F1
FIA(国際自動車連盟)は、22戦で開催される2020年のF1世界選手権に先立ち、MGU-Kの年間使用基数を3基に増やした。

これまでドライバーはMGU-Kに関しては年間2基の使用しか許可されていなかったが、今週のFIA世界モータースポーツ評議会で2020年はMGU-Kの制限を3基に増加することが決定された。

エンジンの信頼性とコストの増加により、使用が許可されるパワーユニットエレメントの数は年々減少していた。

だが、MGU-Kの交換はグリッドの大幅な降格が伴い、長年にわたってメーカーとドライバーにとって犠牲を払っていることが証明されてきた。

MGU-Kの年間使用数が3基に増やされた理由のひとつとして、MGU-KはしばしばMGU-Hの変更にも関連づけられることが挙げられる。そのため、MGU-Hと制限数を揃えた形だ。

今シーズン、F1にパワーユニットを供給するメーカーのうち、ホンダとルノーは全マシンが2基のMGU-Kの使用制限を超えている。

MGU-Kとは

MGU-Kは、2009〜13年に搭載されていたKERS(Kinetic Energy Recovery System)の発展形。モーターとジェネレーター(発電機)ユニットを利用し、運動エネルギーを電気エネルギーに変換する。クルマを減速するときにはブレーキをかけるが、ハイブリッドシステムを持たないクルマは、運動エネルギーがブレーキユニットによって熱に変換され、大気に放出される。つまり、ブレーキ時に発生したエネルギーを捨ててしまう。一方、ハイブリッドシステムは、従来捨てていたエネルギーをモーター/ジェネレーターユニットを作動させて回収し、電気に変換してバッテリーに蓄える。そしてバッテリーに蓄えられた電気エネルギーは、モーターを動かして加速に使われることになる。この運動エネルギー回生システムを構成するモーター/ジェネレーターユニットは「MGU-K」と呼ばれている。MGU-Kの「MGU」はMotor Generator Unitの略、「K」はKineticの略で「運動」を意味している。MGU-Kの最高出力は120kW、1周あたりに蓄えられるエネルギー量は2MJと定められているため、規定上限まで回生するには、計算上、約16.7秒の減速時間が必要となる。

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カテゴリー: F1 / F1マシン