ホンダF1 エンジン開発者「6か月での構造変更は技術的にほぼ奇跡に近い」
ホンダF1のパワーユニット開発責任者を務める浅木泰昭は、6か月でF1パワーユニットの構造を変更したことは“ほぼ奇跡的な技術的成果”だと語る。
ホンダは2021年シーズン限りでF1から撤退するが、ホンダF1が開発した新型F1パワーユニットは、レッドブルとの合意によって新しいレッドブル・パワートレインズに引き継がれ、名前こそ消えるが2022年以降もF1グランプリを走り続ける。
ホンダは、昨年もF1エンジンにアップデートを施していたが、メルセデスF1は予想を上回る進化を遂げた。また、2021年が最後のシーズンになることが決定したこともあり、当初は2022年に導入する予定だった新しいF1エンジン構造に取り組むことを決断した。
HRD-SakuraでホンダのF1パワーユニットの開発責任者を務める浅木泰昭は、ホンダの八郷隆弘社長に、ホンダF1、そして、パートナーであるレッドブルが、F1でのラストイヤーにタイトルに挑戦できるように新しいF1エンジンの導入は不可欠であることを直談判した。
八郷隆弘社長はその要求を受け入れたが、その時点ですでに年末となっていた。ホンダのF1撤退は10月初旬になって公表された。
浅木泰昭は、ホンダのスタッフが“新しい構造のパワーユニットの作業を開始するように指示”を受けたのは“最初のレースからわずか6か月”だったと明かした。その構造とは既存のF1パワーユニットとは大きく異なるものだった。
「レッドブル側の最大の懸念は、時間内にそれを成し遂げることができるかどうかだったと思う」と浅木泰昭は語った。
「しかし、以前のパワーユニットではメルセデスに勝つことはできず、そのためには新しいパワーユニットが必要になると説明しました」
「私のところに直接やってきて「時間内に必要な開発を行うことができない』と言ったエンジニアもいました」
「しかし、八郷社長からF1を離れるというニュースがみんなが知ったことで、私が彼らのところに行って、新しいパワーユニットを準備するように頼んだ理由を理解したと思います」
「全員に私が『今年がラストイヤーになるので、ホンダのエンジニアとして何を成し遂できるか実演してやりたい』と言うと、本当にみんなの顔つきが一瞬で変わりましたし、達成するために必要なことをやらなければならないことを悟ったようでした」
時間は限られていたが、通常の生産車両やプロトタイプに適用されるホンダのより幅広い企業内の専門知識を活用することによって開発は支援された。
「通常の生産速度では、最初のレースに向かうために必要なユニット数を確保することはできなかったでしょう」と浅木泰昭は認める。
「しかし、ホンダの助けを借り、私たちは製造方法についていくつかのインプットを得ることができました。通常の3倍の速度で特定の部品を製造することができ、最初のレースに必要なユニットを入手することができました」
ホンダのF1エンジンの構造変更は野心的なものだった。F1エンジンの構造は大幅に改訂され、燃焼室を変更してより多くの出力を生成すると同時に、エンジンを短くし、重心を下げ、2015年にマクラーレンのために開発して成果を挙げることができなかった“サイズゼロ”コンセプトよりも小さいサイズになった。
エンジン内のシリンダーバンキングオフセットも逆になり、右バンクが前方に、左バンクが後方になった。
ホンダがまだ技術を学び、より多くの弱点に対していた2017年にタービンとコンプレッサーを分離するというメルセデス型のアーキテクチャの変更しているが、それらの課題よりも今回の構造変更は大きな挑戦だった。
浅木泰昭自身も2021年に新しい構造のエンジンを間に合わせることが“信じられないほど挑戦的な目標”であることを認めていたが、ホンダは最終シーズンにすべてを投げ打つ義務があったと考えている。
そして、浅木泰昭は、彼のエンジニアリングチームが“わずか6か月で問題なくテストを実施できるようにする”という大きな成功を収めたと称賛する。
