ホンダF1 「ピエール・ガスリーのMGU-Hを再利用できるかは調査次第」
ホンダF1は、開幕戦オーストラリアGPでピエール・ガスリーのマシンに発生したMGU-Hの問題をHRDさくらで調査し、コンポーネントの修復を試みるとしている。
トロロッソ・ホンダの緒戦となったF1オーストラリアGP。20番グリッドからスタートしたピエール・ガスリーは、16番手を走行していた14周目にターン12の立ち上がりでマシン後方から白煙をあげて突如スロー走行となり、ピットへ戻ってリタイアとなった。
レース後、ホンダF1はピエール・ガスリーのリタイアはMGU-H関連のトラブルであることを明らかにしている。
ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治は「テレメトリー上でMGU-Hに関連した異常値がいくつか見受けられました。そのため、我々はクルマをストップさせました」と RACER にコメント。
「これからデータの詳細とパーツそのものを調査し、次戦にむけて何ができるかを考えていきます」
「パーツ自体が酷く損傷しているかどうかはまだわかりません。再び使用できるかどうか調査していく必要があります」
ホンダは、マクラーレンとのパートナーシップの3年間で数多くのMGU-Hの故障が発生していたが、プレシーズンではトラブルは発生せず、楽観的なムードで開幕戦を迎えていた。
田辺豊治は、ピエール・ガスリーのリタイアまでMGU-Hには何も問題は発生していなかったと語る。
「プレシーズンテスト中はそのエリアはノートラブルでしたし、今回が初めてです」と田辺豊治はコメント。
「オフシーズン中に今シーズンにむけて3基のパワーユニットのためのマイレージを評価していました。3基を使用するということは5000kmということなので、完璧なマイレージではありません」
「我々が蓄積したマイレージでここまで問題は発生していませんでしたし、初レースでトラブルが発生したり、テレメトリーに異常値が見つかることは思っていませんでした」
一方、チームメイトのブレンドン・ハートレーは、オープニングラップのターン1で激しくタイヤをロックさせてタイヤにフラットスポットを作ったことでピットインを強いられ、さらにパンクに見舞われたことで最下位レースをフィニッシュしている。
田辺豊治は、レース展開によって、ライバルに対するホンダのパワーユニットの評価は制限されたが、全体的なパフォーマンスレベルには満足していると語る。
「ブレンドンのケースは少し難しい状況でしたが、今回のレースで見ることができた全体的なパフォーマンスレベルには満足しています」
MGU-Hとは
MGU-Hは、エンジンから出る排気の熱をエネルギーに変換する。通常、エンジンの燃焼室を出た高温の排気は、排気管を通じて大気に放出される。この熱エネルギーを再利用するために、専用のモーター/ジェネレーターユニットを作動させて電気を作っているのが熱エネルギー回生システム。このユニットは、MGU-Hと呼ばれている。MGU-Hの「H」は、Heatの略で「熱」(排熱エネルギー)を意味している。
ターボ車の場合、減速を終えて次に加速しようとアクセルを踏んでも、排ガスの流量が増えてタービンが本来の性能を発揮するのに一定の時間を要してしまう(ターボラグ)。そこで、MGU-Hを利用してコンプレッサーを回転させ、タービンが排気の到達を待たずに機能させることで、ターボラグの解消を行っている。
全開加速時は、タービンに供給される排気エネルギーが増えるため、エンジンが必要な空気を圧縮するためのコンプレッサーの仕事を上回る場合がある。その際、使いきれなかった排気エネルギーによってMGU-Hで発電し、その電力を、直接MGU-Kに送る。MGU-Hでの発電量は制限されておらず、バッテリーの充放電エネルギー制限に縛られることなく、エンジンにMGU-Kの出力を上乗せして走ることができる。言い換えれば、余った排気エネルギーを、効率良く加速に使うことができる。コーナー出口の全開加速では、MGU-Hからだけでなく、バッテリーからもMGU-Kに電力を供給する場合がある。こうすることで、MGU-Kをレギュレーションで決められた最大出力(120kW)で駆動し、フル加速することができる。
2018年はドライバーが年間に使用できるF1エンジン、ターボチャージャー、MGU-Hは3基までとなり、MGU-K、コントロールエレクトロニクス、エネルギーストアは年間2基に削減される。
