ホンダF1:2020年 第1戦 F1オーストラリアGP プレビュー
プレシーズンテストを終え、アストンマーティン・レッドブル・レーシングと装いを新たにしたスクーデリア・アルファタウリ・ホンダの2チームは、2020年のF1世界選手権シーズン開幕戦の舞台であるアルバートパークに戻ってくる。

高速の市街地サーキットは、2チームの今年の立ち位置を確認するのに最適であり、土曜日に行われる予選が本番でのパフォーマンスを確認する最初の機会になるだろう。

昨年のオーストラリアでは、アストンマーティン・レッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンが3位表彰台を獲得したが、今年はそれ以上の成績を目指す。25年の歴史があり、コース沿いに木が茂るこのサーキットは、レースウイークを通じでスリップしやすいが、どのチームがトップでシーズンの幕開けを飾るか、世界中の関心が集まる見逃せないレースになる。

田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)
「いよいよ2020年のF1グランプリ開幕戦が、今週末にオーストラリアで開催されます。例年のことですが、オフシーズンはアッと言う間に過ぎ去っていったような気がしています。ここまで、スクーデリア・アルファタウリとは3年目、アストンマーティン・レッドブル・レーシングとは2年目となる今シーズンに向けて、SakuraとMilton Keynesのメンバーはその2つのチームと一緒に懸命の準備を進めてきました。昨年までの土台を基にPUの信頼性向上とパフォーマンスアップ、また車体のパッケージのさらなる進化を目指して開発を行っています。先日バルセロナで行われた6日間のテストではPUと車体ともども、信頼性、パフォーマンスに対してポジティブな手ごたえを得ており、まずはここまでのメンバー全員の努力に感謝したいと思います。今年は昨年からテクニカルな部分でのレギュレーションの変更がないため、各チーム間で激しい戦いが繰り広げられるシーズンになると想定しています。昨年はホンダにとって2015年のF1復帰以降初勝利や初表彰台を獲得し、両チームと一緒に確実な前進を見せることができましたが、今年はさらなる進歩を遂げ、2つのチームそれぞれが昨年以上の成績を挙げることを目指して戦います。どんなときでも、皆さんの応援が我々の力になっています。今年もぜひとも熱い応援をよろしくお願いいたします。最後に、一連のコロナウイルスの問題について、ホンダとしても公衆衛生および従業員の健康・安全を最優先とし、人や物の移動、勤務形態などについてさまざまな対応を重ねてきました。多くの検討を重ねた上で、開幕戦の開催を決定した主催者およびFIA、F1などの判断を尊重しており、その意向に従っていく次第です。先行きの見えない状況ではありますが、臨機応変に状況に対応しながら、プロジェクトに取り組んでいきます」

マックス・フェルスタッペン(アストンマーティン・レッドブル・レーシング)
「アルバートパークは、公道コースでオーバーテイクも難しいですが、好きなサーキットです。完璧なサーキットというのはありませんが、アルバートパークは高速で進入する90度コーナーがたくさんあり、とてもチャレンジングなコースです。予選で高速シケインをうまくクリアできると大きな満足感を得られます。カレンダーの中でも最高のレースの一つだと思います。シーズンの初戦で全員がゼロからのスタート。予選で初めて自分自身の立ち位置が分かる瞬間は、とてもエキサイティングです。また、ファンの応援も素晴らしい雰囲気で、天候がいいこともレースウイークを面白いものにしてくれます。昨年の表彰台は、チームとホンダにとって最高のスタートにでしたし、全員に大きな自信をもたらしてくれたと思います。僕にとってもオーストラリアで表彰台に立つのは初めてだったので、特別な瞬間になりました。開幕戦に向けて、とてもいい感触がありますし、僕らはチームで懸命にプッシュしています。ここにいる全員が、マシンをきちんと理解するには多くの周回をこなさなければならないと分かっていますし、それができてバルセロナでのテストに満足しています。走行距離を伸ばせたことで多くのことがスムーズに進んでいて、狙い通りです。ホンダも全力でプッシュしてくれています。常に進歩を求めてしまうものですが、彼らは昨年から多くの前進を見せてくれました。そして、彼らがいい開発をし続けてくれているので、今年もその恩恵を得られることを心強く思っています。僕の契約についてはとても明快ですし、チームを信用しています。ここから前進していけると信じていますし、過去に経験したチャレンジの舞台へ復帰できると思います。チームには優秀な人材がいて、チャレンジに向けて必要なものはすべてそろっていますし、ホンダも献身的に努力してくれています。いよいよ始まるシーズンを力強くスタートしたいです。土曜日のQ2とQ3でどこに立っているかはまだ分かりませんが、冬の間のハードワークの結果が見えると思います」

