2026年F1ミュールカーで可動式フロントウイング試作機が初披露
アブダビで行われているポストシーズンテストで、来季導入される可動式フロントウイングシステムを模擬した試作機が姿を現した。

2026年F1マシンは前後ウイングにアクティブエアロを搭載し、ストレートでドラッグを低減する仕様となる。火曜日のテストで使用されている“ミュールカー”は、モンツァのイタリアGPで使用されたウイングレベルのみを用いる形で、その効果を近似している。

2026年仕様テストと「異例の速度制限」
DRSは2011年以降、通常は長いストレート上の2〜3カ所のゾーンでのみ使用され、レース中は前車との差が1秒以内という条件が課されてきた。

しかし2026年仕様では、FIAが「トラクション制限がない」と指定した区間に入ると、前後ウイングが開く仕組みに変わる。

火曜日のアブダビテストでは、メルセデスがキミ・アントネッリのミュールカーに、フロントウイング上段エレメントの作動機構を装着した試作デザインを投入。大型のチューブでノーズ内部のシステムと接続された、やや粗削りな構造が見られた。

チームにはこの種のシステムを開発し、今回のテストで使用することが許可されており、ドラッグレベルやタイヤ負荷の影響を把握する初期評価を行う狙いがある。通常仕様のミュールカーとの比較データも得られる。

こうしたフロントウイングアクティブエアロを備えたミュールカーはこれが初の“可視化された”例で、ピレリによるミュールカーでの2026年テストの大半は、フロントウイングにアクティブエアロを搭載しない状態で実施されてきた。

ただし、フェラーリも同様のシステムを開発しており、非公開でのピレリテストで使用され、アブダビでも再び投入される見通しだという。すでに運用経験があるため、メルセデスより「侵襲性が低い」成熟したデザインとされている。

フォーミュラ1カー

“300km/h制限”を受けない試作ウイング仕様
今回のテストで可動式フロントウイングを搭載するミュールカーは、直線速度300km/h(186mph)の上限を守る必要がない。

この速度制限は、ミュールカー計画においてピレリが採用してきた方式で、ほとんどのストレートでDRSを作動させつつ、車両フロントのオーバーロードを防ぐための措置だった。

2026年には前後ウイングが“開いた”状態となるため、前後軸ともロードが減少する。その状況に近づけるため、速度制限が設定されている。

ホイールリムにも実験要素
今回のアブダビテストではホイールリムにも新たな実験項目がある。

ミュールカーの走行では標準サプライヤーが手を加えたリムが主に使用されてきたが、2026年からはチーム側の設計自由度が大きく広がる。アブダビでは、2026年型に近いリムを用いた限定的な走行も許可されている。

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カテゴリー: F1 / F1マシン