ホンダF1:2021年 F1 開幕戦 バーレーンGP プレビュー
ホンダF1のラストイヤーとなる2021年のF1世界選手権が今週末のF1バーレーンGPで幕を開ける。

昨年の最終戦、マックス・フェルスタッペンが勝利を飾ったアブダビGPから104日。2021年のF1シーズンが、いよいよバーレーンGPで開幕する。バーレーンがシーズン初戦の舞台となるのは、これが史上3度目となる。

今季は、レッドブル・レーシング・ホンダにセルジオ・ペレス、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダには角田裕毅が加入。ピエール・ガスリーを加えた4名のドライバーがどんな走りを見せてくれるのか、期待が高まる。

田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)
「いよいよ2021年シーズンが、バーレーン・サヒールサーキットにて幕を開けます。昨年はコロナウイルスの感染拡大の影響を受けて予定より大幅にシーズン開幕が遅れました。今年も依然状況は厳しいもののF1・FIAまた各チームが様々な対応を取り予定通りの開幕となります。今年は、さらなるパフォーマンス向上を図るために、ホンダとして多くの部分を見直し新たに設計をした新型のPUを投入します。PU自体の性能向上と低重心化・コンパクト化を図ることにより、車体パッケージ全体でのパフォーマンス向上にも貢献しています。ここバーレーンで行われた先日のプレシーズンテストでは、3日間でスクーデリア・アルファタウリ・ホンダ が全チーム中で最多周回を走行、レッドブル・レーシング・ホンダと合わせてホンダのPUは791周、4,281kmを走行、今週末のレースに向けてPU、車体ともに貴重なデータを収得することができました。両チームともにパフォーマンス的にもいい手ごたえを得ています。ドライバーラインアップについては、レッドブルに経験豊富なペレス選手、アルファタウリにはルーキーの角田選手が加入し、新しい顔ぶれになっています。フェルスタッペン選手、ガスリー選手とともに速さを見せてくれることを期待しています。ホンダF1参戦最終年となる今年、PU、車体、ドライバー、チーム体制などレースに向けていい準備ができていると感じています。我々の目標となるチャンピオンシップ獲得に向けて、両チームとともに一つ一つのレースを大切に最善を尽くして戦っていきたいと思います」

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング・ホンダ)
テストでは1日半しか走行時間がなかったので、一番の目標は走行距離を稼ぐことでした。その中でさまざまなセットアップ変更を試し、どれが機能するのかを確認していきました。僕らは気温の高いコンディションでしか走っていませんし、サーキットごとに特性は異なるので、本当の実力を語る時期ではありませんが、マシンの感触がいいことは確かです。マシンは安定していて快適にドライブできます。もちろん改善点はありますが、これまでも僕らは常に向上を果たしてきましたし、エンジニアもそれを目指しています。テストが順調にいったことで、ポジティブなシーズンの幕開けとなりました。走行距離を伸ばせてマシンの理解が進んだことには満足していますが、純粋なパフォーマンスという面ではまだ何も言えません。みんながエキサイトしているのも知っていますし、僕らはこうコメントするしかないのですが、メルセデスは7年連続でタイトルを獲得しているわけですから、彼らが未だに最強です。メルセデスとしては、人々に僕らが最強だと思わせてプレッシャーをかけようとしているはずだと思いますが、僕らは自分たちのことに集中するのみです。このチームの誰もが、そしてホンダも、メルセデスをはじめとしたライバルに打ち勝つべくプッシュしています。毎年、新たなシーズンを迎えるときには彼らに勝つチャンスがあると思ってはいますが、簡単に倒せる相手ではないですし、テストの内容だけを見て僕らが上にいると思うなんて馬鹿げています。個人的には、Q3を全開で走るのが待ちきれません。燃料搭載を少なくしてフルパワーで走るので、そこで誰がパフォーマンス面で進化しているのかが分かりますし、レースではそのパフォーマンスをレース距離全体で維持できているかが見られます。僕らがその両方でいい状態であればいいですね!僕も、チームも全力を尽くしてタイトル争いができるように挑戦します。僕らはそれぞれの役割を熟知していますし、ホンダとエクソンモービルがオフの間もRB16Bをパッケージとして向上させようと懸命に取り組んでくれました。バーレーンは好きなサーキットですし、自分たちのパフォーマンスを楽しみにしています。誰が正しいのかが明らかになるときはもうすぐです」

セルジオ・ペレス(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「テストはすごくポジティブでした。時間が短く、走行してチェックする機会はかなり限られていましたが、チームとしてはいい準備ができたと思いますし、レッドブルでの初戦を楽しみにしています!序盤の数戦はできる限り多くを学び、早くスピードを発揮できるようにしたいです。そうすれば、シーズンを通じていいポジションにつけられるはずです。(パフォーマンスの面では)まだ序盤なので、これから見ていきましょう。ライバルたちが何をしているのか解明しようとすればするほど、自分たちは迷ってしまうものなので、そうしたことにあまり意味はありません。予選まで待つ必要がありますし、そこで全員の立ち位置が分かります。このチームで走ることは、僕がこれまで夢見てきたことです。待ちきれないですし、サーキットでファンの皆さんに会い、レースをすることを心の底から楽しみにしています。今はとてもリラックスしていて、僕の全力を出しきるのみです。最後にどうなるか見ていきましょう」

ピエール・ガスリー(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ
「レースが待ちきれません!直前に同じサーキットで3日間のテストをしてから開幕戦を迎えるというのは初めてで、フリー走行が増えたようなものです。このサヒールのコースで僕らに何が必要か、たくさんのアイディアがある状態で臨めます。テストの目的は自分たちの新車を理解することであり、特に新たな空力パッケージの効果をシーズンを通じて引き出せるようにしなければなりません。このチームに加入して以来、一番のプレシーズンテストと言っていいほどで、全チームの中で最多周回をこなせて、本当に実りの多いテストになりました。全チームの様子を見てみると、現代のF1のパフォーマンスレベルと信頼性の高さを実感しました。数年前のテストではみんなかなりの数の問題が起きていましたし、その頃と比較するとかなりの技術的進歩を遂げています。僕らには、技術面でもメカニカル面でも心配がないことにも勇気づけられています。最初の数周からマシンのフィーリングはよかったですし、テストではポジティブな発見がたくさんありました。さらに、そこからチーム全員が初戦に向けてかなりのハードワークをして準備を進めてきましたから、今週末にそれが報われることを願っています。新たなテクニカルレギュレーションの影響で、グリップは少し下がったと思います。マシンのハンドリングや挙動の面では違いを感じにくいのですが、昨年と同様に苦戦する場所もあれば、強みを発揮できるところもあるはずです。全体的なバランスは昨年と似ていますが、グリップが低下したことでコーナーでは少し遅くなっています。ただ、大きな違いはありません。それを除けば、マシンを初めてテストしたときから、そのまま進めていけばいいというくらいのベースがあると感じました。いくつかのコーナーで微調整ができましたし、今はエンジニアが主に風洞で作業してシーズンを通じてダウンフォースを増していけるように取り組んでいます。シーズン開始にあたってすごくいい基礎ができていますし、何か変更を加えればマシンもよく反応するので、いい傾向だと思います。テスト中は、あまり全開でプッシュしていないので、PUの改善点がはっきりとは分かっていませんが、ホンダの取り組みはよくわかっていますし、多くの周回を走ったにもかかわらず、3日間のテストでPUの問題がゼロだったことには勇気づけられました。開幕戦でさらにプッシュすることで、またいいアイデアが得られるはずです。チームとして見ると、2人のドライバーがそろって役割を果たせたことが重要です。ユウキがテストでいい仕事をしてくれて、多くの周回を走行することができました。彼はミスをせずに、求められたことをやりきりました。僕ら2人とも、シーズンに入る準備はできています」

角田裕毅(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「今週末がいよいよ僕にとってのF1デビューになります。昨年のF2からF1にステップアップするわけですが、オフシーズンの間には旧型でテスト走行を重ねたことに加え、先日の3日間プレシーズンテストでも走り込むことができ、準備はできていると感じています。テストの中ではF1マシンのパワーやブレーキと言った部分のみではなく、F1特有の複雑なステアリング操作についても学び、プッシュした際やマシンの挙動が乱れたときに、どのような操作をするとどう反応するかといった部分も含めて理解を深めることができました。また、セッションごとに得られたデータから学びを重ね、成長することができたと思っています。昨年型のマシンと比べて、今季型のほうがステアリングを通じていい感触がありましたし、エンジンもよりパワーがあるように思います。ただ、テストが上手くいったからといっても、各チームが異なるプログラムに取り組んでいるわけなので、どれだけ競争力があるのかは、今週末まで分かりません。フィジカル面でもハードワークを重ね、毎日トレーニングをして強化すべき部分に取り組んできました。1月と2月のテストも含め、開幕戦に向けていい準備ができています。今は開幕が待ち遠しい思いです。最初から全力でプッシュして、マシンの限界を確認しながら色々な経験を重ね、シーズン中盤から後半にかけていい形にまとめていければと思っています。また、チームメイトには経験豊富なガスリー選手がいるので、彼の走りからも多くのことを吸収していきたいと思います。2014年以来7年ぶりの日本人F1ドライバーとして、日本のファンの皆さんがとても期待してくれていることも分かっています。皆さんに喜んでもらえるように全力を尽くします。デビューに向けて、準備はできています!」

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カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / F1バーレーンGP / スクーデリア・アルファタウリ