ホンダF1:2020年 第11戦 F1アイフェルGP 決勝レポート
ドイツ・ニュルブルクリンクで開催されたアイフェルGPの決勝は、レッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンが2位表彰台、アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーが6位入賞を果たした。

一方で、ダニール・クビアトが15位、アレクサンダー・アルボンがリタイアに終わっており、両チームともにドライバーの明暗が分かれる結果となった。

前日の予選で3番手、5番手となったフェルスタッペンとアルボンは、ともにQ2で使用したソフトタイヤでスタート。12番手と13番手のガスリーとクビアトは、ミディアムタイヤを選択した。スタート直後に、フェルスタッペンがルイス・ハミルトン(メルセデス)に並びかけるも、メルセデス勢に続く3番手に。アルボンは1つ順位を落として5番手での走行となった。

アルボンは早めのピットイン戦略を採り、7周目にミディアムタイヤに履き替える。しかし、不運にもコース復帰時にトラフィックの中に入ってしまう形となる。16周目にはクビアトをオーバーテイクする際に接触し、クビアトのフロントウイングが破損。クビアトはこの状態で1周走行した後、ピットインして新しいウイングを装着し、ハードタイヤに履き替えて追い上げを狙う。

このインシデントについて、アルボンに5秒加算のタイムペナルティーが科されたが、その後デブリによりラジエーターが破損、PUのデータに異常を確認したため、チームはリタイアを決めた。

上位陣の戦いでは、首位を走行していたバルテリ・ボッタス(メルセデス)がタイヤをロックしてダメージを負ったために早めのピットストップ。これでハミルトンが首位、フェルスタッペンが2番手となる。その後、バーチャルセーフティカー(VSC)が発動した瞬間に、ハミルトンとフェルスタッペンはピットイン。通常走行よりタイムロスが少なくなるアドバンテージを活かして、フェルスタッペンはボッタスの前でコースへ戻り、2番手のポジションを確保する。

ガスリーはスタートタイヤのミディアムでロングスティントを走りきり、折り返しを過ぎた31周目でピットインしてハードタイヤに交換。レース復帰後、8番手までポジションを上げると、ランド・ノリス(マクラーレン)がコース脇にマシンを止めたことでセーフティカーが出動する。この時点で残り15周でしたが、フェルスタッペン、ガスリー、クビアトともにソフトタイヤへの交換を行う。

残り11周でのリスタートとなったが、フェルスタッペンは2番手を堅守。ガスリーは、タイヤ交換を行わなかったロマン・グロージャン(ハース)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)を立て続けにオーバーテイクし、6番手までポジションアップ。一方のクビアトは前を行くマシンもフレッシュなタイヤを装着していたことから、順位を上げることはできず、15位でのフィニッシュとなった。

ロシアGPに続く2位表彰台となったフェルスタッペンは、最終ラップに全体ファステストラップをマークし、さらなる1ポイントを獲得。6位入賞を果たしたガスリーも2戦連続のポイント獲得となった。

次戦は2週間後、10月25日(日)決勝のポルトガルGP。今季2つ目のF1初開催サーキットである、アルガルベ・サーキットでの戦いとなる。

田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)
「今日のアイフェルGP決勝は、F1としては異例となる10℃を切る低い外気温に加え、路面温度も非常に低い中で行われました。Aston Martin Red Bull Racingのフェルスタッペン選手が予選3番手から着実な走りで2戦連続となる2位表彰台を獲得しました。ファステストラップの獲得も併せて、我々に力を与えてくれる表彰台だと感じています。12番手からスタートしたScuderia AlphaTauri Hondaのガスリー選手は、中段グループの激しい戦いの中でいくつものオーバーテイクを見せる強い走りで、6位入賞を果たしました。こちらも、ガスリー選手、チーム、そして我々にとって、この先の後半戦に向けて大きな励みになる結果でした。一方で、チームメートのクビアト選手は序盤の接触でフロントウイングを失ったことが影響し、残念ながら15位に終わりました。また、Red Bull Racingのアルボン選手については、トラック上のデブリによってラジエーターが破損し、パワーユニットのデータに異常を確認したため、レースの途中でリタイアを決めました。ここから1週間を空け、F1としては初開催となるポルトガルでのレースになります。当然ながら現行のPUを使っての走行も初めてですので、十分に事前準備をして臨みたいと思います。最後になりますが、今日のレースでミハエル・シューマッハ選手が持つ91勝の最多勝利記録に並ぶという偉業を達成したハミルトン選手に、Hondaを代表しておめでとうの言葉を贈ります」

