ティモ・グロック (トヨタF1チーム)
ティモ・グロックが、3位表彰台を獲得したF1第2戦マレーシアGPを振り返った。

3番手からレースをスタートして、フィニッシュも3位でしたが、レース内容はそれほど単純ではありませんでしたよね?
まったく違ったね。今回は、特にレース戦略の点から見て、本当に判断が難しいレースだったし、それに雨が土砂降りになってからのあの状況ではドライブを続けるのは不可能だった。私にとってはとにかくアクションがいっぱいの、とても楽しいレースだったよ。スタート直後の1コーナーでは幾つか順位を落としたものの、インターミディエイトタイヤを履いてからはコース上で私が最速だったから、たくさんのクルマを追い越して行って、最後にはトップ争いをしていたんだ。あれは本当に信じられなかった。

スタートはどういった状況だったのでしょう?
ホイールスピンが激しくて、出足がかなり遅かったんだ。すぐに1コーナーの進入に備えたけど、左側を見たら突然フェルナンド(アロンソ)とキミ(ライコネン)が現れた。信じられなかったよ! だから私は1コーナーの外側に行くことになり、フロントウイングを損傷しないようにコーナーを回るには本当に注意が必要だった。この結果、1周目の終わりには8位になってしまい、本当にフラストレーションを感じたよ。これで表彰台に上がるチャンスは台無しだと思った。私はフェルナンドの後ろでつかえているクルマの集団にくっついてしまい、目の前にはマーク(ウェバー)が走っていた。私の方がかなり速かったけれど、十分に前車に近づくことができず追い越せなかった。一度追い越しを仕掛けたものの、その時はフロントウイングを痛めてしまった。エンドプレートの一部を失ってしまったけど、でもパフォーマンスに関してはほとんど影響なかった。

雨が降り始めた時は何を考えていましたか?
5、6周走ったら、黒い雲がコースに近づいてくるのが見えてきたので、担当のエンジニアに雨はいつ降るのかを聞いたんだ。確かに雨は降り始めてきたけど、でもたぶん他の人たちが予想していた程激しくはなかった。チームがタイヤの選択を私に委ねたので、そこで私は思い切ってインターミディエイトタイヤを履くリスクに賭けてみることにした。あの段階ではそれほど雨は激しくなかったからね。ウェットタイヤを履いているクルマが多かったから、確かにリスクはあったけど、でもその価値はあると私は考えたんだ。

あの段階でのインターミディエイトタイヤの調子はいかがでしたか?
間違いなく正しい判断だった。なぜならかなり長いラップにわたって私のクルマが最速だったんだからね。最初のピットストップの後、私はトップ10圏外にいたんだけれど、あの状況では間違いなくインターミディエイトが最善のタイヤだったし、ウェットタイヤを履いているクルマより自分の方がかなり速かった。私のタイヤも性能が落ちつつあったけれど、チームからは(無線を通じて)私がコース上で最速だと言われ続けていたから、とにかくプッシュし続けてどんどん他車を追い抜いていったんだ。わずか数ラップのうちに、私はトップ10圏外から2位に浮上していた。あれは凄かったし、とにかくエキサイティングだったけれど、でも遂にタイヤの性能が本当に落ち込んでしまい、それでウェットタイヤに交換するためピットインしなければならなくなったんだ。

激しい雨の中を走るのはどんな感じでしたか?
正直に言えば、ドライビングというより水泳みたいな感じだったね! セーフティーカーの後ろを走っている時でさえ、クルマはとにかく滑りまくっていたから、もう運転なんてほとんど不可能だった。とにかくすごい水量だったよ。みんながピットインしたりスピンしたりして、混乱した状況だった。ある段階では自分がレースのトップに立っていると思ったけど、でもその後にジェンソン・バトンがピットアウトして来て、私のすぐ前に入った。その後、赤旗が振られた時は2位だったけれど、でも表彰台に上がってみたら実は3位だったんだ!。

3位で満足していますか?
F1で2回目の表彰台獲得となった今回の3位には十分満足している。これは素晴らしい結果だし、私はチームに感謝しなければならない。これは、サーキットとファクトリーのそれぞれで働く全員が、冬の間、本当に一生懸命がんばった結果だからね。我々は、ここまでの2戦でいずれも表彰台を獲得したし、我々はその地位に相応しいと思う。我々のクルマは本当に速いし、みんながいい仕事をしている。ここまでで自分たちに何が可能なのかを示すことができたから、ここからはまた一生懸命に仕事を続けなければならない。そうすれば今シーズンはずっとトップチームの一角でいられるだろう。

次のレースへの展望は如何ですか?
我々は今コンストラクターズ選手権の2位につけているし、ここまでのレースでは2度とも2台そろってトップ4入りしている。となれば、中国でも目標は表彰台に上がることになるね。去年の中国GPで私はポイントを獲得したが、今の我々のクルマは去年と比べて遥かに競争力が上がっている。もっと安定感が増したから、ドライバーとしてももっと攻めることができるし、ライバルと比較しても明らかに速くなっている。次のレースが本当に楽しみだよ。

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カテゴリー: F1 / ティモ・グロック / トヨタ