ホンダF1 「アブダビが終わった翌日から2021年のレースは始まっている」
ホンダF1のマネージングディレクターを務める山本雅史が、2020年のF1世界選手権を振り返るとともに、最後のシーズンとなる2021年についての意気込みを語った。

今年、シーズン序盤からメルセデスと互角の戦いをすることを目指してきたホンダF1とレッドブルだが、開幕するとメルセデスがさらなる進化を果たしていることが明らかになかった。

レッドブル・ホンダF1は、シルバーストンで開催されたF1 70周年GPでシーズン初勝利を挙げた。

「予選前のストラテジーのミティングで『Q2をハードで行くよ』というのは僕もちょっとびっくりしまいた。最初は『えっ?』って感じでした。でも、良く見てますよね。金曜日からの走りを見て、ああいうところがレッドブルの凄さだと思うし、あれで流れがつかめたのは事実だと思いますね」と山本雅史は F1GPニュース で振り返った。

そして、モンツァで開催されたF1イタリアGPではアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーがF1初優勝を挙げる。

「あの時も後ろからサインツが追っかけてきてて、残り10周は『リアタイアがない』とガスリーが無線で言ってたくらいなので、そんな中でガスリーは本当ににいい仕事をしたと思うし、地元イタリアでアルファタウリが勝つというのはチームにとって大きな力になったと思います」

「ガスリーのチーム側のエンジニアとの相性もそうだし、本当にいい顔してをレースしてくれいると思います。レース後に会えれば、毎戦毎戦『今日のレース面白かったでしょう』と言ってくるんですよ。特に後半戦はいいレースたくさんしてくれたし、来年、角田といいコンビネーションになると思うし、楽しみですよね」

そして、最終戦F1アブダビGPではレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンがシーズン初ポールポジションを獲得。レースでもスタートとからリードを失うことなくポール・トゥ・ウインで完勝。ベストな形でシーズンを締めくくった。

最終戦でのポールポジションについて山本雅史は「本当にうれしかったですね」と語る。

「何よりも今シーズンはポールを獲ってこなかった。ポールポジションというのは、総合力、速さの証明なので、エンジニア、開発メンバー含めて、喜ぶ一番の結果なので、最後のレースでポールを獲れたのは本当によかったです」

「この14年からの新しいハイブリッドのレギュレーションでいえば、アブダビはメルセデスが予選も決勝も圧勝という感じだったので、僕らもバーレーンからアブダビに入るときに、最終戦は何が何でも来年に繋げたいし、厳しいレースをしていこうと田辺(豊治/テクニカルディレクター)としていたので本当にうれしかったですね」

レッドブル・レーシングは、最終戦までメルセデスに追いつくために多数のアップデートを投入した。最後の3戦でリアウイングのピラーを含め、ウエイストゲートパイプの位置などいろいろ細かな変更を施していた。

「金曜日からクルマが本当にうまくセットアップしていたと思います」と山本雅史は語る。

「シングルピラーのリアウイングはバーレーンでもテストはしていたんですけど、アブダビから初めて2台ともシングルのリアウイングを使ったんです。実はアブダビはリアウイングのリップ全部とってるんです。それまではマックスはつけてる方が多かったんですけど、アブダビは取ったので、そういう意味でもクルマが凄く良くなっていたと思うし、フロントウイングも微妙にちょっとずつアップデートしてくれてて、そこはレッドブルのおかげだと思います」

「フロントウイングを見てもらってもわかるように、マックスのフロントウイングの取り付け位置が内側に寄っているんです。エアインテークが下にあったりとか、本当に細かく変更しています。その効果も2台とも表れていたのがアブダビと思うし、クルマもすごくよかっていると思います」

今年は、新型コロナウイルスの流行によって開幕が延期し、最終的にレース数も決まっておらず、エンジン仕様も変えられなかった。

「最初のうちは17レースやるとは言ってませんでしたからね。『15レース越えたら3基使っていいよ』みたいな話はコンストラクターズのなかではあったんですが、それがなかなか発表しなかったじゃないですか。最初から3基を使う予定で回してしまおうという議論もあったんですけど、わからないから、シーズン前半はパワーユニットのマネジメント側が難しかったですね」と山本雅史は語る。

ホンダF1は、今シーズンで3基のパワーユニット基数制限を超えず、パワーユニットメーカーとして唯一、ペナルティを受けずにシーズンを乗り切った。

「私たちホンダは、今シーズン最初から3基で行こうと決めてたので、ガスリーのESが燃えたときは本当に『えっ』と思ったんですけど、ガスリーも何とか3基で行けたんで、ホンダだけペナルティなしで戦えたという意味では良かったなと思います」

メルセデスは、昨年エンジンパワー面でフェラーリに大きな差をつけられたことから、信頼性よりもパワーを重視したアグレッシブな開発を行ってきた。ホンダはそこまでアグレッシブな変更を施してこなかったが、勝負していたらどうなっていたのだろうか。

「今だから言うと、そういう話もなきにしもあらずですけど、マルコさんなんかは僕に必要であればペナルティを受ける場所があれば、ペナルティを受けてもいいよよ言ってました」と山本雅史は語る。

「でも、それはタイミングもあるし、レッドブルも良いコースだったら予選で後ろに下がりたくないじゃないですか。そのタイミングもあった。結果的に、今シーズンはそれで良かったと思います」

最終戦までメルセデスは39戦連続でリードラップを記録していた。しかし、F1アブダビGPではマックス・フェルスタッペンは1度もリードを失わず、その記録にストップをかけた。

「メルセデスの独壇場でしたし、特に今年のクルマが非常に安定しているので、いろんな形で止めれたというのは良かった思うし、ホンダにとっては、来年1年は厳しくもいろいろやりたいシーズンでもあるので、特に今年の後半のレースを見てても、フェルスタッペンだったり、アブダビでもガスリーのオーバーテイクが多かったじゃないですか。そこに角田が入ることで来シーズン、本当におもしろいかなと思います」

では、2021年に向けて山本雅史はどのように捉えているのだろうか。

「PUの使い方を含めて、エンジニアも試行錯誤していることが来年に繋がると思いますし、そういった意味ではポール・トゥ・ウインといういい勝ち方でレースを締めくくれたので本当良かったと思います」

「アブダビが終わった翌日から来年のレースは始まっているんで、特にHRD SAKURAが開発も大変でしょうけど、来シーズンは常に4人が良い予選をして、常にトップ10で入賞してレースを終えられるようにしっかり準備をしてやり切りたいと思います」

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カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / スクーデリア・アルファタウリ