F1 V8エンジン復活案が加速 FIAとメーカーが重要会議開催
F1は、イタリアGP後にFIAがエンジンメーカーを招集してサミットを開き、V8エンジン復活の計画について協議するなど、V8への回帰に向けた動きを加速させている。

2026年に導入予定の次世代ターボハイブリッドパワーユニットはまだ実走段階に入っていないものの、完全持続可能燃料の導入が長期的に新たな可能性を開くという認識が広まりつつある。新規則のエンジンは技術が複雑でコストが高いとの懸念から、将来的に切り替えるべきだとの機運が高まっている。

今年初めにはV10復活案も検討されたが現行メーカーからの支持は得られなかった。しかし最近ではターボハイブリッドに代わる新しいパワーユニット計画の議論が進んでいる。その最有力案は2.4リッターV8内燃機関を完全持続可能燃料で走らせるもので、簡略化されたハイブリッドKERSを組み合わせる形だ。これにより電気的寄与は2026年の約50%から10%程度へと縮小される。

こうした簡素化と重量級バッテリーパックの撤廃により、コストを最大65%削減しつつ重量も低減できると期待されている。試算では新世代エンジンより最大80kg軽量化できるという。

FIA会長モハメド・ビン・スライエムは、ターボハイブリッドは役割を終えたと公言しており、7月のイギリスGPでThe Raceに「チームやPUメーカーも、今のエンジンを続けることはできないと理解している。MGU-Hを含む複雑なエンジンだ。役目は果たしたが期待に応えたか? 3年後には旧型となり、導入から15年になる」と語っている。

F1 V型8気筒 エンジン FIA(国際自動車連盟)

導入時期を巡る論点
長期的な選択肢としてV8復活は支持を集めているが、導入時期については意見が割れている。現行の計画では2026年から2030年末までターボハイブリッドが使用されることになっている。しかしビン・スライエムは変更を早めたい考えで、2031年まで待つつもりはない。

議論の焦点は、いつ変更するかだ。2029年導入案もあるが、多くのメーカーは早すぎると考え、2030年を望んでいる。さらにV8化には新しいシャシーレギュレーションが不可欠で、2026年の切り替え直後に再び全面刷新を迫られることへの抵抗も強い。

このためFIAは9月11日にメーカーとチーム代表を集めて会議を行い、現状の意見を集約し次のステップを検討する予定だ。

将来的に持続可能燃料を用いたV8を導入する構想は、F1 CEOステファノ・ドメニカリからも支持されている。夏休み前にThe Raceへ「持続可能燃料とV8の組み合わせは素晴らしい。そこにハイブリッド化を加えるのが未来の次のステップだと思う」と語った。

ただし同時に「来年の新世代レギュレーションとPUに焦点を当てるべきで、そこから気を逸らしてはならない。その開発に集中し、その後にV8+サステナブル燃料+ハイブリッドが未来だと考える」と強調した。

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カテゴリー: F1 / F1マシン / FIA(国際自動車連盟)