要なのは勢いではなく土台づくりであり、初年度からの“花火”を期待するのは方向違いだという。

現在ビノットは、ザウバーをアウディのワークス体制へと転換する改革の指揮を執る立場にある。目標は明確で、今は奇跡を求める段階ではなく、10年の終わりにタイトル争いをするための積み上げに集中している。

信頼を築くフェーズ
今季の成績は前向きな兆しを示した。ザウバーは70ポイントを獲得し、10年以上で最高のリターンを記録。シルバーストンではニコ・ヒュルケンベルグがキャリア初表彰台を獲得し、進歩が現実であることを示した。

「プロジェクトとして、我々は正しい道、正しい方向に進んでいる。信頼性を築いている。ダイナミクスがどれほど変わったかを感じている」と、ビノットはロイターのアラン・ボールドウィンに語った。

当初、アウディのF1参入は経営陣の入れ替わりや不透明感に覆われていた。しかしビノット就任後、追加投資、カタール投資庁の少数株取得、そしてレボリュートのタイトルスポンサー就任が、プロジェクトを安定させた。

「社員にとっては明白だ。我々は拡張し、長期的に投資している。それらの事実が、プロジェクトへの信頼性を大きく高めている。アウディが全面的にコミットしていることに疑いはない。

現在行っている投資はすべて長期プロジェクトだ。パフォーマンスという形でリターンが見えるのは、3年、4年後になるだろう」

アウディ F1

近道はない
1月のベルリンでのリバリー発表など注目イベントが控える一方で、ビノットは2026年の即時競争力という期待を意図的に抑える。

「我々はまだ構築段階にある。忍耐が必要だ。来年、最高のエンジンを持つとは全く期待していない。だがそれは問題ではない。我々は2030年に向けた目標を設定している。

来年、サプライズになるつもりはない」

また、アウディのパワーユニット計画をレッドブルの取り組みと比較する見方についても、背景の違いを強調した。

「彼らはより特化したスキルを持っている。我々にはアウディというバックグラウンドと、その知見がある。それが長期的には確実に違いを生むはずだ」

アウディが掲げるメッセージは明快だ。まずは信頼性、栄冠はその先。F1という長い道のりに、近道は存在しない。

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カテゴリー: F1 / アウディ