ガブリエル・ボルトレト F1スプリントで57Gの衝撃クラッシュ「運が良かった」

母国ファンが見守る中、ボルトレトはアレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)とアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)とバトルを繰り広げながらターン1へ進入。
しかし、インテルラゴスの路面の一部がまだ湿っていたことが災いし、ブレーキングでマシンのリアがスナップした。
ボルトレトのマシンは内側のウォールに激突した後、コースを横切るように外側へと弾き飛ばされ、外壁に大きな衝突を起こした瞬間にはマシンが宙を舞った。最終的に破損したマシンはターン1とターン2の間のランオフエリアで停止。ボルトレトは自力でコクピットを脱出し、メディカルセンターで検査を受けたが大事には至らなかった。
「運が良かったよ」とボルトレトはレース後、RacingNews365を含むメディアに語った。
「車から降りて歩けたことに感謝している。少し体のあちこちに痛みは感じるけど、他のレースの週末と同じような程度でね。肩のあたりに少し違和感があるくらいで、すべて正常だと思う。本当に運が良かったと思う。もっとひどいことになってもおかしくなかった」
「でも、こうして1つのピースで(無傷で)ここにいて、みんなと話して、ほぼ予選にも出られる状態だった。しっかり準備もして、できることは全部やったよ」
ザウバーF1、奇跡の修復作業もあと一歩届かず
ボルトレトのマシンは大破したものの、ザウバーF1はわずか3時間で修復作業に挑み、予選開始直前までにほぼ走行可能な状態にまで復旧させた。ボルトレト自身もコクピットに乗り込み、出走の準備を整えていたという。
「チームは本当に信じられない仕事をした。予選に間に合わせるまであと20〜30分というところまで来ていたんだ」とボルトレトは明かす。
「彼らが僕にシートベルトを締めようとしていたところだった。でも完璧な状態で走らせるには、もう少し時間が必要だったと思う。すべてを組み直したばかりだったから、エンジンがちゃんと動くか、車体が正常に機能しているかを確認するための時間が欲しかった。もしコースに出ていたとしても、それは本格的なアタックというよりは動作確認のためだったと思う」
地元ファンの声援とともに見せた“無傷の帰還”
インテルラゴスの観客席からは、クラッシュ直後に息をのむような静寂が広がったが、ボルトレトが自力でマシンから降りると大きな歓声が沸き起こった。F1デビューイヤーを戦う21歳のルーキーにとって、この週末は忘れられない瞬間となった。
ブラジル人ドライバーとして、母国GPでのクラッシュは痛ましい出来事だったが、命に別状がなかったことは何よりの救いだった。ザウバーF1の迅速な修復作業も含め、チームとファンの絆が際立つエピソードとなった。

クラッシュの衝撃が示す安全性の進化
今回の57Gという数値は、近年のF1でも極めて大きな衝撃のひとつでありながら、ドライバーが無傷で降車できたことは、F1の安全技術がいかに進化しているかを示している。シャシーの剛性、ヘイロー、HANS(頭頸部保護装置)などが相互に機能し、命を守った。
一方で、ボルトレトが感じた「運の良さ」は偶然ではなく、FIAの安全基準とチームの迅速な対応が生んだ結果とも言える。
今後への影響と精神的な強さ
ボルトレトは事故後もすぐにチームガレージへ戻り、エンジニアらと次戦への準備を開始。精神的なダメージを感じさせず、「次はもっと強く戻ってくる」と語った。母国での恐怖体験を経て、彼は今後さらに冷静さと覚悟を備えたドライバーとして成長していくだろう。
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