アイザック・ハジャー レッドブルF1 RB22を酷評「昨年より難しくて遅い」
アイザック・ハジャーは、レッドブルの2026年F1マシン「RB22」について、昨年型よりも扱いが難しいだけでなく、速さそのものも不足していると率直に語った。ドライバーから不満が噴出する現状を受け、チームは軽量化と空力改善、そしてバランス修正に取り組んでいる。

2025年のRB21も扱いづらさを抱えていたが、ハジャーはそれでも速さはあったと説明した。それに対してRB22は、予測しにくい挙動とダウンフォース不足が重なり、ポテンシャルを引き出す方向性すら定めにくい状況にある。

レッドブルはピエール・ワシェへの信頼を維持したまま、マイアミでの改善を目指して作業を進めている。

RB21との決定的な違い
ハジャーは、RB22が昨年型とはまったく異なる性質を持っていると明かした。

「RB21と今年のクルマには大きな違いがある。完全に新しい。昨年のマシンはすごく速かったと思う。運転は難しかったけど、速かった。今の僕たちのクルマは運転が難しくて、しかも遅い。だから、もっと効率が必要なんだ」

その言葉は、単なるドライバビリティの問題ではなく、マシン全体の競争力が不足しているという認識を示している。扱いづらさを抱えながらも速さで補えていた昨年型とは異なり、今年のRB22はその両方を失っているという見立てだ。

見えないまま揺れ続ける開発の方向性
ハジャーは、セットアップや開発の方向性を定めにくい現状についても率直に説明した。

「周回ごと、セッションごとに、何が起きるのか常に予想しなければならない。こういうやり方で進めるのはいいことじゃない。僕たちはまだ、どの方向に進むべきか分かっていない」

「ダウンフォースがない。問題はそこなんだ。ひとつの方向に進まざるを得ないのに、すぐ別の方向に変えなければならない。バランスがすぐに変わってしまう」

RB22の問題は、単純なセッティングの迷いではない。ダウンフォース不足と急激に変化するバランスが重なり、ドライバーが毎周回ごとに異なる顔を持つマシンと向き合わされていることが、苦戦の核心にある。

ローラン・メキースが語る現実
レッドブルのチーム代表ローラン・メキースも、日本GP後にRB22の苦境を認めている。シーズン前にはレッドブル・フォードのパワーユニットが最大の懸念材料と見られていたが、実際には想定以上の出来だった一方で、シャシー側が期待を下回ったという。

「当初、僕たちはメルボルンに向かう時点で、メルセデスに対して1秒、フェラーリに対してコンマ5秒遅れていると考えていた。メルボルンで最も大きかったのは、マクラーレンが僕たちの射程圏内に見えたことだったと思う」

「実際、マックスは20番手から追い上げて、その時点で最上位だったマクラーレン、たしかノリスの前に出た。その後、中国ではその差が大きく広がった。そこで僕たちがバランスやクルマの特性について頭を悩ませ始めたのを、皆さんも見たはずだ」

メキースは、日本GPの金曜と土曜も状況は決して良くなかったと認めたうえで、メルボルン時点と比較しても根本的な競争力不足は変わっていないと説明した。

「日本では金曜と土曜の状況はまったく明るくなかった。そして今日、喜べることがあるわけでもない。ただ、ライバルとの差という意味では、状況はメルボルンとそれほど変わっていないように見えた。トップから1秒、最速のフェラーリからコンマ5秒だった。でも今はマクラーレンも同じレベルにいる。だから僕たちは大きく離された存在なんだ。これが現実だ」

「そして、それはメルボルンであれここであれ、ベースとなるパフォーマンスの問題の組み合わせだと思っている。だから、まだやるべき仕事がある。そのひとつは、パッケージから十分なものを引き出せておらず、マックスが攻められる何かを与えられていないことだ」

アイザック・ハジャー レッドブル・レーシング

問題はセットアップではなくマシンそのもの
メキースは、この苦戦を単なる調整不足として片づけることを明確に否定した。

「セットアップの問題だと言いたいわけではない。ただ、あのクルマに関して、僕たちが苦しんでいる何かがあると言っているだけだ。そしてそれが、ベースとなるパフォーマンス不足にさらに加わっている」

「こうした複雑な問題を解決し、複雑な限界を理解しようとすることこそ、僕たちの本業なんだ」

さらにメキースは、現在の難しい立場こそがチームの力を問う局面だと強調した。

「今のようにトップチームの後ろにいるのは確かに厳しいが、まさにこうした複雑な制約を掘り下げ、正確に見極め、それを緩和して改善する解決策を用意するために僕たちのシステムはある。今は厳しい状況でも、そこがまさに我々のチームが最も優れている部分だと、私は完全に信じている」

ピエール・ワシェへの信頼は揺らいでいない
ここ数日、RB22を手がけたテクニカルディレクターのピエール・ワシェの立場を巡る憶測も広がっている。しかし、レッドブル内部ではワシェへの信頼は維持されている。

チームはすでに、RB22がオーバーウェイトで生まれたことをテスト段階から把握しており、シーズン序盤は苦しい戦いになると見込んでいた。そこにダウンフォース不足や不安定なバランスが重なり、問題はより深刻なものになった。

それでも、マイアミではまず軽量化の第一段階が投入され、さらに空力面にも手が入る見通しだ。レッドブルは、マシンの根本的な限界を見極めながら、少しずつでも改善の兆しを引き出そうとしている。

ハジャーの言葉が示したRB22の本質
ハジャーの「難しくて遅い」という表現は、今のRB22を最も端的に表している。昨年型のように速さで補える難しさではなく、速さそのものを失った上で扱いにくさだけが残っていることが、今年のレッドブルを苦しめている最大の理由だ。

レッドブルは、パワーユニットの不安が想定より小さかった一方で、シャシー側の仕上がりに苦しんでいる。だからこそ現在の課題は明確で、軽量化、ダウンフォースの回復、そしてドライバーに予測可能なバランスを与えることに尽きる。マイアミでその第一歩を示せるかどうかが、RB22反攻の試金石になりそうだ。

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カテゴリー: F1 / アイザック・ハジャー / レッドブル・レーシング