ガブリエル・ボルトレト 母国F1サンパウロGPは「キャリアで最も厳しい週末」

ボルトレトはスプリントでアレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)のスリップストリームから抜け出そうとした際、ターン1の内側ウォールに衝突。マシンはコースを横切ってバリアに激突するという大クラッシュを喫した。
57Gという衝撃ながら、幸いにも無傷で済んだが、チームは大きく損傷したマシンの修復を予選までに完了できず、決勝は最後尾スタートを強いられた。
スタートで好反応を見せたボルトレトは数ポジションを上げていたものの、ランス・ストロール(アストンマーティン)との接触により再びバリアへ。母国レースはわずか1周で幕を閉じた。
「本当に悔しい。初めての母国レースだからいい走りをしたかったし、せめて少しはレースをしたかった。キャリアの中でも最も厳しい週末のひとつだったと思う。ファンも家族もチームもみんな応援してくれていたから、自分にとっても彼らにとっても特別な週末だった。キャリアの中で最大級のクラッシュでもあった」
「スタートは良くて、すでに2つポジションを上げていた。3台目を抜こうとしていたときにランスと接触してしまった。誰かを責めるつもりはない。1周目は何でも起きうるし、レースインシデントだったと思う。僕は外側にいてスペースがなかったけど、彼にとっても僕の位置を判断するのは難しかったはず。とにかく次のレースに向かいたい」

無線では「まるで僕がいないかのようにコーナーへ入ってきた」とストロールを非難する声も聞かれたが、ボルトレトは冷静さを取り戻し、母国のファンに感謝を述べた。
「ファンのみんな、本当にありがとう。週末を通してどんなに苦しい時でも、応援してくれて、名前を叫んでくれて、本当に支えになった。僕の国がこれほど誇らしげに僕を応援してくれるのは信じられない光景だった。今回のような週末は誰もハッピーではないけど、いつか誇りに思ってもらえる結果を出したい。ブラジル中、そして世界中で応援してくれたすべての人に感謝している」
母国での悲劇が示した“ルーキーの現実”
ボルトレトにとって、F1での初シーズンはまだ経験の積み重ねの段階にある。インテルラゴスではその成長が止まったように見えたが、決して後退ではない。スプリントでの57Gクラッシュを経て身体的にも精神的にも立ち直り、決勝では攻めの姿勢を見せた。だが、開幕から続くザウバーの戦闘力不足と不運が、またしても若きブラジル人を襲った。
母国ファンの期待を一身に背負いながらも、彼は冷静に現実を受け入れ、次戦への前向きな姿勢を崩さなかった。このメンタリティこそ、将来の成功に必要な資質だ。F2王者としての才能と精神力を持つボルトレトが、再び笑顔でインタビューに応じる日はそう遠くないだろう。
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