ホンダF1 田辺豊治TD 会見 「このポジションをキープすることが大事」 / F1モナコGP 決勝
ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治が、2021年のF1世界選手権 第5戦 F1モナコGPのレースを記者会見で振り返った。

レースはシャルル・ルクレール(フェラーリ)が決勝前にドライブシャフトが故障して出走を断念したことで、トップからスタートしたマックス・フェルスタッペンが事実上のポール・トゥ・ウイン。今季2勝目、通算12勝目、F1モナコGPでは初勝利を挙げた。

この勝利で、ホンダとしてはF1通算80勝を達成。さらに、マッックス・フェルスタッペンがドライバーズチャンピオンシップで、レッドブル・レーシングがコンストラクターズランキングで首位に立った。ホンダF1エンジン/PUのチャンピオンシップ首位は、1991年以来30年ぶりとなる。

「予選の時から、いろいろなことが起こるのが市街地コースだという話をしてしましたが、本日も予選でポールポジションを獲得したフェラーリのシャルル・ルクレール選手がポールポジションからスタートするはずでしたが、スタートできない状況になりました」と田辺豊治は語った。

「そのため、フェルスタッペン選手は1番のいない2番グリッドからスタートし、インをきっちりと押さえて、バルテリ・ボッタス選手に順位を譲ることなくレースをスタートさせることができました。モナコは追い抜きが難しいサーキットで、きちんとスタートすることが大事ですが、そういう形に持ち込んだことが勝利につながったと思います」

「レース中もタイヤ戦略的には他のトップ10スタートの車両と同じような戦略をとり、ギャップを広げながら、レースをきちんとマネージする形で優勝することができました。ホンダF1最後の年で特別なモナコで優勝できてうれしいですね」

「セルジオ・ペレス選手は9番グリッドからスタートし、車のペースはよかったですが、前のクルマを追い抜くまでにはいたら中他t。ピット戦略で前のクルマが入ったところでペースをあげてポジションをあげてからピットに入るという力強いレースをして4位を獲得した。チームとして強い戦いができたモナコGPでした」

「アルファタウリ・ホンダ勢に関しては、ピエール・ガスリー選手が予選6位、レース6位。ストリートコースという特性からポジションを上げるのが難しく、いいペースで走れていましたが、前のクルマに引っかかってしまいました」

「角田裕毅選手は、スタートで遅いクルマが前に入ってしまって難しいレースになりました。アルファタウリのクルマはペースはありましたが、コース特性から追い越すことは難しく、前のクルマに我慢してついて行くレースになってしまいました。本人も予選が重要であることを学習したレースになったのではいでしょうか」

モナコでのホンダF1エンジン/パワーユニットの優勝は、1992年のアイルトン・セナ以来となる。

「いろいろな記憶があります。ただ、今年は選手権でトップに立ったことはなかったのでいいことですが、まだ23戦のうちの5戦目だということは指摘しておきたいです。大事なことはこのポジションをキープすることです」

「1992年のセナの優勝の時は、その前年まで強かったマクラーレン・ホンダに影が差してきて、初戦から劣勢という中で迎えたモナコGPでした。ストリートコースだから何が起きるか分からないという中で、ニュータイヤを履いたマンセルが追い上げてきて、セナが上手に走って優勝というレースでした。セナの巧さと、速さに陰りが出ていた中での優勝だったので、さらにモチベーションが上がり、前向きになりました」

「今回の勝利は、負けて、勝って、負けて、負けて、という中での勝利でしたが、重要なことは前を向いてこの選手権トップをどのように守っていくかです。頑張って維持しようというモチベーションを上げてくれるレースだったと言えます」

「23戦もレースがある中で、このモナコGPは特別な市街地コースでドライバーズサーキットでもあります。ホンダF1としては、過去にいいレースをしてきたという話も含めて、最後のシーズンでよい結果を残せたのは非常によいことだと思っています」

今大会では、シャルル・ルクレールがスタートできなかったこと、バルテリ・ボッタスのリタイアなど、ライバル勢に不運が味方した部分もある。

「他チームにとっては悪夢であり、ネガティブなことが我々にとっては幸運に働いたことは否定できません」と田辺豊治は語る。

「しかし、逆に言えば、それが我々に起こっても不思議ではないのがレースでした。それが無かったらどうだったかと問われれば、正直あまり変わらなかったのではないかとは思いますが、そうしたことも味方につけることができたので勝てたと思います」

それでも、前戦F1スペインGPのような緊迫したレース展開ではなかった。

「気楽にやっているということは一切ありませんが、デグラデーション、エンジンのクーリングなどは、いずれも想定内の正常値でレースが進んだのは事実です。それでも裏では『こういうことが起こったら、ああいうことが起こったら』という話はしていました」

序盤5戦を終えてのここまでの総括の総括について田辺豊治は次のように語った。

「今年、23戦を3つのPU、2つのERSで走るので、そこには届いていませんが、今のところ基本的には順調にきています。いくつか問題が発生してクールアウトしたものもありますが、基本的には順調にきています。このレースが終わった後、コンディションがどうなっているかを見て、次どうしていくかを考えていきます」

次戦F1アゼルバイジャンGPが開催されるバクーは市街地コースではあるものの、ロングストレートなど、モナコとはかなり特性が違うコースになる。

「低速コーナー部分に関しては今回の経験を生かして最適化を図って臨むようにしていきたいです。ストレートが長いなどの特徴もあり、市街地ですが、ちょっと飛び抜けた特徴があるコースになっています。そこに向けて、両方のバランスを今年のPUでうまく取れるようにもう1回シミュレーションをして、キャリブレーションを設定して臨みたいと思っています」

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カテゴリー: F1 / ホンダF1 / F1モナコGP