マツダ IMSA
マツダUSAは、デイトナプロトタイプインターナショナル(DPi)のルールのもと運営されているIMSAウェザーテックスポーツカー選手権を戦う新しいマツダプロトタイプレースチームの設立を発表した。ドイツの老舗プロフェッショナル・レース専門会社と提携するこのチームは、「マツダチーム・ヨースト」と呼ばれることになる。新しいチームは、来年1月末にデイトナインターナショナルスピードウェイ(フロリダ州)で開催される2018年ロレックス・デイトナ24時間レースでデビューする。

ヨースト・レーシングは、これまでにルマン24時間レースで16勝、デイトナ24時間やセブリング12時間レースで10勝、プチ・ルマン(アトランタ)での6勝を含み、北米メジャーレースでの勝利を多数手に入れており、最も成功してきた耐久スポーツカーチーム。同チームの成功ヒストリーの大部分は、1999年から2016年シーズンの終わりにプログラムを終了するまでの間、アウディのファクトリーチームとして戦っていた時期に代表される。それ以前は、ポルシェでルマンにおける複数の勝利を収め、ドイツ・ツーリングカーシリーズ(DTM)ではオペル社のファクトリーチームを運営している。ヨースト・レーシングは、1978年に当時のポルシェ・ファクトリードライバーであったラインホルト・ヨーストによって創設されたレース専門会社。

マツダのモータースポーツにおけるヒストリーは、ルマンで総合優勝を果たした唯一のアジア・メーカーであり、デイトナ24時間レースでは通算22回のクラス優勝、セブリング12時間レースでは13回のクラス優勝、そして11回の選手権タイトル獲得などが実績として記録されている。IMSAの統計によると、マツダは北米プロスポーツカーレースヒストリーの中で、メジャーシリーズにおいて155勝を生み出したメーカーとなっており、アジアのカーブランドにもかかわらずそれはこれまでで3番目の記録となっている。

マツダモーターオブアメリカ(マツダUSA)社長兼CEOで、マツダのワールドワイドなマーケティング戦略統括およびブランド推進統括補佐を担当する毛籠勝弘は、「マツダが1964年に初めてレースカーを走らせて以来、私たちの”飽くなき挑戦”精神は、レースに参戦し続け、勝利とチャンピオンシップタイトルを獲るために力を尽くすと言う意味で使っています。マツダチーム・ヨーストの設立は、プロトタイプカテゴリーで最高の実績があるチームとパートナーシップを締結する特別な機会であり、マツダを表彰台の中央に戻すチャンスを与えてくれます。私はヨーストの皆さまをマツダファミリーとして大歓迎します。私たちは、今後マツダのモータースポーツにおける成功のヒストリーにさらに多くのページを書き込むことになるでしょう」と語った。

ヨースト・レーシングのマネージングダイレクター、ラルフ・ユトナーは「私たちは、マツダと共に臨むこの新しい挑戦にワクワクしており、大変誇りに思っています。マツダは、モータースポーツに長い歴史を持ち、そして、特にアメリカでは熱狂的な愛好家のために広くレース出場機会を提供しています。今回の提携は、私たちにとっては長く親しんできたアメリカンレースへの復帰となり、いつも温かく応援してくれた日本のレースファンにとっても大きなニュースになると思います」とコメントしている。

マツダUSAのモータースポーツ担当ダイレクターであるジョン・ドゥーナン、はこの新しいペアリングが「一生に一度の機会」であると認識している。また、ドゥーナンは、「私たちのブランドのトップレベルスポーツカーレースプログラムにおいて、確実で最高のスポーツカーチームと連携することは、マツダのモータースポーツにとって歴史的な出来事です。ヨーストさん、ラルフ・ユトナーさん、そしてヨースト・レーシングの皆さんは、他の誰も手にしたことがない実績を積み上げています。これから彼らと協力し、優勝や多くのチャンピオンシップトロフィーを手にするために働けることを、心から楽しみにしています。また、マツダとヨースト・レーシングの歴史に、数々の名誉を追加していきたいと願っています」

2018年シーズンからの本格スタートに集中するため、現在のマツダ・プロトタイプチームは、今シーズンの残りのIMSAレース3戦をスキップすることにしている。

また、ドゥーナンは、「長年のパートナーであったスピードソースレースエンジニアリングそして所有者であるシルベイン・トレンブレイさんには心から感謝しています。20年以上にわたり、あらゆるレベルで彼らの組織は多大な成果を上げてきました。彼らは、草の根のクラブレースから、グランダムGTでの24時間レース勝利を目指す挑戦、そして現在のプロトタイププログラムの構築に関わり、私たちと共に成長してきたチームです。この世界で築いた友情の深さは強く、そしてこれからもそれは変わりません」と続けた。

マツダチーム・ヨーストは、間もなく来シーズンの準備のためマツダRT24-Pのテストをスタートさせる。日米のマツダ・デザイナー達と共同で開発し、量産車イメージを盛り込んだ独自のボディワークはそのままに、英国のアドバンスト・エンジン・リサーチ社(AER)によって開発され、約600馬力の最高出力を発生する直列4気筒2.0リットルターボのマツダMZ-2.0Tエンジンもそのまま引き継がれる。

マツダRT24-Pの開発に深く関わったマルチマティック・モータースポーツ社(カナダ・オンタリオ州)は、引き続きシャシーの改良・改善をリードし、そしてヨーストとの緊密な協力関係のもと、走行テストやシミュレーション作業に従事する予定となっている。現在契約している4名のマツダドライバーは、今後のテストと車両開発に参加するが、2018年のドライバーラインナップはまだ未定となっている。

ヨースト・レーシングは、ドイツのヴァルト・ミヒェルバッハに本拠地を置いているが、レースチーム運営のため、ジョージア州アトランタ近辺に北米の拠点を設立する予定。

このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリー: F1 / IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権