ホンダF1:2020年 第12戦 F1ポルトガルGP 決勝レポート
ポルティマオのアルガルベ・インターナショナル・サーキットで行われたF1ポルトガルGP決勝は、レッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンが3位表彰台、アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーが5位入賞を果たした。

前日の予選でQ3進出を果たしたマックス・フェルスタッペン、アレクサンダー・アルボン、ピエール・ガスリーは、レギュレーションに沿って、Q2でベストタイムをマークしたソフトタイヤを使用。

13番手のダニール・クビアトはミディアムタイヤを選択してスタートしたが、オープニングラップで小雨が舞ったこともあり、序盤はソフトタイヤ勢の優位が目立つ展開となった。

3番グリッドからスタートしたフェルスタッペンは、ターン1でバルテリ・ボッタス(メルセデス)に仕掛けるが、ややワイドに膨らむと、セルジオ・ペレス(レーシングポイント)に迫られて接触を喫したことで、5番手までポジションダウン。ガスリーはトップ10以内に踏みとどまったが、アルボンも順位を落としてしまう。

ここから、フェルスタッペンはソフトタイヤのペースを活かして巻き返し、3番手までポジションを戻すと、前を行くメルセデス勢へ迫るべくプッシュ。その後方では、ガスリーがオーバーテイクを連発。10周目にキミ・ライコネン(アルファロメオ)をパスすると、13周目にはランド・ノリス(マクラーレン)を追い抜き、6番手まで浮上した。

アルボンは中団でペースが上がらず、チームは早めのピットインを敢行。19周目にミディアムタイヤに交換し、2ストップ作戦の態勢を取った。一方、ガスリーは20周目にカルロス・サインツ(マクラーレン)もかわし、5番手にポジションを上げる。

フェルスタッペンは23周目に1回目のピットインを行い、ミディアムタイヤに交換。ガスリーも29周目に同じくミディアムに履き替える。クビアトは、ポイント圏内を目指すべくプッシュしていたが、トラックリミット違反の裁定を受けて5秒加算のタイムペナルティーを科される。

ガスリーは、ピットアウト直後にダニエル・リカルド(ルノー)にかわされるが、すぐにペースを上げて抜き返し、7番手に浮上。その後、エステバン・オコン(ルノー)のピットインによって6番手を手にすると、前方のセルジオ・ペレス(レーシングポイント)を追う。ペレスは2ストップ作戦を採り、ソフトタイヤで最後のスティントを走行していたが、ガスリーは猛烈なペースで追い上げて背後に迫る。一度はブロックされたものの、残り2周のターン1でアウト側から鮮やかなオーバーテイクを見せ、ガスリーは5位フィニッシュを果たした。

この日はセーフティカーの出動もなく、アルボンは最終スティントで好ペースを発揮したものの、12位に。同じく2ストップのクビアトも、ペナルティーの影響もあって19位となった。

フェルスタッペンは、最後まで3位を守り、3戦連続の表彰台フィニッシュ。これで、ホンダのF1パワーユニットとしては今季11度目、第2戦から11戦連続の表彰台獲得となり、今季5戦を残した段階で、昨年の表彰台獲得数に並んだ。

次戦は連戦となるイモラでのF1エミリア・ロマーニャGP。2日間フォーマットが採用され、10月31日(土)に90分間のフリー走行と予選、11月1日(日)に決勝が行われる。