「テストと構苦戦までわずか6か月でPUの構造を変更することは、非常に困難なことです」と浅木泰昭は語った。
「しかし、全員が一丸となって取り組んだおかげで、開発作業を完了し、テストをうまく実行し、開幕戦の準備をすることができました」
「すべてがうまくいけば、これがレッドブルの能力に貢献できると私たちは考えています」
「また、それは私たちが達成できたほぼ奇跡的な技術的成果の表れでもあります。ホンダの中で、私たちのエンジニアたちは、私たちが達成したことのストーリーを語り継いでいくことができると思います」
ホンダF1にとっての最大の関心事は信頼性のリスダだった。ホンダのこれまでの2つのまったく新しいエンジン(2015年と2017年、どちらもマクラーレンに搭載)は、プレシーズンテスト中に深刻な問題が発生した。
だが、浅木泰昭は、ホンダの2021年F1エンジンの開発は「短期間であっても当時に匹敵する」ものだと語る。
しかし、過去の困難といくつかの単気筒テストでの経験は、ホンダF1が最新のコンセプトの信頼性を検証するのに役立った。
そして、焦点を絞った開発作業が過去6か月で行われた一方で、ホンダの新しいF1エンジンの革新がいくつか導入されている。
浅木泰昭によると、HRD-Sakuraの一部の部門では“1~2年”かけて古いコンセプトの開発限界を調査していたという。
さらに今回の開発は2022年に10%エタノール燃料で動作するエンジンを前倒したことで複雑化は回避された。ホンダは、現在の燃料はそこまでかけ離れたもとではなく、来年のために必要なのは燃焼エンジンの適度な最適化のみだと語った。
最後に浅木泰昭は、今年のメルセデスの改善が「私たちが想定していた範囲内であれば、私たちは彼らと競争する能力があると信じている」と語る。
「私たちはさまざまな開発目標を持っており、それらの目標を達成したと信じています」
「競合他社がどれだけ向上したかを確認する必要があり、興奮と不安の両方を感じながら開幕戦に向かいます」
カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング
ホンダは2021年シーズン限りでF1から撤退するが、ホンダF1が開発した新型F1パワーユニットは、レッドブルとの合意によって新しいレッドブル・パワートレインズに引き継がれ、名前こそ消えるが2022年以降もF1グランプリを走り続ける。
ホンダは、昨年もF1エンジンにアップデートを施していたが、メルセデスF1は予想を上回る進化を遂げた。また、2021年が最後のシーズンになることが決定したこともあり、当初は2022年に導入する予定だった新しいF1エンジン構造に取り組むことを決断した。
HRD-SakuraでホンダのF1パワーユニットの開発責任者を務める浅木泰昭は、ホンダの八郷隆弘社長に、ホンダF1、そして、パートナーであるレッドブルが、F1でのラストイヤーにタイトルに挑戦できるように新しいF1エンジンの導入は不可欠であることを直談判した。
八郷隆弘社長はその要求を受け入れたが、その時点ですでに年末となっていた。ホンダのF1撤退は10月初旬になって公表された。
浅木泰昭は、ホンダのスタッフが“新しい構造のパワーユニットの作業を開始するように指示”を受けたのは“最初のレースからわずか6か月”だったと明かした。その構造とは既存のF1パワーユニットとは大きく異なるものだった。
「レッドブル側の最大の懸念は、時間内にそれを成し遂げることができるかどうかだったと思う」と浅木泰昭は語った。
「しかし、以前のパワーユニットではメルセデスに勝つことはできず、そのためには新しいパワーユニットが必要になると説明しました」
「私のところに直接やってきて「時間内に必要な開発を行うことができない』と言ったエンジニアもいました」
「しかし、八郷社長からF1を離れるというニュースがみんなが知ったことで、私が彼らのところに行って、新しいパワーユニットを準備するように頼んだ理由を理解したと思います」
