ホンダF1:2021年 第18戦 F1メキシコGP プレビュー
2021年のF1シーズンは残り5戦と大詰めを迎え、今週末のメキシコシティGPからは今季3度目の3連戦となる。
例年、熱狂的なファンが詰めかけるメキシコでのGPだが、今回は、セルジオ・ペレスがレッドブル・レーシング・ホンダ加入後、初めての母国GP。2戦連続のダブル表彰台を経ての母国凱旋となり、いつも以上に素晴らしい雰囲気の中でのレースが期待される。
開催地のエルマノス・ロドリゲス・サーキットは、海抜約2300mの高地にあり、空力効果が下がるほか、パワーユニット(PU)へ負担が非常に大きくなることで知られている。
前回の2019年は、マックス・フェルスタッペンが予選トップタイムをマーク。ホンダF1勢は4台すべてがトップ10以内でチェッカーフラッグを受けるなど、両チームとも力強い戦いを見せた。
田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)
「今週末はレッドブル・レーシングのペレス選手の母国、メキシコでレースが開催されます。今シーズンも残り5戦となりました。まずはここメキシコから始まり、ブラジル、カタールにかけての3連戦に向かいます。今回のレースの舞台となるエルマノス・ロドリゲス・サーキットは、海抜約2300mに位置し、カレンダー中で最も標高が高いサーキットです。標高が高く気圧が低いので、空気密度が低くなることから、PUや車体に多くの影響を及ぼします。具体的には、ターボの仕事量が平地と比較して多くなったり、エアロ効率や冷却効率の低下などといったことが起こります。したがって、車体・PUともに平地とは異なる環境に合わせたセッティングや、エンジンキャリブレーションが求められます。過去のデータをもとに今年のPUに合わせたセッティングを準備し、さらに実際の走行データをもとに最適化を進めていきます。チャンピオンシップを戦う中で、ここから最終盤に向けて、一戦一戦が今まで以上に大切になります。チームとともに十分に準備を整え、いい戦いができるように最善を尽くして臨みます」
マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「アメリカGPで勝利を挙げられたのは最高の気分でした。ここ数戦はPU交換によるペナルティーや不運も重なって厳しい状況が続いていたので、チェコ(ペレス)とともに表彰台に立ててよかったです。とても満足のいく勝利で、いいペースを見せられたので、その勢いをさらに強化していきたいですし、チャンピオンシップ争いにおいても貴重なポイントを積み重ねることができたことも重要です。メキシコでは、これまで2勝を挙げていて、いい思い出があります。ここでレースができるのを楽しみにしていますし、しばらくこうした長旅ができていなかったので、尚更です。今年はチェコがチームに加わったことで、さらに僕らのファンが増えると思うので、サーキットで皆さんに会えるのが楽しみで、いい戦いができればと思います。ここからの3連戦は忙しくなるのは分かっていますが、楽しみですし、どうなるかエキサイティングな気持ちです。僕自身とチームにとっては、チャンピオンシップ争いに向けてこの3連戦を上手くやることが相当に重要です。移動も増えて時差も大きくなりますが、メキシコやブラジルのコースに戻るのはもちろん、カタールという新たなサーキットでのチャレンジも楽しみにしています」
セルジオ・ペレス(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「ホームGPを迎えるのはものすごくエキサイティングな気持ちで、本当に楽しみです。僕の母国は、キャリアを通じてずっと応援してくれていて、ファンの皆さんの前でレースをするのが大好きです。メキシコで受ける声援にはいつも驚かされますが、みんな僕のキャリアが始まった当時から長い年月にわたって常に応援し続けてくれています。そして、今年はついに母国での勝利という夢を持てるだけのチームとマシンであるというのも、素晴らしいことです。今週末は、大きな成果を残せるチャンスなので、できる限りの準備をして、どんな結果が残せるか見ていきます。メキシコシティでのショーランでは、レッドブル・レーシングのマシンを国内でも有数のストリートで走らせるので、本当に特別な時間になると思います。長い間夢見てきましたし、レッドブルのマシンで母国に戻ってくることができたのもとても特別な気持ちです。イベントの後には、チームのみんなにディナーをふるまう予定で、素晴らしいメキシコ料理と僕の国の伝統を味わってもらいたいです。メキシコでの時間を特別なものにするために、デザイナーと相談して素晴らしいヘルメットデザインを用意してもらいました。これまでの中で一番のデザインかもしれません。僕のヘルメットデザインは、国を代表しているという意識と、メキシコの文化や伝統を表現することを目指したものですが、それをこれまで以上に大きく素晴らしい形で見せたかったのです。ヘルメットのパッドも、メキシコ国旗の色に変更しました。それをかぶる瞬間が待ちきれませんし、メキシコの皆さんも気に入ってくれると思います!」
ピエール・ガスリー(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「オースティンでは、2台そろってトップ10入りできたはずで、アルピーヌとのポイント差をもう少し詰められたはずなので、リタイアは残念でした。ただ、2台ともQ3進出を果たし、レースウイークを通じてアストンマーティンやアルピーヌを上回っていたのは明らかで、全体的にはいい戦いができていました。ここ4戦で2度のDNFとはなっているものの、チャンピオンシップでの5位争いはまだまだ続いていきます。ここから3連戦が始まります。今回は2年ぶりに(メキシコ・ブラジルと)遠く離れた地での戦いとなります。時差が全く異なる厳しい環境になるので、休息とリカバリー、よい睡眠といったことが重要です。オースティンの後は、ヨーロッパに戻ってシミュレーター作業をしていたので、再び時差を超えたことになりますし、ここからまた長いフライトで大陸をまたいでメキシコに向かいます。すべてのレースで、100%の状態でいることが大切です。マシン自体は理解が進み、パッケージの持つベストを引き出せていますし、ここからいくつかのサーキットは僕らにとって相性がいいはずです。前回のメキシコは2019年で、9位フィニッシュでした。トップフォームでいなければならないコースの一つで、標高の高さがさらに厳しい状況を生み出します。その違いは、ランニングに出かければ気付きますが、マシンの中にいるとあまり分かりません。ただ、マシンにはパワーユニットやブレーキへの影響、冷却対策が必要な部分など多くの違いが出てきます。空力面では、最大のダウンフォースを付けて走りますが、空気の密度が薄いのでモンツァよりも小さなウイングのような感覚で、マシンのスライドも多くなります。例年、素晴らしいファンが集まりますが、今回はチェコ(ペレス)とレッドブルが好結果を残しているので、とても熱狂的になると思います。雰囲気は最高です」
角田裕毅(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「オースティンは、Q3へ進み、ポイントを獲得できて、いいレースウイークになり、楽しむことができました。フリー走行ではマシンを改善しながらコースの習熟も進めて忙しかったのですが、安定したパフォーマンスを見せられ、向上し続けることができました。ペースがいいことは分かっていましたし、予選ではすべてを上手くまとめることができて、いいステップアップになりました。ここから3週連続でのレースになりますが、長いフライトで時差も大きくなるため、とてもタフなものになるはずです。3つとも僕にとっては初めてのサーキットで、どれもかなり難しそうです。さらに、ブラジルはスプリント予選フォーマットとなるので、フリー走行が少なくなってしまいます。セッションを通じて向上に取り組むという、自分のプランにこだわっていきます。メキシコシティでは、標高の影響がどうなるか、これまで経験がないので楽しみです。ヘルメットを被った状態では、首や腕などに負担がかかって厳しくなると想像していますが、一番は心拍数への影響があるようです。普段は全く問題がないのですが、ここ最近のメキシコへ向けたトレーニングでは、影響を考慮して持久力に重点を置いて取り組んできました。そして、メキシコシティには、ラテンアメリカ最大の日本人コミュニティーがあると聞いているので、美味しい日本食レストランを見つけられるはずです!この3連戦のサーキットは、シミュレーターでしか経験していません。メキシコは通常のサーキットと大きく異なる特別なコースだと思います。特に、セクター1は多くのタイトな90度コーナーがたくさんあり、時速60~70㎞というかなり低速なものも含まれます。標高によって空気が薄いので、空力によるダウンフォースにも大きな影響があると聞いているので、とても面白いとは思いますが、簡単にはいかないはずです」
カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / F1メキシコGP / スクーデリア・アルファタウリ
例年、熱狂的なファンが詰めかけるメキシコでのGPだが、今回は、セルジオ・ペレスがレッドブル・レーシング・ホンダ加入後、初めての母国GP。2戦連続のダブル表彰台を経ての母国凱旋となり、いつも以上に素晴らしい雰囲気の中でのレースが期待される。
開催地のエルマノス・ロドリゲス・サーキットは、海抜約2300mの高地にあり、空力効果が下がるほか、パワーユニット(PU)へ負担が非常に大きくなることで知られている。
前回の2019年は、マックス・フェルスタッペンが予選トップタイムをマーク。ホンダF1勢は4台すべてがトップ10以内でチェッカーフラッグを受けるなど、両チームとも力強い戦いを見せた。
田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)
「今週末はレッドブル・レーシングのペレス選手の母国、メキシコでレースが開催されます。今シーズンも残り5戦となりました。まずはここメキシコから始まり、ブラジル、カタールにかけての3連戦に向かいます。今回のレースの舞台となるエルマノス・ロドリゲス・サーキットは、海抜約2300mに位置し、カレンダー中で最も標高が高いサーキットです。標高が高く気圧が低いので、空気密度が低くなることから、PUや車体に多くの影響を及ぼします。具体的には、ターボの仕事量が平地と比較して多くなったり、エアロ効率や冷却効率の低下などといったことが起こります。したがって、車体・PUともに平地とは異なる環境に合わせたセッティングや、エンジンキャリブレーションが求められます。過去のデータをもとに今年のPUに合わせたセッティングを準備し、さらに実際の走行データをもとに最適化を進めていきます。チャンピオンシップを戦う中で、ここから最終盤に向けて、一戦一戦が今まで以上に大切になります。チームとともに十分に準備を整え、いい戦いができるように最善を尽くして臨みます」
マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「アメリカGPで勝利を挙げられたのは最高の気分でした。ここ数戦はPU交換によるペナルティーや不運も重なって厳しい状況が続いていたので、チェコ(ペレス)とともに表彰台に立ててよかったです。とても満足のいく勝利で、いいペースを見せられたので、その勢いをさらに強化していきたいですし、チャンピオンシップ争いにおいても貴重なポイントを積み重ねることができたことも重要です。メキシコでは、これまで2勝を挙げていて、いい思い出があります。ここでレースができるのを楽しみにしていますし、しばらくこうした長旅ができていなかったので、尚更です。今年はチェコがチームに加わったことで、さらに僕らのファンが増えると思うので、サーキットで皆さんに会えるのが楽しみで、いい戦いができればと思います。ここからの3連戦は忙しくなるのは分かっていますが、楽しみですし、どうなるかエキサイティングな気持ちです。僕自身とチームにとっては、チャンピオンシップ争いに向けてこの3連戦を上手くやることが相当に重要です。移動も増えて時差も大きくなりますが、メキシコやブラジルのコースに戻るのはもちろん、カタールという新たなサーキットでのチャレンジも楽しみにしています」
セルジオ・ペレス(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「ホームGPを迎えるのはものすごくエキサイティングな気持ちで、本当に楽しみです。僕の母国は、キャリアを通じてずっと応援してくれていて、ファンの皆さんの前でレースをするのが大好きです。メキシコで受ける声援にはいつも驚かされますが、みんな僕のキャリアが始まった当時から長い年月にわたって常に応援し続けてくれています。そして、今年はついに母国での勝利という夢を持てるだけのチームとマシンであるというのも、素晴らしいことです。今週末は、大きな成果を残せるチャンスなので、できる限りの準備をして、どんな結果が残せるか見ていきます。メキシコシティでのショーランでは、レッドブル・レーシングのマシンを国内でも有数のストリートで走らせるので、本当に特別な時間になると思います。長い間夢見てきましたし、レッドブルのマシンで母国に戻ってくることができたのもとても特別な気持ちです。イベントの後には、チームのみんなにディナーをふるまう予定で、素晴らしいメキシコ料理と僕の国の伝統を味わってもらいたいです。メキシコでの時間を特別なものにするために、デザイナーと相談して素晴らしいヘルメットデザインを用意してもらいました。これまでの中で一番のデザインかもしれません。僕のヘルメットデザインは、国を代表しているという意識と、メキシコの文化や伝統を表現することを目指したものですが、それをこれまで以上に大きく素晴らしい形で見せたかったのです。ヘルメットのパッドも、メキシコ国旗の色に変更しました。それをかぶる瞬間が待ちきれませんし、メキシコの皆さんも気に入ってくれると思います!」
ピエール・ガスリー(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「オースティンでは、2台そろってトップ10入りできたはずで、アルピーヌとのポイント差をもう少し詰められたはずなので、リタイアは残念でした。ただ、2台ともQ3進出を果たし、レースウイークを通じてアストンマーティンやアルピーヌを上回っていたのは明らかで、全体的にはいい戦いができていました。ここ4戦で2度のDNFとはなっているものの、チャンピオンシップでの5位争いはまだまだ続いていきます。ここから3連戦が始まります。今回は2年ぶりに(メキシコ・ブラジルと)遠く離れた地での戦いとなります。時差が全く異なる厳しい環境になるので、休息とリカバリー、よい睡眠といったことが重要です。オースティンの後は、ヨーロッパに戻ってシミュレーター作業をしていたので、再び時差を超えたことになりますし、ここからまた長いフライトで大陸をまたいでメキシコに向かいます。すべてのレースで、100%の状態でいることが大切です。マシン自体は理解が進み、パッケージの持つベストを引き出せていますし、ここからいくつかのサーキットは僕らにとって相性がいいはずです。前回のメキシコは2019年で、9位フィニッシュでした。トップフォームでいなければならないコースの一つで、標高の高さがさらに厳しい状況を生み出します。その違いは、ランニングに出かければ気付きますが、マシンの中にいるとあまり分かりません。ただ、マシンにはパワーユニットやブレーキへの影響、冷却対策が必要な部分など多くの違いが出てきます。空力面では、最大のダウンフォースを付けて走りますが、空気の密度が薄いのでモンツァよりも小さなウイングのような感覚で、マシンのスライドも多くなります。例年、素晴らしいファンが集まりますが、今回はチェコ(ペレス)とレッドブルが好結果を残しているので、とても熱狂的になると思います。雰囲気は最高です」
角田裕毅(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「オースティンは、Q3へ進み、ポイントを獲得できて、いいレースウイークになり、楽しむことができました。フリー走行ではマシンを改善しながらコースの習熟も進めて忙しかったのですが、安定したパフォーマンスを見せられ、向上し続けることができました。ペースがいいことは分かっていましたし、予選ではすべてを上手くまとめることができて、いいステップアップになりました。ここから3週連続でのレースになりますが、長いフライトで時差も大きくなるため、とてもタフなものになるはずです。3つとも僕にとっては初めてのサーキットで、どれもかなり難しそうです。さらに、ブラジルはスプリント予選フォーマットとなるので、フリー走行が少なくなってしまいます。セッションを通じて向上に取り組むという、自分のプランにこだわっていきます。メキシコシティでは、標高の影響がどうなるか、これまで経験がないので楽しみです。ヘルメットを被った状態では、首や腕などに負担がかかって厳しくなると想像していますが、一番は心拍数への影響があるようです。普段は全く問題がないのですが、ここ最近のメキシコへ向けたトレーニングでは、影響を考慮して持久力に重点を置いて取り組んできました。そして、メキシコシティには、ラテンアメリカ最大の日本人コミュニティーがあると聞いているので、美味しい日本食レストランを見つけられるはずです!この3連戦のサーキットは、シミュレーターでしか経験していません。メキシコは通常のサーキットと大きく異なる特別なコースだと思います。特に、セクター1は多くのタイトな90度コーナーがたくさんあり、時速60~70㎞というかなり低速なものも含まれます。標高によって空気が薄いので、空力によるダウンフォースにも大きな影響があると聞いているので、とても面白いとは思いますが、簡単にはいかないはずです」
カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / F1メキシコGP / スクーデリア・アルファタウリ