アレクサンダー・アルボン(アストンマーティン・レッドブル・レーシング)
「昨年のこの時期は初めてのF1レースに緊張していましたし、アルバートパークも初めてでした。今年はよりレースに集中して臨むことができます。僕らはいいプレシーズンテストを過ごせたので、メルボルンで全力を尽くすだけです。メルボルンは本当に楽しくて、シーズンオフの間にやってきたことがどうだったのかが初めて分かります。アルバートパークは簡単なサーキットではなく、シーズンでも最も厳しいコースの一つだと思います。初戦なのでしっかりと準備して臨まなければなりません。コースはかなり汚れていますが、公道コースの中では高速サーキットにあたります。技術的にも難しいですし、バンプも多くあります。また、コース上には公園の木々による影があり、落ち葉もたくさんあります。こうした状況で、ミスが出やすく、その代償も大きいサーキットです。メルボルンで楽しみにしていることはたくさんありますが、一番はアボカドとポーチドエッグです。オーストラリアの食事が好きですし、コーヒーも美味しいんです!」

ピエール・ガスリー(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「例年より2日間少なかったものの、バルセロナでのプレシーズンテストはうまくいき、序盤戦に向けてかなりいい準備ができたと思います。AT01についてかなり理解できています。一度トラブルの対応で時間を失ったことがあったものの、それ以外は大きな走行中断はありませんでした。信頼性はとてもよく、パフォーマンスについてもいい状態にあると思います。今季僕らが設定した目標を達成するには、まだやるべきことは多くありますが、とてもポジティブな気持ちでシーズンのスタートへ向かうことができます。レギュレーションに大きな変更はないので、信頼性が向上するのは当然とも言えますが、対処すべき問題はまだあります。例えば、シーズンを通して3基のパワーユニットしか使えず、違反すればペナルティーを受けるという規定です。これによって各レースでどのくらいPUをプッシュできるかという影響があり、どのマニュファクチャラーにとっても、年間を通じて競争力を発揮するための課題になります。僕らはマシンを進化させましたが、2020年の目標を叶えるためにはまだパフォーマンスを引き出さなければなりません。昨年に比べて空力面での前進がありますが、一年を通してさらに進めなければならないと思います。あくまでテストはテストであり、アルバートパークはバルセロナと大きく異なるサーキットなので、オーストラリアに向けては考えを切り替えなければなりません。公道を利用したコースで、バンプも多くグリップレベルが低いので、ウインターテストとは異なる光景が広がるでしょう。はっきりしているのは、今年も中団の戦いは非常にタイトで、昨年よりも接戦になるだろうということです。多くの人が待ち望んでいた開幕戦ですから、メルボルンは独特の雰囲気になります。一つ言えるのは、ここですべてが明らかになる、ということです。全員が全開で走行するのはこれが今年初めてになりますし、さまざまなタイプのコーナーが配置され、グリップの低いコースは、バルセロナと全く違いますが、僕らがそれに対応できるか次第です。この3か月間ずっとレースに飢えていたので、再びレースをするのが待ちきれないです。長いシーズンが始まります。ウイルスの問題はありますが、できるだけ多くレースができればと思っています」

ダニール・クビアト(スクーデリア・アルファタウリ ホンダ)
「ウインターテストでは多くの周回を重ねることができました。シーズンに向けての準備は整ったと思います。バルセロナではいいスタートが切れて、新しいマシンの特性を学び、新たなセットアップの方向性を多く試すことができました。オーストラリアとバーレーンの序盤2連戦でさらに多くのことが分かるはずなので、楽しみにしています。レギュレーションが継続しているので、中団チームにとってはトップへ挑むチャンスです。ただ、もちろん、中団同士での争いも今年はさらにタイトになるでしょう。とても面白い戦いが待っているはずなので、楽しみです。接戦でいいバトルが起きることを願っています。テストでの僕らの新型マシンの挙動は興味深いものでした。例年より2日少ないテストは大変でしたが、マシンの挙動をなるべく早く理解するためにさまざまなことを試して、大きな成果を得ました。僕らはみんなその変化に満足していますし、マシンのベストを引き出すために全力を尽くしました。昨年からは明らかな進歩がありますが、他と比較してどうなのかを見なければなりません。でも、マシンの感触からはいいポテンシャルを感じますし、それを引き出せるかは僕ら次第です。メルボルンでいよいよシーズンが始まります。毎年オーストラリアに行きますが、いつでも初めて来たときと同じようにエキサイティングな気持ちです。レースの興奮というのはいつでも特別なものなのです。昔ながらのコースは面白く、他とはかなり異なるので、いつもワクワクした気分で臨みます。バルセロナのような比較的スムーズな路面でのテストから、こうしたバンピーな公道コースでシーズンが始まるのは不思議な気分です。バンプは正しいセットアップを見つけづらくしますし、金曜日は路面がかなり汚れているのでさらに難しくなります。ただ、レースウイークが進めばラバーが載ってグリップは改善していきます。公道コースの中では高速になるので、走っていて楽しいですし、コーナーを攻めたり、うまく縁石を使ったりする感覚もいいものです」

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カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / F1オーストラリアGP / スクーデリア・アルファタウリ