ホンダF1:2019年 F1メキシコGP プレビュー
ホンダは、2019年のF1世界選手権 第18戦メキシコGPにレッドブルとホンダとともに挑む。

第18戦メキシコGPが、エルマノス・ロドリゲス・サーキットで開催される。標高2000m以上に位置するメキシコシティーは、一年の中でも負荷の高い場所で、空気の薄さによってエンジンの燃焼が落ちるため、ロングストレートではMGU-Hがカギになる。

コース終盤のスタジアムセクションは他と比べようのない雰囲気で、大勢の観衆が熱狂的な声援を送る。昨年は、トロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーが、パワーユニットとギアボックスの交換により最後尾スタートとなったが、力強いペースで追い上げて10位入賞を果たしている。

田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)
「我々のホーム、日本でのレースを終え、次は南北アメリカ大陸でのシリーズを戦うべく、まずはメキシコに向かいます。メキシコのエルマノス・ロドリゲス・サーキットは海抜約2300mに位置し、シーズンを通して最も標高が高い場所でのレースとなります。ここでは気圧が低く空気密度が低いため、パワーユニットや車体に多くの影響を及ぼすことで知られています。パワーユニットとしては、ターボの仕事量が平地と比較して多くなりますので高地専用のエンジンキャリブレーションが必要となります。また、空気が薄いことはエアロ効率や冷却効率の低下にもつながります。平地とは異なるエアロセッティング、クーリング性能が要求され、その最適化が課題となりますが、車体、パワーユニットともに過去の走行データをもとに準備を行い、週末を通して最適化を進めていきます。ここ数戦を振り返ると、ライバルが非常に力を上げてきていることを感じており、今回も簡単なレースにならないと想定しています。一方で、メキシコGPはホンダ F1にとって1965年に初優勝を遂げた記念すべきグランプリでもありますので、いい結果を得られるよう最善を尽くして臨みます」

ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)
「今週はメキシコに向かいます。昨年、ホンダの工場へ向かうのにヘリコプターを利用しましたが、そのときに上空から見たメキシコシティーの発展ぶりは目を見張る光景で、永遠に広がり続けていくように見えました。ここへ着くと、初日は高地にいることを実感しますが、その後はあまり気になりません。標高は、ドライバーよりもマシンへ大きく影響するようです。僕らは高地に備えてトレーニングを積むことができますが、エンジンや、ブレーキ冷却の対策は簡単にいきませんし、ダウンフォースも少なくなってしまうことがその理由です。マシンには大きくダウンフォースをつけますが、高地で空気抵抗が少ないので、空力作用が低下して通常よりもグリップが下がることを実感します。最大のリアウイングで走るのに普段の想定と全く異なる感覚になるので、奇妙な感じになります。ただ、ストレートでは、ものすごく速度が上がってエキサイティングな気分になります。レース中は、今季最高速を記録するのではないでしょうか。こうした技術的な要素がある一方で、レースウイーク中の雰囲気は最高です。昨年のドライバーズパレードで(メキシコ出身の)セルジオ・ペレスの後ろを走ったときの空気は信じられないものでした。1人のドライバーへあんなに多くの声援が送られるのを見たのは初めてかもしれません。みんなが大声で叫んで応援し、熱狂の渦と化していました。スタジアムエリアもすごく印象的で、詰めかけた観衆が永遠を送る姿は、鳥肌ものです。とにかくサーキットへ多くのファンが集まってくれて、その光景はすばらしいんです。コースについては、低速コーナーが多くありますが、中盤のS字セクションは他よりも高速区間となるので好きな部分です。レース中はかなり慌ただしい展開となり、特に他のマシンとのバトルが起きる1コーナーはたいへんです。メキシコではこれまで(2年連続で)エンジン交換ペナルティーを受けており、あまりツキに恵まれていませんが、それでも昨年は後方から追い上げて10位入賞を果たすことができました!」

ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)
「メキシコGPで一番印象に残っているのは、開催初年度のサーキットと観衆の姿です。2週間前、僕らが日本のファンから受けた声援も特別ですが、メキシコにはまた違った感じがあります。ドライバーズパレードでスタジアムセクションを通るときには、凄まじい音量で、全員が声援を送ってくれて、すばらしい雰囲気になります。コースは低速コーナー中心なので、ステアリングを左右いっぱいに切ることが多くなります。かなりテクニカルなレイアウトで、中速シケインもあり、最終セクターはロングストレートでかなりの最高速に達します。ただ、重要なのはここではエキサイティングなレースができるということです。結局はそれが最も大事で、そういったレースを展開できればいいコースだということですし、僕らドライバーはすべてのコーナーを限界までせめて抜けていくだけです。高地で空気が薄いので、PUや空力には影響があります。スピードが高くなるのに、多くのダウンフォースをつけて走ることになるんです。最初にここでレースをしたときには、標高のことは少し気になり、初めの数日は少し自分自身元気がないように感じましたが、慣れれば大丈夫でした。高地でトレーニングできればいいのですが、長時間のフライトもあるし、シーズン終盤のかなり忙しい時期なので、時間が取れません。ただ、とても楽しいレースウイークになりますし、ここでは過去にいい思い出があり、何年か前には4位フィニッシュという結果を残しています。そして、メキシコは年に一度のチームディナーが開催される場所ですが、みんなでリラックスして過ごせるのはいいことだと思います」

アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)
「日本GPで自己ベストとなるリザルトを記録して、自信を持っていいかたちでメキシコへ向かえます。日本では、このチームに来てから一番いい週末だったように感じていますし、どんどん結束が強まっているので、この勢いでメキシコに臨むのが楽しみです。ここは、ポールポジションや昨年の優勝など、Red Bullにとって相性がいいこともプラス材料です。鈴鹿同様、僕にとっては初めて走るサーキットですが、鈴鹿ほどに難しいサーキットではないように思います。また、インフィールドセクションのファンの雰囲気は特別だとも聞いているので、そこを走るのが楽しみです。メキシコとアメリカは、今シーズン最後の連戦になるので、レースが待ちきれない気分です!」

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
「過去2年間優勝している特別な場所なので、またメキシコへ行くのを楽しみにしています。メキシコGPはすばらしい大会で、情熱的なF1ファンがたくさん集まってくれます。人々はとても気さくで、陽気な国民性も好きですし、料理も美味しいんです。レースでは大観衆が集まりますし、(メキシコ音楽を奏でる)マリアッチ楽団や、ポディウムに現れるDJなど、主催者が作り出す雰囲気はとてもいいものです。コースは高地ならではの低グリップですが、そこをドライブするのは本当に楽しいです。コーナーはすごくテクニカルなので、全力で攻めるために懸命に取り組まなければなりませんが、例年僕らにとってはいいサーキットです。フェラーリのペースを考えると、今年は少し苦戦するかもしれませんが、いいレースはできるはずです」

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カテゴリー: F1 / ホンダF1 / F1メキシコGP