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
「今回のレースは全体としてポジティブな週末になりました。ロシアGPに続き2位表彰台を獲得できたことは喜ぶべき結果だと思います。レースでは前を走るハミルトン選手にできるだけ近づきながら走るようにトライしていましたが、彼と戦うほどの速さはありませんでした。それでも、全体的なパフォーマンスはよかったと思っています。今週末は車体として一歩前進できたことをうれしく思っていますが、まだまだ改善が必要です。毎週末メルセデスといい戦いができるよう、さらにプッシュを続けていきます。レース途中でのセーフティカー導入後の再開時は、低い外気温により僕のマシンのタイヤが冷えていたのに対して、後続のマシンは周回遅れを回復するために走行してタイヤが温まった状態だったので、簡単ではありませんでした。それでもなんとか彼らを抑え、前を走るハミルトン選手に食い下がっていこうとトライしました。もちろん、ファステストラップを獲得し、追加の1ポイントを取れたこともうれしく思っています。また、リカルド選手が表彰台を獲得できたこともよかったと感じています。彼は素晴らしいドライバーですし、彼にふさわしい結果だと思います」

ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
「昨日はやや苦しい結果だっただけに、今日は本当にうれしいです。望んでいたマシンバランスに持っていけず、感触はあまりよくなかったです。いつも決勝レースではペースがよく、ポイント争いができるとは思っていましたが、今日はとても楽しかったです。コース上で多くのバトルをして、攻めたりディフェンスしたりと、いろいろな状況がありましたが、そのすべてを心から楽しみました!チームはすべて適切なタイミングで正しい判断を下してくれましたから、今日の6位には本当に満足しています」

ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)
「アルボン選手と接触した瞬間から後方での戦いになり、いい結果にはなりませんでした。彼がどうしたかったのかは分かりませんが、結果として僕のフロントウイングは破損してしまい、フロアとブレーキダクトにも大きなダメージが残りました。さらに、ピットへ入るまではフロントウイングなしで低速走行せねばならず、当然ウイング交換にも時間がかかるわけで、そのあと僕にできることはあまり残されていませんでした。マシンはダウンフォースを大きく失っており、苦しかったです。雨が降るなど挽回できるチャンスを願っていましたが、何も起こりませんでした。アルボン選手とのインシデントまではとても力強いレースができていると感じていただけに、残念です。もっといい結果を残せたはずだと思います」

アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)
「今日のマシンのペースはよかったので、このような結果になり、本来いるべきポジションでフィニッシュできなかったことは残念です。1周目に接触を避けようとしてタイヤをロックアップさせてしまい、フラットスポットができて深刻なバイブレーションが発生していたので、早めにピットストップを行わなければなりませんでした。ダニールとの接触は、まだ何が起きていたかよく分かっていませんので、もう一度振り返る必要があります。僕が思うに、リスタート時、彼はシケインの進入で少しワイドになったのかもしれませんし、僕もややミスジャッジがあったかもしれません。その後、チームからはマシンの温度が上昇しているのを見て、ピットインしてリタイアするように言われました。最初はデータからパワーユニットの問題のように見えましたが、チームが調査したところデブリがラジエーターに入って温度の上昇を引き起こしていたことを解明してくれました。マシンの感触がよかっただけに、今日の結果は僕らが望んでいたものではないですが、前を向いて、2週間後のポルティマオを楽しみにしようと思います」

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カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / F1ドイツGP / スクーデリア・アルファタウリ