F1 アイザック・ハジャー 逆境を乗り越えた“生きるレッドブル”の象徴
F1デビュー戦のフォーメーションラップでクラッシュ――。昨季F2でランキング2位に輝き、今季からレーシング・ブルズでF1昇格を果たしたフランス系アルジェリア人ドライバー、アイザック・ハジャーにとって、オーストラリアGPは苦い幕開けとなった。

だが、ハジャーはその失意の中でただ落ち込むのではなく、真の強さを見せつける。20歳の若き才能は、その後の数戦で目覚ましい巻き返しを果たし、レッドブルの価値観を体現する存在として再評価されている。

レーシングブルズのCEO、ピーター・バイエルは当時を振り返る。

「クラッシュが起きた瞬間、私はSkyドイツの生中継に出演していた」とバイエルはRacingNews365のインタビューで語った。

「でも、すぐに『こんなことは誰にでも起こりうる』っと言った。実際、その5秒後にはカルロス・サインツもウォールに突っ込んでいた。あの日は本当に滑りやすかった」

「彼(ハジャー)は初レースで非常に緊張していた。グリッドで彼を見たとき、彼の瞳孔の開き方で分かった。完全に集中していた。でも、ミスをしてしまった」

「誰もが彼のことを気の毒に思ったし、彼の反応は“生のまま、飾らず、正直”。それが人々の心を打つ。我々が彼を愛する理由でもある」

事故後、バイエルはF1 CEOのステファノ・ドメニカリとともにハジャーのもとを訪れたという。

「彼はまだヘルメットを被ったままで、絶望していた。我々は彼に『大丈夫だ。君には時間があるし、きっともっと強くなって戻ってくる』と伝えた。そして実際、彼はそうした」

アイザック・ハジャー F1 ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム

その言葉通り、ハジャーは翌週の中国GPで予選7位と好走し、決勝では11位フィニッシュ。さらに日本GPでは初ポイントを獲得(8位)、サウジアラビアGPでも10位と続けてポイントを獲得した。

「彼は本当に“レーサー”だ」とバイエルは語る。

「私の息子もカートをしているが、ハジャーはその週末に会うようなカートキッズたちにそっくりだ。純粋に“レース”だけを愛している」

「しかも、機知に富み、皮肉も交えながら、自分をあまり重く見せない。まさに“生きるレッドブル”なんだ。レッドブルの精神そのものが彼の中にある」

「彼は優れたレーサーで、自然と速さを持っている」

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カテゴリー: F1 / アイザック・ハジャー / ビザ・キャッシュアップRB