F1マシン列伝:ホンダ RA106 “オールホンダとして最後に勝ったマシン”
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1999年、第3期としてシャシー製造を含めたフルワークスによるF1参戦を目指していたホンダだが、テスト中に当時テクニカルディレクターを務めていたハーベイ・ポスルスウェイトがバルセロナでのテスト中に急死したこと、またホンダ社内に根強く残る慎重論などを背景に、結局ホンダはフルワークスによる参戦を断念。
2000年にB・A・Rへのエンジン供給と車体の共同開発という形でF1に復帰した。だが、2007年よりタバコ広告が全グランプリで禁止されることにともない、B・A・Rのメインスポンサーであるブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)が2006年限りで撤退することが決まっていた。そこで、ホンダはBATが保有する残り株式を取得し、38年ぶりに「純ホンダ」のワークスチームとして参戦することを決めた。
ホンダがB・A・Rの全株式を取得たことでシャシー銘柄と形番が改められ、“RA(Racing Automobile)”という名称が復活した。RA106は、ホンダとしてはF1第1期活動最後のRA302(1968年)以来となるRAが掲げられたマシンとなった。
テクニカルディレクターであったジェフ・ウィリスを中心に設計されたホンダ RA106は、基本的にはB・A・Rホンダとして培ってきたものを正常進化版だが、フロントサスペンションにゼロキールを採用するなどトレンドをおさえたマシンだった。だが、他チームと比較すればコンサバティブな1台だった。
だが、その癖のなさが奏功し、第13戦ハンガリーGPでジェンソン・バトンが14位スタートながら波乱のレースを制して、優勝し第3期参戦としての初勝利を果たした。オールホンダとしては39年ぶりの優勝だった。ホンダのF1エンジンとしては72勝目、シャシーコンストラクターのホンダにとっては第1期の67年イタリアGP以来、39年ぶりの通算3勝目であった。
しかし、ホンダは続くRA107の開発に失敗し、RA108もその特性を引き継いで未勝利に終わり、2008年末でF1から撤退。結果的にRA106が第3期ホンダF1で唯一勝利を挙げたマシンとなった。
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カテゴリー: F1 / ホンダF1 / F1マシン