カテゴリー: F1 / ホンダF1
トロロッソ・ホンダの緒戦となったF1オーストラリアGP。20番グリッドからスタートしたピエール・ガスリーは、16番手を走行していた14周目にターン12の立ち上がりでマシン後方から白煙をあげて突如スロー走行となり、ピットへ戻ってリタイアとなった。
レース後、ホンダF1はピエール・ガスリーのリタイアはMGU-H関連のトラブルであることを明らかにしている。
ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治は「テレメトリー上でMGU-Hに関連した異常値がいくつか見受けられました。そのため、我々はクルマをストップさせました」と RACER にコメント。
「これからデータの詳細とパーツそのものを調査し、次戦にむけて何ができるかを考えていきます」
「パーツ自体が酷く損傷しているかどうかはまだわかりません。再び使用できるかどうか調査していく必要があります」
ホンダは、マクラーレンとのパートナーシップの3年間で数多くのMGU-Hの故障が発生していたが、プレシーズンではトラブルは発生せず、楽観的なムードで開幕戦を迎えていた。
田辺豊治は、ピエール・ガスリーのリタイアまでMGU-Hには何も問題は発生していなかったと語る。
「プレシーズンテスト中はそのエリアはノートラブルでしたし、今回が初めてです」と田辺豊治はコメント。
「オフシーズン中に今シーズンにむけて3基のパワーユニットのためのマイレージを評価していました。3基を使用するということは5000kmということなので、完璧なマイレージではありません」
「我々が蓄積したマイレージでここまで問題は発生していませんでしたし、初レースでトラブルが発生したり、テレメトリーに異常値が見つかることは思っていませんでした」
一方、チームメイトのブレンドン・ハートレーは、オープニングラップのターン1で激しくタイヤをロックさせてタイヤにフラットスポットを作ったことでピットインを強いられ、さらにパンクに見舞われたことで最下位レースをフィニッシュしている。
田辺豊治は、レース展開によって、ライバルに対するホンダのパワーユニットの評価は制限されたが、全体的なパフォーマンスレベルには満足していると語る。
「ブレンドンのケースは少し難しい状況でしたが、今回のレースで見ることができた全体的なパフォーマンスレベルには満足しています」
MGU-Hとは
MGU-Hは、エンジンから出る排気の熱をエネルギーに変換する。通常、エンジンの燃焼室を出た高温の排気は、排気管を通じて大気に放出される。この熱エネルギーを再利用するために、専用のモーター/ジェネレーターユニットを作動させて電気を作っているのが熱エネルギー回生システム。このユニットは、MGU-Hと呼ばれている。MGU-Hの「H」は、Heatの略で「熱」(排熱エネルギー)を意味している。
ターボ車の場合、減速を終えて次に加速しようとアクセルを踏んでも、排ガスの流量が増えてタービンが本来の性能を発揮するのに一定の時間を要してしまう(ターボラグ)。そこで、MGU-Hを利用してコンプレッサーを回転させ、タービンが排気の到達を待たずに機能させることで、ターボラグの解消を行っている。
全開加速時は、タービンに供給される排気エネルギーが増えるため、エンジンが必要な空気を圧縮するためのコンプレッサーの仕事を上回る場合がある。その際、使いきれなかった排気エネルギーによってMGU-Hで発電し、その電力を、直接MGU-Kに送る。MGU-Hでの発電量は制限されておらず、バッテリーの充放電エネルギー制限に縛られることなく、エンジンにMGU-Kの出力を上乗せして走ることができる。言い換えれば、余った排気エネルギーを、効率良く加速に使うことができる。コーナー出口の全開加速では、MGU-Hからだけでなく、バッテリーからもMGU-Kに電力を供給する場合がある。こうすることで、MGU-Kをレギュレーションで決められた最大出力(120kW)で駆動し、フル加速することができる。
2018年はドライバーが年間に使用できるF1エンジン、ターボチャージャー、MGU-Hは3基までとなり、MGU-K、コントロールエレクトロニクス、エネルギーストアは年間2基に削減される。
カテゴリー: F1 / ホンダF1