ルイス・ハミルトン 苦戦のフェラーリF1移籍 ベッテルとオコンが語る適応の壁
2025年、ルイス・ハミルトンは12年間在籍したメルセデスを離れ、スクーデリア・フェラーリの一員として新たな挑戦をスタートさせた。しかし、開幕から6戦を終えた段階で、その道のりは決して平坦ではないことが明らかになっている。F1界の中でも象徴的な存在であるハミルトンは、フェラーリF1という特異な環境への適応に苦しんでいる。

そんなハミルトンの現状について、かつてスクーデリア・フェラーリで戦ったセバスチャン・ベッテルと、現在フェラーリ製パワーユニットを搭載するハースF1のドライバー、エステバン・オコンがそれぞれの立場から理解と見解を示している。

「フェラーリF1には独自の文化がある」 ベッテルが語る適応の難しさ
2015年から2020年までスクーデリア・フェラーリに在籍したセバスチャン・ベッテルは、ハミルトンが直面する困難について深い理解を示している。

「今のチームにはもう知っている顔はあまりいないけど、それでもフェラーリF1が持つ文化の特異性は分かっている」とオーストリア紙『Kronen Zeitung』に語ったベッテルは、「フェラーリにはフェラーリのルールがある。それは外部からは見えにくいが、内部にいる人間には日々感じられるものだ」と語る。

ベッテルにとっても、スクーデリア・フェラーリというチームは一筋縄ではいかない場所だった。だからこそ、ハミルトンの挑戦がいかに過酷かを理解できるのだ。

「ルイスにとっても非常に大きな変化だと思う。だけど彼ならきっと乗り越えられる。彼の能力に疑いはないし、周囲も彼の成功のために全力を尽くしているはずだ」

オコン「僕も分かる」 技術的な違いとフィロソフィーの壁
また、現在ハースF1に所属するエステバン・オコンも、ルイス・ハミルトンの苦戦に対して強い共感を示している。フェラーリF1のパワーユニットを使用する立場として、彼もまたマシンの性格に苦労しているという。

「車のフィロソフィーが変わると、本当に大変なんだ。僕もメルセデスのマシンを運転したことがあるから分かるけど、フェラーリのクルマとはまったく別の操縦感覚なんだ」と語るオコンは、「ブレーキの感触や車体のバランスも違う。慣れるには時間が必要だし、それはルイスにとっても同じだと思う」と説明した。

さらに、ハミルトンが長年メルセデスF1で築いてきたスタイルが逆に適応の足かせになる可能性もあると指摘する。

「経験が多いからこそ、それまでの習慣が染み付いている。そういう意味では、僕やカルロス(サインツ)もまだ完全に慣れてはいない。だけど時間をかければ必ず順応できると思う」

ルイス・ハミルトン スクーデリア・フェラーリ F1

ハミルトンはフェラーリF1で再び輝けるか
2025年開幕からの6戦で、ハミルトンはグランプリ本戦での最高成績が5位(バーレーンGP)。スプリントレースでは中国で優勝、マイアミでも3位を獲得するなど一部で光を見せてはいるが、スクーデリア・フェラーリでの本格的な成功はこれからの課題だ。

だが、ベッテルとオコンの言葉には共通点がある。それは「ハミルトンなら必ず乗り越えられる」という信頼だ。フェラーリF1という歴史と伝統、そして独自文化の中で結果を出すことは容易ではない。だが、だからこそその挑戦には価値がある。

40歳にしてなおF1の最前線に立つルイス・ハミルトンの“第二のキャリア”は、まだ始まったばかりだ。

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カテゴリー: F1 / ルイス・ハミルトン / スクーデリア・フェラーリ