フェラーリ F1イタリアGPで特別カラーリング 1975年ラウダ戴冠50周年を祝福

1975年9月7日、アウトドローモ・ナツィオナーレ・ディ・モンツァは赤に染まった。
クレイ・レガツォーニが優勝し、ラウダが3位でフィニッシュしたことで、フェラーリは11年ぶりにドライバーズとコンストラクターズの二冠を獲得。
長い低迷を経て王座に返り咲いたこの日が、1970年代後半の黄金時代の幕開けとなった。広告看板をよじ登ってでも観戦しようとする観客の姿は、モンツァのティフォシの情熱を象徴する光景として今も語り継がれている。
今回のイタリアGPでは、その歴史がSF-25に重ね合わされる。HPと共同開発した新技術のラッピングにより、シャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンのマシンには1975年の312 Tを想起させるデザインが施される。赤の色調は50年前のものを忠実に再現。白い縦ストライプや筆記体のドライバー名、白地に黒文字のゼッケンが往年の姿を呼び戻す。さらに、アルミを思わせるメタリックシルバーのリアウイング、ホワイトに塗られたエンジンカバー、当時のリムをモチーフにしたホイールが、観る者を過去へと誘う。
日曜にはチーム全員が1975年をモチーフにした特別ユニフォームを着用する。盾のエンブレムはマシンにのみ残され、ユニフォームには長方形のフェラーリロゴが復活。ルクレールとハミルトンは、当時風のスーツやシューズ、そして専用デザインのヘルメットを身にまとい、ファンを半世紀前の記憶へと導く。これらはプレミアムパートナーのプーマによって製作され、レプリカ商品として一般販売も予定されている。

ティフォシの存在は、常にフェラーリに特別な力を与えてきた。2019年、ルクレールはフェラーリ初年度にモンツァを制し、2024年にはモナコとモンツァのダブル勝利を飾ってファンの心を完全に掴んだ。今年も彼が勝利を狙う一方、もう一人の主役はハミルトンだ。これまで5度のモンツァ制覇を誇る彼にとって、フェラーリの赤を纏って迎える初めての母国GPは、ラウダと歩んだキャリアを想起させる感慨深い舞台となる。すでに温かい歓迎を受けているが、日曜に彼が表彰台へと上がれば、その光景は永遠に記憶されるだろう。
さらにティフォシを喜ばせるサプライズとして、ジャン・アレジが登場する。1991年から1995年にかけてフェラーリで走り、唯一の勝利を1995年カナダGPで挙げた彼は、今なおファンから熱い支持を受け続けている。今回モンツァでは、フェラーリF1クライアンティ部門が管理する1995年型412 T2をドライブ。このマシンはマラネロ製V12エンジンを最後に搭載したシングルシーターであり、サーキットに響く咆哮は観客を熱狂させるに違いない。
週末には、ファンがドライバーと触れ合える機会も用意されている。水曜午後にはミラノの旗艦店で特別展示「Replica pop-in」が開催され、パラッツォ・レアーレでは「Drive to Monza by Peroni Nastro Azzurro 0.0%」イベントが開かれる。また、マラネロのフェラーリ博物館ではラウダが駆ったオリジナルの312 Tと、モンツァ仕様の特別カラーリング車が並んで展示される。刷新された展示空間に加え、週末には予選と決勝の生中継が行われ、ファンは過去と現在を同時に体験できる。
フェラーリにとって、モンツァは単なるグランプリではない。1975年の戴冠から50年を経て、ラウダの遺産はルクレールとハミルトン、そしてティフォシとともに蘇る。歴史と未来が交錯するこの瞬間、跳ね馬の鼓動は再びイタリアの地で最高潮に達するだろう。




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