F1 ピットレーン速度制限の緩和を一部グランプリで検討…戦略多様化を促進
FIA(国際自動車連盟)は、2025年シーズン中の一部F1グランプリにおいて、ピットレーンの速度制限を引き上げる方向で検討を進めていることが明らかになった。これは、1ストップ戦略が定着しつつある現状を打開し、レース戦略の多様性を高めるための一環とされている。

F1開幕戦以降、戦略面でのバリエーション不足が懸念されており、F1のCEOステファノ・ドメニカリは、ピレリのモータースポーツディレクターであるマリオ・イゾラとサウジアラビアGPの場で改善策について協議した。

現在、より柔らかく劣化しやすいタイヤの投入や、タイヤコンパウンド間の性能差を拡大するなどの取り組みが進められているが、さらに注目を集めているのが、ピットストップ自体の時間を短縮するというアプローチだ。

具体的には、ピットレーン速度制限を従来の80km/hから100km/hに引き上げた場合、約5秒の短縮が見込まれる。しかし、2014年から続くこの制限の安全性を考慮すると、全体的な引き上げには懸念も多く、実現は難しいとされていた。

そこでFIAは、安全性に影響を及ぼさない範囲で、通常60km/hに制限されている狭いピットレーンを持つサーキットに限り、80km/hに引き上げる方針を検討中だ。具体的な候補地としては、オーストラリア、モナコ、ザントフォールト、シンガポールが挙げられている。

例えば、シンガポールGPのピットストップ時間は現在約29秒だが、速度制限が80km/hに引き上げられれば、22~23秒程度に短縮される見込みだ。これは、2ストップ戦略をより魅力的にする可能性を持つ。

国際自動車連盟 F1

この措置は、F1スポーティングレギュレーション第34.7条に基づき、レースディレクターの裁量で速度制限を調整できるため、規則改定を必要としないのも利点だ。

FIAは今後、各サーキットにおける安全性評価を行い、対象となるレースをチームに事前通知する予定としている。

フェラーリのシャルル・ルクレールはこの件について、「全レースで導入すべきとは思わないが、サーキットによっては理にかなっているかもしれない」と語り、柔軟な導入には前向きな姿勢を示した。

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カテゴリー: F1 / FIA(国際自動車連盟)