ルイス・ハミルトンの父アンソニーがFIA入閣 若手支援と政局の思惑交錯
7度のF1ワールドチャンピオン、ルイス・ハミルトンの父であるアンソニー・ハミルトンが、FIA(国際自動車連盟)の若手ドライバー育成部門を監督する新たな役職に就く見通しだ。

英『The Times』によれば、アンソニー・ハミルトンは過去18か月にわたってモハメド・ビン・スライエムFIA会長とともに活動しており、FIAの「ヤングドライバー・ディベロップメント・パスウェイ(Young Driver Development Pathway)」の一環として行ってきた仕事が高く評価されているという。

このプログラムは来月にも正式に始動すると見られ、それに先立ってハミルトンはF1統括機関であるFIA内で公式な地位を得ることとなる。

アンソニー・ハミルトンは、若手ドライバーの保護や草の根レベルのモータースポーツの育成に強い意欲を持っているとされる。これは息子ルイスのジュニア時代を通じて得た豊富な経験に基づいている。

2025年開幕戦オーストラリアGPのフォーメーションラップでクラッシュし、F1デビュー戦を終えることとなったレーシングブルズのアイザック・ハジャーに対して、落胆する彼を慰める姿を見せたことは、広く称賛を集めた。

一方、モハメド・ビン・スライエムのFIA会長としての任期は、幹部の相次ぐ辞任などにより波乱続きとなっており、副会長を務めていたロバート・リードも、ビン・スライエムのリーダーシップを強く批判して辞任した。

FIAの次期選挙は今年後半に予定されており、ビン・スライエムは再選を目指して立候補する見込みだが、元WRC王者でカルロス・サインツJr.の父であるカルロス・サインツSr.が対抗馬として出馬を検討しているとされる。

『The Times』は、アンソニー・ハミルトンのFIAでの新ポジションが、ビン・スライエム会長にとって「ドライバー側からの支持がある」との印象を与える狙いがある可能性もあると指摘する。というのも、息子ルイス・ハミルトンは会長との関係が冷え込んでいるとされているからだ。

2024年には、ビン・スライエムが無線で暴言を吐いたドライバーたちをラッパーになぞらえた発言について、ルイスが「人種的要素を含んでいた」と批判した過去もある。

なお、アンソニー・ハミルトンは現在、ルイス・ハミルトンのマネジメントには関与しておらず、この新たな役職が利益相反にあたることはないと見られている。

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カテゴリー: F1 / FIA(国際自動車連盟) / ルイス・ハミルトン