田辺豊治(ホンダ F1テクニカルディレクター)
「今日のポルトガルGP決勝は、Aston Martin Red Bull Racingのフェルスタッペン選手が3戦連続となる3位表彰台を獲得し、Hondaにとっては11戦連続となる表彰台をもたらしてくれました。週末を通して速さを見せていたScuderia AlphaTauri Hondaのガスリー選手は、レースでオーバーテイクをいくつも見せて5位入賞と素晴らしい走りでチームにとって貴重なポイントをもたらしてくれました。今週末は昨日の予選に続いて、レースもタイヤマネージメントが大きなキーとなったと思います。フェルスタッペン選手、ガスリー選手は、レースペースをコントロールしながらうまくタイヤマネージメントしたことでよいレース結果を得たと思います。来週はイタリアのイモラ・サーキットにて、土曜と日曜の2日間開催のフォーマットでレースが行われます。イモラ・サーキットは、Scuderia AlphaTauriのファクトリーから目と鼻の距離にあり、チームにとっては今季3度目のホームグランプリとなります。また、現行ハイブリッドレギュレーションでの初開催ともなりますので、十分に準備をして臨みたいと考えます」

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)
「全体的には3位という結果に満足していますし、予想通りの位置だと思います。序盤の小雨と低グリップはもちろん楽ではなかったのですが、できることはすべて試しました。最初の数周はタイヤ温度がかなり低くなっていました。セルジオ(ペレス)と少し接触したもののダメージはなかったのですが、そのとき小雨が降り始めていたので、マシンをコースアウトさせずにトラブルなく走ることを心がけました。なぜマクラーレンの2台がオープニングラップであんなにグリップがあったのかは分かりませんが、雨が止んでからは彼らをパスして3番手までポジションを戻せたので、そこからは自分のレースに集中しました。今日は、いくつかの理由からソフトタイヤがうまく機能しなかったのですが、ミディアムに交換してからはいいペースで満足いく走りができました。そのときにはメルセデスと大きなギャップができていたので、できることはあまりありませんでしたが、また表彰台に立ててうれしく思っています。ピット作業に何秒かかったのかは把握していませんが、とても速く感じました。メカニックたちには、最速ピットストップのお祝いに今夜ビールを楽しんでほしいと思います」

ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
「今日のレースはライバルといいバトルができ、本当に楽しかったです!ソフトタイヤの感触が非常によく、レースの序盤でうまくマネージできたので、ライバルたちがタイヤの劣化に苦しみ出したあたりで、ルノー、マクラーレン、レーシングポイントのマシンを抜いていくことができました。トップ3チームの後ろの5位というポジションでフィニッシュできたことは小さな勝利のようにも感じているので、この結果は本当にうれしく思っています。金曜の夜にはマシンをゼロから組み立てるためにチームのみんなが本当にがんばってくれたので、今日の5位という結果を彼らに送ることができて本当によかったです」

アレクサンダー・アルボン(レッドブル・レーシング)
「タフなレースで、序盤からグリップに苦しみました。マシンは速かったのですが、トラフィックの中で本来のペースを発揮できませんでした。走行ラインにうまく乗れず、最初の3ラップはタイヤ温度にも苦しみ、フロントをロックアップさせてしまいました。タイヤが温まってからのマシンはよかったのですが、ここのところタイヤを適正な温度レンジに入れるのに苦しんでいたので、温まる前に後方のトラフィックに入ってしまいました。一度DRSトレインの中に入ると、オーバーテイクは難しくなってしまいます。ライバルとは違うことを試そうと2ストップ戦略を採りましたが、振り返ってみればベストな作戦ではなかったかもしれません。今日のレースやレースウイーク全体から、学ぶべきことを見直して、イモラではいいパフォーマンスが発揮できるようにしていきます」

ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)
「今日はよくないレースでした。1周目でポジションを落としてしまい、そこからあまりできることはありませんでした。タイヤの感覚が悪く、熱が十分に入らない感じがして、序盤はグリップに苦しみました。風もあったので簡単な状況ではなかったですし、こういう中でのレースはいつも難しいものです。いいレースができるときもあれば、悪いときもあり、僕にとって今日は悪いレースになりました。今日の走りを分析し、序盤の数周でタイヤ温度も含めてなにがあったかを見直した上で、来週はより強くなって戻ってこなければなりません」

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カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / スクーデリア・アルファタウリ / F1ポルトガルGP