「全員に私が『今年がラストイヤーになるので、ホンダのエンジニアとして何を成し遂できるか実演してやりたい』と言うと、本当にみんなの顔つきが一瞬で変わりましたし、達成するために必要なことをやらなければならないことを悟ったようでした」
時間は限られていたが、通常の生産車両やプロトタイプに適用されるホンダのより幅広い企業内の専門知識を活用することによって開発は支援された。
「通常の生産速度では、最初のレースに向かうために必要なユニット数を確保することはできなかったでしょう」と浅木泰昭は認める。
「しかし、ホンダの助けを借り、私たちは製造方法についていくつかのインプットを得ることができました。通常の3倍の速度で特定の部品を製造することができ、最初のレースに必要なユニットを入手することができました」
ホンダのF1エンジンの構造変更は野心的なものだった。F1エンジンの構造は大幅に改訂され、燃焼室を変更してより多くの出力を生成すると同時に、エンジンを短くし、重心を下げ、2015年にマクラーレンのために開発して成果を挙げることができなかった“サイズゼロ”コンセプトよりも小さいサイズになった。
エンジン内のシリンダーバンキングオフセットも逆になり、右バンクが前方に、左バンクが後方になった。
ホンダがまだ技術を学び、より多くの弱点に対していた2017年にタービンとコンプレッサーを分離するというメルセデス型のアーキテクチャの変更しているが、それらの課題よりも今回の構造変更は大きな挑戦だった。
浅木泰昭自身も2021年に新しい構造のエンジンを間に合わせることが“信じられないほど挑戦的な目標”であることを認めていたが、ホンダは最終シーズンにすべてを投げ打つ義務があったと考えている。
そして、浅木泰昭は、彼のエンジニアリングチームが“わずか6か月で問題なくテストを実施できるようにする”という大きな成功を収めたと称賛する。
「テストと構苦戦までわずか6か月でPUの構造を変更することは、非常に困難なことです」と浅木泰昭は語った。
「しかし、全員が一丸となって取り組んだおかげで、開発作業を完了し、テストをうまく実行し、開幕戦の準備をすることができました」
「すべてがうまくいけば、これがレッドブルの能力に貢献できると私たちは考えています」
「また、それは私たちが達成できたほぼ奇跡的な技術的成果の表れでもあります。ホンダの中で、私たちのエンジニアたちは、私たちが達成したことのストーリーを語り継いでいくことができると思います」
ホンダF1にとっての最大の関心事は信頼性のリスダだった。ホンダのこれまでの2つのまったく新しいエンジン(2015年と2017年、どちらもマクラーレンに搭載)は、プレシーズンテスト中に深刻な問題が発生した。
だが、浅木泰昭は、ホンダの2021年F1エンジンの開発は「短期間であっても当時に匹敵する」ものだと語る。
しかし、過去の困難といくつかの単気筒テストでの経験は、ホンダF1が最新のコンセプトの信頼性を検証するのに役立った。
そして、焦点を絞った開発作業が過去6か月で行われた一方で、ホンダの新しいF1エンジンの革新がいくつか導入されている。
浅木泰昭によると、HRD-Sakuraの一部の部門では“1~2年”かけて古いコンセプトの開発限界を調査していたという。
さらに今回の開発は2022年に10%エタノール燃料で動作するエンジンを前倒したことで複雑化は回避された。ホンダは、現在の燃料はそこまでかけ離れたもとではなく、来年のために必要なのは燃焼エンジンの適度な最適化のみだと語った。
最後に浅木泰昭は、今年のメルセデスの改善が「私たちが想定していた範囲内であれば、私たちは彼らと競争する能力があると信じている」と語る。
「私たちはさまざまな開発目標を持っており、それらの目標を達成したと信じています」
「競合他社がどれだけ向上したかを確認する必要があり、興奮と不安の両方を感じながら開幕戦に向かいます」
カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング